HEALTH
以前よりも集中力が続かない気がする、名前がパッと思い出せないことがある——ふとした瞬間に、そんな変化を感じて戸惑うことはありませんか? それは脳の老化のサインかもしれません。脳は、年齢による影響だけではなく、生活習慣やストレスなどによっても老化します。脳が老化する原因や老化を防ぐセルフケアを紹介します。
私たちの脳は、年齢を重ねるにつれて、神経細胞が収縮したり失われたりして徐々に萎縮します。これは老化による自然な現象であり、一般的には30代ごろから少しずつ萎縮が始まり、60代頃になると見た目にもはっきりと変化がわかるようになります。
特に萎縮が進みやすいのは、意欲や思考などに関わる「前頭葉」や、記憶力や聴覚などに関わる「側頭葉」です。そのため、脳の萎縮が進むと記憶力の低下、感情や動作のコントロールなどがうまくできなくなるなどの変化が起き、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
脳が老化する原因には、年齢以外に、主に生活習慣の乱れとストレスが関係しています。それぞれ具体的に見てみましょう。
運動不足や偏った食生活、睡眠不足といった生活習慣の乱れは、脳の萎縮を招く要因の一つです。生活習慣は脳の表面を覆い、神経細胞が密集している灰白質(かいはくしつ)に大きく関わっており、生活習慣が乱れると灰白質が小さくなりやすくなります。
また、飲酒量が多い状態が続くと、飲酒量に比例してアルコールの影響で脳が萎縮しやすくなります。
ストレスも脳にダメージを与え、老化を進める要因の一つです。通常、ストレスを感じるとそのストレスに対処するために必要なストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。
コルチゾールは抗ストレス作用があり、体にとって必要なホルモンですが、過剰に分泌されると脳の海馬に悪影響を与えます。慢性的に増えると脳の萎縮にもつながり、不眠症やうつ病などにつながりやすくなるのです。
脳の老化を防ぐには生活習慣を見直し、脳を使う時間を意識的に増やすことが大切です。具体的なセルフケアを紹介します。
脳の老化を防ぐために、十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとりましょう。睡眠は脳のメンテナンスに不可欠な時間です。睡眠の質を高めるために、寝る前にデジタルデトックスをしたり間接照明などのやわらかい光を取り入れた部屋で過ごしたりして、リラックスできる時間を設けましょう。
また、夜の間に十分に眠れない場合、日中に短時間の昼寝を取り入れるのも効果的。ただし、寝過ぎると睡眠のリズムが乱れて夜眠れなくなる可能性があります。昼寝をする場合は15〜20分程度にとどめましょう。
主食・主菜・副菜を組み合わせて栄養バランスのいい食事を心がけることも大切です。たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルといった五大栄養素をまんべんなくとることで、脳の健康維持に必要な栄養が不足しないようにしましょう。
さまざまな栄養素をまんべんなくとるには、1つの料理に複数の食材を組み合わせるのがおすすめです。サラダや味噌汁に入れる具材を3種類から4種類に増やすなど、できることから取り入れてみましょう。
また、睡眠の質改善や精神の安定などに役立つ幸せホルモン「セロトニン」の材料となるトリプトファンを意識してとることも大切。豆腐や納豆などの大豆製品や卵、バナナなどに多く含まれます。これらの食品を日々の食事に取り入れましょう。
適度に運動してストレスを発散することも、脳の老化防止につながります。ハードな運動でなくても大丈夫。楽しんで体を動かすことでストレス発散ができます。ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を続けることで、全身の血流を良くし、脳を活性化させましょう。
また、運動と思考を組み合わせた二重課題運動もおすすめ。足踏みしながら歌う、歩きながら計算をするなどのほか、家事をしながらしりとりをするのも効果的です。
思考力や判断力を使う脳トレやゲームをして脳を刺激することも効果的です。脳を積極的に使うことで脳への血流が増加し、脳の活性化につながります。市販の脳トレドリルのほか、トランプなどのカードゲームも有効です。
また、新しい趣味に挑戦することも、脳に新鮮な刺激を与えるいい方法。難しいものに挑戦する必要はなく、楽しみながらできることを続けると脳の健康につながります。
脳の老化対策には、漢方薬を活用するのも一つの手です。漢方薬は不調の根本原因にアプローチし、体質から整えることを目的とします。飲むだけでいいため、セルフケアとして取り入れやすいのも特徴です。
脳の老化対策には「胃腸の働きをよくして脳に必要な栄養を補う」「血流を改善する」「自律神経のバランスを整える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
胃腸の働きをよくして「気(エネルギー)」や「血(栄養)」を脳などの各器官に巡らせます。疲れやすく貧血気味の人に向いています。
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
自律神経のバランスを整え、緊張をゆるめて血流を改善し、脳の興奮を抑えます。体力が低下し、イライラしやすい人に向いています。
体質や症状によって合う漢方薬は異なります。自己判断で服用すると、思わぬ副作用が出ることもあるため注意が必要です。自分に合う漢方薬を知りたいなら、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
脳の萎縮を進行させる要因には、加齢のほかに、飲酒や喫煙、脳梗塞や脳出血といった脳血管性疾患などが挙げられます。また、脳動脈硬化が進んで脳への血流量が低下することも、萎縮の一因です。日々の生活習慣の乱れが積み重なることが脳の萎縮を加速させるため、早めの見直しが大切です。
脳の老化が進むと以下のような変化が現れやすくなります。
・人や物の名前が思い出せない
・新しいことをするのが億劫になる
・動きがゆっくりになる
・怒りっぽくなる
上記のような変化がある場合、脳の老化が進んでいる可能性があります。こうした変化を感じたら、脳を労る生活を意識し始めましょう。
一度死んでしまった脳細胞を元に戻すことはできませんが、脳には「代償能力」があり、残った細胞が新たなネットワークを作ることで機能を維持・改善できる可能性があります。よい生活習慣を一つでも多く取り入れることで、脳の萎縮スピードを緩やかにし、より長く若々しい脳を保つ効果が期待できます。
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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2026年4月16日(木)23:59まで
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