HEALTH
冬は睡眠の質を低下させる要因が重なりやすい季節。冬の間も質の高い睡眠をとるには、日常にちょっとした工夫を取り入れることが大切です。心地よく眠るための快眠法を紹介します。
冬に睡眠の質が下がるのは、寒さや日照時間の減少が関係しています。それぞれ詳しく見てみましょう。
冬は外気温が低く、寝室内も寒くなりがちです。布団に入ってもなかなか温まらないという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。体が冷えると、寝付きが悪くなることがあります。
さらに、室内外の温度差が大きいと自律神経が乱れやすく、交感神経が優位になってしまうことも。交感神経の働きが強い状態では体が活動モードのままとなり、布団に入ってもリラックスできず入眠しにくくなるのです。
冬は日照時間が短くなることも、睡眠の質の低下に関係しています。日光を浴びる時間が減少すると、睡眠ホルモンであるメラトニンの材料となるセロトニンの分泌量も減少しやすくなります。
また、光を浴びるタイミングがずれると、メラトニンが分泌される時間が遅れることも、寝付きの悪さや睡眠リズムの乱れにつながる要因です。
睡眠の質を上げようとやってしまいがちなNG行動がいくつかあります。
まず注意したいのは、寝室や寝具を必要以上に温めてしまうこと。暖房で部屋を暖め過ぎたり、電気毛布や湯たんぽなどで寝具を必要以上に温めたりすると深部体温が下がりにくく、スムーズな入眠を妨げます。寝室は18℃を下回らない程度に暖め、寝具の温め過ぎに注意しましょう。
また、就寝直前に熱いお湯へ浸かることもNG。高温の入浴は交感神経を刺激し、体が活動モードになってしまいます。お風呂は寝る1〜2時間前に、ぬるめのお湯でゆっくり体を温めることで深部体温が自然に下がり、寝付きがよくなります。
冬でも睡眠の質を高めるための具体的な方法を5つ紹介します。
冬も心地よい睡眠をとるには、布団や毛布、パジャマなどを季節や室温に合わせて使い分け、適度な温かさを確保して睡眠環境を整えることが重要です。
パジャマは綿素材など通気性や保温性がよく、肌ざわりの柔らかいものがおすすめです。ただし、必要以上に厚着したり靴下をはいたりすると、熱がこもってかえって寝付きが悪くなるため避けましょう。
また、就寝前に湯たんぽなどを使って適度に布団を軽く温めておくと、布団に入った瞬間の冷たさが和らぎ、自然と入眠しやすくなります。ただし、先述した通り温め過ぎると逆効果になるため注意しましょう。
頭部に熱がこもると寝付きが悪くなりがちです。枕などは通気性のよいものを選ぶことで快適さが保たれます。
副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせることも大切。就寝前に心身をほぐす時間を意識的につくりましょう。
軽いストレッチで体の緊張を解き、深い呼吸を繰り返すことで、副交感神経を優位にできます。また、ラベンダーなどのアロマを焚くことで心の落ち着きが生まれ、穏やかな気持ちで眠りにつきやすくなります。
お気に入りの音楽を流して1日の終わりをゆったり過ごす習慣もおすすめです。自分なりのリラックス方法を見つけてみましょう。
朝起きたらまずカーテンを開け、太陽光をしっかり浴びるのも効果的です。光を浴びることでメラトニンの材料であるセロトニンの分泌が促され、夜にはメラトニンが分泌されやすくなります。
また、朝の光を浴びると体内時計をリセットできます。天気の良い日には窓際で過ごしたり、朝散歩をしたりして積極的に日光を浴びましょう。
曇りや雪などの天気が悪い日でも、部屋の照明を明るくすることで同様の効果が得られます。朝起きたらできるだけ明るい環境で過ごすことを意識しましょう。
ツボ押しは手軽にでき、心身の緊張をほぐすのに役立つ方法です。眠りを促すには「失眠(しつみん)」を押してみましょう。
「失眠」はかかとの真ん中に位置するツボ。不眠症や下半身の冷えの改善などの効果も期待できます。
人差し指でカギ指をつくって、指先から二番目の関節で押しましょう。深呼吸しながら心地よい強さで押すことがポイントです。バスタイムや寝る前のルーティンとして取り入れてみましょう。
睡眠のお悩みを改善するには、漢方薬を活用するのも一つの手です。漢方薬は心と体のバランスを整え、体質から改善することで不調の緩和を目指します。自然由来の生薬でできているため、西洋薬よりも副作用が少ないとされているのも特徴です。
睡眠のお悩みには「自律神経の乱れを整える」「体の余分な熱を取りほてりや興奮を鎮める」「いらだちを和らげて寝付きをよくする」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体の余分な熱を取り、交感神経の緊張状態を改善して、のぼせを伴う不眠やめまいを改善する漢方薬です。のぼせ気味で顔が赤くなりやすく、イライラなどがある人におすすめです。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
エネルギーや栄養の巡りをよくして過剰な熱を冷ますことで、精神の興奮を和らげて不眠やイライラを改善する漢方薬です。肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状がある人におすすめです。
漢方薬は飲むだけでよいためセルフケアとして取り入れやすいものですが、症状や体質によって合う漢方薬は異なります。自分に合う漢方薬を知りたいときは、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
<参考文献>
※1 厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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