HEALTH
鏡をのぞいたとき、あなたの舌はどんな色をしていますか? 実は舌は健康状態を知るための重要なバロメーターで、体の不調のサインがあらわれやすい部位です。舌の状態から健康状態をチェックする「舌診」について、詳しく解説します。
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【目次】
舌診とは、中国に起源を持つ東洋医学において用いられている健康チェック法の一つです。
東洋医学では、声の調子や口臭などを診る「聞診」、患者に症状などを聞く「問診」、脈やお腹などを触って状態を確認する「切診」、そして顔つきや舌の状態などを見る「望診」という4つの診断方法があります。これらは「四診」と呼ばれ、舌診は「望診」にあたります。
舌は、血流や水分代謝、内臓の状態などが反映されやすい部位。そのため、舌の色や形、舌苔(ぜったい/舌の表面につく白い苔状の汚れ)の状態を観察することは、体のバランスや不調のサインを読み取る手がかりとなります。
舌診は特別な道具も必要なく、自宅で鏡を見るだけで簡単に行えます。
健康的な舌の状態とは、淡紅色(ほんのり赤みのあるピンク色)で、適度に潤いがあり、薄く均一な舌苔がある状態です。また、舌全体が歯の内側に収まっており、歯形がついていないのが理想です。
しかし、体調や生活習慣の変化、ストレス、食生活などにより、舌の状態は日々変わります。舌苔が厚くなったり、舌の色が濃くなったり、形が変わったりするのは、体の内側で何かしらのバランスが崩れているサイン。
日常的に舌を観察することで、小さな不調に早めに気づき、体調を整えるためのヒントを得ることができます。
自分で舌の状態をチェックすることで、体の健康状態をある程度把握できるようになります。具体的な舌の状態から考えられる健康状態、セルフケアのポイントを解説します。
舌が全体的に白っぽく、やせているように見える場合は、体内の「血(けつ)」が不足している可能性があります。「血」とは体に栄養を行き渡らせる役割のあるもので、不足すると疲れやすい、冷えやすい、貧血気味などの不調があらわれやすくなります。
そんなときは、鉄分やたんぱく質を意識した食事を心がけましょう。レバー、赤身の肉、ほうれん草、大豆製品などがおすすめ。
漢方薬を活用する場合は、「血」を補い、巡りをよくする働きのある「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがよいでしょう。
舌の色が暗い赤や紫に近い色をしていたり、裏側の静脈がくっきりと浮き出て太く見える場合は「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の巡りが滞っている状態。冷え、運動不足、ストレスなどによって「血」の巡りが悪くなっていると考えられ、肩こりや腰痛、肌トラブルなどが起きやすい傾向があります。
この場合は「血」の巡りをよくするために、体を温めることが大切。軽いストレッチやウォーキング、半身浴などを取り入れてみましょう。シナモンや生姜、ねぎなどの体を温める作用のある食材を使用した料理も効果的。
漢方薬では、「血」の巡りをよくする「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」などがおすすめです。
舌が真っ赤だったり、細かな亀裂が見られる場合は、水分が不足し、体内に熱がこもっている状態です。ストレスや疲労の蓄積、睡眠不足などが影響していると考えられます。
この場合、意識的に水分補給を行い、栄養バランスの取れた食事で体に潤いを与えることが大切。きゅうりやトマト、梨、大根など、体を冷やし潤す作用のある食材を取り入れましょう。
「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」や「当帰飲子(とうきいんし)」などの潤いを補う効果が期待できる漢方薬も有効です。
舌がむくんで大きくなっている、舌苔が厚くべたつくといった場合は「水滞(すいたい)」の状態になっている可能性があります。水滞は体に余分な水分がたまった状態のことで、手足のむくみや重だるさ、お腹の不調などにもつながります。
水滞になっている場合、体を冷えから守り、温めて水分の巡りをよくする工夫が大切です。運動や半身浴などで体を温めたり、温かいお茶を飲んだりして水分代謝を改善しましょう。
また、水分代謝をよくして余分な水分を体外へ排出する働きのある「五苓散(ごれいさん)」や「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などの漢方薬もおすすめです。
舌の両側の側面に歯の跡がくっきりとついている場合は、「気(き)」が不足し、体の生命エネルギーが足りていない状態。体を動かすためのエネルギーが不足していることで、だるさや食欲不振、冷えなどの不調があらわれやすくなります。
この場合は「気」を補うために、睡眠の質を高め、軽い運動で基礎体力を養いましょう。食事においては、雑穀米や山芋、かぼちゃ、鮭、マグロなど、「気」を補うとされる食材を意識的に取り入れるとよいでしょう。鶏肉や豚肉などの肉類もおすすめです。
漢方薬を活用する場合は、胃腸の働きを高めて「気」を補う働きのある「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や「六君子湯(りっくんしとう)」などが用いられます。
舌苔が黄色い場合は、高カロリーなものを摂りすぎ、体に熱がこもっている可能性があります。この場合は、汗をかきやすい、口臭や体臭が気になるなどの悩みが増えやすい傾向にあります。
揚げ物やアルコールを控えめにし、できるだけ野菜や果物を取り入れましょう。また、体を動かして代謝を高めることも大切。
漢方薬では「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」などの体の熱を取り除く作用のある漢方薬がよいでしょう。
舌苔がところどころはがれているように見える場合、「気」や体の潤いが不足している状態と考えられます。風邪をひきやすい、疲れが抜けない、食欲不振などになりやすい傾向があります。
この場合は、胃腸の働きをよくする「足三里」などのツボを押したり、うどんや豆腐、白身魚などを使用した栄養バランスがよく消化を助けるような優しい食事を心がけることを大切に。足三里は膝の一番突き出ている骨の外側の凹みから、指4本分下に位置するツボです。
胃腸の調子を整える「四君子湯(しくんしとう)」や「平胃散(へいいさん)」などの漢方薬も体の回復をサポートしてくれます。
セルフ舌診を行うときは、舌をリラックスさせた状態で観察しましょう。舌を長く出しすぎると血流や水分が変化して、舌の状態が変わる可能性があります。
また、色の濃い食べ物や刺激のあるものを食べた後や、運動・入浴後などは正確な判断がしづらくなることもあるため避けましょう。
舌診はあくまで自分の体の状態に気づくための“入り口”です。気になる舌の変化が見られたとしても、自己判断で漢方薬などを始めるのではなく、必ず漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
教えてくれたのは…あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 碇 純子さん
編集/根橋明日美 写真/PIXTAほか
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