HEALTH
更年期になり「口周りの産毛が目立つようになった」「剃ってもすぐ生えてくる」といった変化に戸惑っていませんか? ヒゲが濃くなると見た目が気になるだけでなく頻繁なケアによって肌荒れにつながることも。なぜ女性のヒゲが濃くなるのか、その原因や対策を紹介します。
女性のヒゲが濃くなる原因には、女性ホルモンの減少や生活習慣の乱れなどが関係しています。ヒゲが濃くなる原因を詳しく見てみましょう。
更年期になり、女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、相対的に男性ホルモンの割合が増え、結果的にヒゲが濃くなることがあります。
男性ホルモンのテストステロンは女性の体内でも分泌されています。更年期になると女性ホルモンと男性ホルモンはどちらも分泌量が減少しますが、女性ホルモンの方が早く減少するため、男性ホルモン優位の状態になりやすいのです。男性ホルモンが優位になると体毛が濃くなりやすく、口元の産毛が目立ちやすくなります。
また、更年期以外にも、卵巣の肥大や多嚢胞化などが起こる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)も女性ホルモンのバランスを崩し、多毛や男性化を招きやすくなります。
生活習慣の乱れも、ホルモンバランスの崩れを招いてヒゲを濃くする要因の一つ。ホルモンバランスは過度な飲酒や喫煙、睡眠不足、栄養バランスの偏った食事など、さまざまな要因によって崩れやすいものです。
例えば、過度なダイエットや夜型の生活を続けていると、女性ホルモンの分泌量が減少しやすくなります。
ストレスもホルモンバランスを乱し、ヒゲが濃くなる要因です。
ホルモンの分泌を司る脳の視床下部は、自律神経のコントロールにも関わっています。ストレスによって自律神経が乱れると視床下部の働きにも影響し、結果的に女性ホルモンの分泌も乱れやすくなるのです。
これにより、ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンが優位になりやすくなります。
ヒゲが気になるからといって、毛抜きやカミソリなどで不適切な処理をするのは、肌トラブルにつながりやすくなるためNG。埋没毛につながったりカミソリで角質を削り過ぎたりして肌荒れしやすくなります。
カミソリでヒゲを剃る場合はクリームやジェルなどを活用し、肌を傷つけないように注意しましょう。処理後は化粧水や保湿クリームなどで丁寧にスキンケアを行うことも大切です。
気になるヒゲ対策には、ホルモンバランスの乱れを防ぐことが重要です。日常生活でできるセルフケアを紹介します。
ホルモンバランスを整えるために、生活習慣を見直しましょう。お酒を飲む習慣がある場合は休肝日を決めたり、喫煙習慣がある場合は禁煙や減煙に取り組んだりすると効果的です。
また、十分な睡眠をとることも重要。寝室は間接照明を使って暗くする、エアコンを使って適度な温度を保つなど、睡眠環境を整えると睡眠の質を高めることにつながります。
さらに、就寝前には読書や音楽などでリラックスすると、寝付きを良くする効果が期待できます。
五大栄養素を中心にまんべんなく栄養をとり、栄養バランスのよい食事を心がけることも大切です。特定の栄養素の過不足が起きないようにすると、自律神経の乱れを防ぎ、結果的にホルモンバランスを整えることにもつながります。
特に、大豆イソフラボンを意識してとることが重要。大豆イソフラボンは豆腐や納豆などの大豆製品に含まれており、腸内細菌の代謝によってエストロゲンと似た働きをするエクオールに変換される成分です。
大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は70〜75mg/日。100gあたりの含有量は豆腐なら約20mg、納豆なら約73mgのため、朝食に納豆を添えたり夕食の味噌汁に豆腐を入れたりしてとりましょう。
適度に運動して自律神経を整えることも、気になるヒゲ対策の一つ。特に、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を習慣にしましょう。
有酸素運動は全身の血行を促進して体全体に必要な栄養や酸素を届けやすくするほか、ネガティブな気分を発散して自律神経を整える効果が期待できます。通勤時に少し遠回りをする、エスカレーターではなく階段を使うなど、できることから始めてみましょう。
読書や映画鑑賞など、自分なりの方法で気分をリフレッシュすることも重要です。ストレスを適度に発散することで自律神経が整いやすくなります。
まとまった時間がとれない場合でも、入浴後に好きな香りのボディケアを丁寧に行う、軽いストレッチをするなども効果的。毎日のちょっとした時間をリラックスタイムにすることで、ストレスケアにつながります。
体質から改善を目指す方法として、漢方薬を活用するのも一つの手。漢方薬は心と体のバランスを整えることで慢性的な不調にアプローチします。自然由来の生薬でできており、西洋薬よりも副作用が少ないとされているのも特徴です。
気になるヒゲ対策には「血流をよくする」「自律神経のバランスを整える」「ホルモンバランスの乱れによる不調を改善する」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラしやすく、ほてりが気になる人に。体の上部にこもった熱を解消し、エネルギーを整えたり栄養の流れをよくしたりすることで更年期の諸症状を改善します。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血気味で体が冷えやすい人に。栄養や潤いの不足を補い、血行をよくすることで女性ホルモンバランスの乱れによる不調に働きかけます。
ヒゲを改善するには、様々なセルフケアを組み合わせることが重要です。また、体質や症状によって合う漢方薬は異なります。生活習慣の見直しなどのセルフケアを行いながら、漢方薬に詳しい専門家に相談し、自分に合う漢方薬を活用しましょう。
家族に体毛が濃い人がいる場合、ヒゲの濃さが遺伝する可能性があります。毛穴の数が遺伝することで、結果的に体毛の濃さに影響することがあるのです。必ず遺伝する訳ではありませんが、両親や祖父母に体毛の濃い人がいる場合は遺伝の可能性も考えられるでしょう。
ヒゲを処理した後は保湿などのスキンケアを丁寧に行いましょう。カミソリや家庭用脱毛器などで処理をすると肌にダメージを与え、肌の乾燥や赤みなどの肌トラブルを招きます。化粧水や乳液、保湿クリームなどを活用して丁寧に保湿しましょう。
ホルモンバランスの崩れが疑われる場合は、婦人科や内分泌内科を受診しましょう。病院で受けられる治療にはホルモン補充療法や男性ホルモンの作用を抑える治療などが挙げられます。カミソリ負けによる肌荒れや埋没毛などの肌トラブルが気になる場合は皮膚科を受診しましょう。
<参考文献>
※ 内閣府食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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