HEALTH
なんとなく心が落ち着かない、眠りが浅い、気分が晴れない、理由はわからないけれど疲れが抜けない…。そんな状態が続いているとき、「ムードフード」が心と体のバランスを整える助けになることがあります。そもそもムードフードって? 代表的なムードフードは? くわしく解説していきます。
ムードフードとは、雰囲気の「ムード」と食べ物の「フード」を掛け合わせた造語で、気分や精神状態によい影響を与えるとされる食べ物のこと。ムードフードには、リラックスに関わる神経伝達物質の働きを助けたり、睡眠の質を高めたりする成分が含まれています。
ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れやすくなり、イライラしやすくなったり睡眠の質が下がったりしがちです。そんなときに手軽に取り入れられるストレスケアの一つとして、ムードフードが役立ちます。
ムードフードは特別な食事法ではなく、普段の食卓や間食に自然に取り入れられるため、継続しやすいのも魅力。食事を通して心身の緊張をゆるめることで、不調の改善につながり、健やかに過ごしやすくなります。
ムードフードには、日常的に取り入れやすい身近なものが多くあります。代表的なムードフードを紹介します。
発酵食品やチョコレートには、交感神経の興奮を抑え、リラックスを促す働きが期待できるGABAが含まれています。
ストレスを感じた際に分泌されるノルアドレナリンの分泌を抑制することで、交感神経が優位になるのを抑え、自律神経を整える効果が期待できます。また、血圧を安定させる効果が期待できるのもGABAの特徴です。
発酵食品の中でも、GABAはキムチやたくあん、奈良漬けなどの漬物類に多く含まれます。チョコレートの場合はカカオに多く含まれているため、朝食に漬物を添える、間食にカカオ含有量の高いチョコレートを少量楽しむなどの方法で取り入れてみましょう。
緑茶に含まれるテアニンは、脳をリラックス状態へ導き、睡眠の質向上や冷えの改善、集中力の向上に役立つとされています。仕事や家事の合間の水分補給に緑茶を選ぶなどの方法で取り入れてみましょう。
ただし、緑茶にはカフェインも多く含まれており、夜に飲むと逆に寝付きを悪くする可能性があるため注意が必要。夜に飲む場合は、水出しや低温で抽出した緑茶を選ぶと、カフェイン量を抑えながらテアニンの恩恵を受けやすくなります。
大豆製品やバナナ、ナッツ類には、セロトニンの材料となるトリプトファンが多く含まれています。セロトニンは精神を安定させる働きのある神経伝達物質です。睡眠ホルモンのメラトニンの材料にもなるため、睡眠の質を高める効果も期待できます。
朝食にバナナを取り入れる、夕食に豆腐や納豆などの大豆製品を加えるなどで日々の食事に取り入れましょう。ナッツ類は少量を間食にするのも効果的です。
ハーブティーは副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
例えば、カモミールティーやジャスミンティー、ローズティーなどはリラックス効果が高く、穏やかな香りで気分を和らげてくれます。集中力を高めたり気分をリフレッシュしたりしたいときにはミントティーがおすすめです。
就寝前のリラックスタイムに温かいハーブティーを取り入れることで、精神の緊張が和らぎ、寝付きを良くする効果が期待できます。
ムードフードの効果をより実感するためには、心のケアにつながる習慣を組み合わせることも大切です。日常の中で無理なくできる方法を紹介します。
頭の中にある不安やモヤモヤを紙に書き出すことで、思考が整理されて気分をすっきりとさせる効果が期待できます。
書き出す際はきちんとした文章にする必要はなく、誤字脱字も気にせず書き出すのがポイント。
浮かんだ言葉をそのまま書き出して振り返ることで気持ちを客観的に見つめられ、自己理解を深められます。自分が何にストレスを感じているのかが明確になり、ストレスの軽減にもつながります。
腹式呼吸を取り入れるのも効果的。呼吸は自律神経と密接に関係しあっており、深い呼吸をすることで副交感神経を優位にできます。
腹式呼吸をする際は、お腹に手を当て、息を吸うときにお腹がふくらみ、吐くときにへこむのを意識しましょう。座っているとお腹の動きを感じにくい場合は、寝転んでするのがおすすめ。
就寝前に数分行うだけでも、精神が落ち着いて寝付きを良くする効果が期待できます。
ストレスによる不調が続く場合、体質に合った漢方薬を取り入れる選択肢もあります。漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られており、根本原因にアプローチして心と体のバランスを整えることで不調の改善を目指すものです。
ストレスによる不調には「精神の緊張を和らげる」「自律神経を整える」「体にこもった過剰な熱を冷ます」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
上半身にこもった熱を冷ますことで精神を落ち着かせて、気分の落ち込みやイライラなどの症状に働きかける漢方薬です。のぼせ感があり、疲れやすい人に向いています。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
気持ちの高ぶりを抑えて精神状態を安定させることで、精神不安や動悸、不眠を改善する漢方薬です。不安感があり、寝付きが悪い人に向いています。
体質や症状によって合う漢方薬は異なります。自分に合う漢方薬を知りたいなら、専門家に相談するのが安心です。ムードフードと漢方薬などのセルフケアを組み合わせて、日々のストレスケアをしましょう。
ムードフードは、不安や緊張を和らげたり、睡眠の質を高めたりする働きが期待されています。ストレスがたまっていると自律神経が乱れ、様々な不調につながりやすくなります。ムードフードは精神を安定させる神経伝達物質の働きをサポートするため、自律神経を整える効果が期待できるのです。
リラックスしたいときにはチョコレートやハーブティーなど、リラックス作用が期待できるムードフードがおすすめです。チョコレートに含まれるGABAは精神の興奮を抑える効果があります。ハーブティーの香りにはリラックス効果があり、特にカモミールティーなどがおすすめです。おやつや就寝前のひとときに取り入れることで、気持ちをリラックスさせる効果が期待できます。
イライラしがちなときには、セロトニンの材料となるトリプトファンを多く含む大豆製品やバナナ、ナッツ類が向いています。セロトニンは精神を安定させる働きがある神経伝達物質です。セロトニンの合成に必要なトリプトファンを積極的にとり、セロトニンが作られやすい状態にすることで気分を安定させる効果が期待できます。
教えてくれたのは…あんしん漢方薬剤師 山形ゆかりさん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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2026年11月16日(月)23:59まで
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