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「起きるのがつらい…」寒い冬の朝でもスッキリ目覚める5つの方法

朝の時間を余裕を持って過ごしたい……そう思っていても、寒くて布団から出られずグズグズしているうちに時間が経って、結局バタバタと慌ただしく朝の準備をしているという人は少なくないのではないでしょうか。今回は、寒さに負けずスッキリ目覚めるための習慣を紹介します。

1.冬の朝がつらいのはなぜ?

もともと朝が弱く、冬の朝が特に苦手な人は多いですよね。なぜ、冬の朝は他の季節よりも起きるのがつらいのでしょうか。

①日の出の時間が遅い

日の出の時間が遅くなるために、冬の朝は目覚めが悪くなります。私たちは、朝起きると日光を浴びて覚醒し体内時計を調整しています。しかし、冬と夏とでは日の出時間が2〜3時間異なり、冬は起きても日が昇っていなかったり、日光が弱かったりするため、覚醒しにくくなってしまうのです。

②布団から出るストレス

私たちの体にとって、寒さ自体が大きなストレスです。冬の朝は特に気温が低く、部屋が冷え切っているため布団の中の方が暖かい環境となります。そのため、目が覚めても布団からすぐには出られなくなってしまいます。

③生活習慣の乱れ

冬にはたくさんのイベントがあり生活習慣が乱れやすい時期です。新年会などで飲み会が続いて、睡眠不足になったり就寝・起床時間がバラバラになったりしますよね。私たちの体は、およそ24時間周期の昼夜変化に合わせて体の機能を変化させる「概日リズム」と呼ばれる機構を持っています。しかし、様々なイベントや忙しさのストレスなどによって概日リズムが乱れると、体内時計も乱れ、目覚めや寝付きの悪さを引き起こしてしまうのです。

④睡眠の質の低下

寒さによって「睡眠の質」が低下している可能性もあります。
人間は就寝時に、皮膚の温度を上げて手足から熱を放出します。すると深部体温が下がっていき、それによって眠気が強くなりますが、手足が冷えているとうまく熱を放出できず、深部体温が下がりにくくなり寝付きが悪くなるのです。
また、深部体温が下がっていくときには副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になるとリラックス状態になり、体を休めることができます。しかし、体が冷えていると、体温を逃がさないように交感神経が優位に働き続けるため、リラックスできずに睡眠の質の低下を引き起こします。

2.冬の朝にスッキリ目覚める5つの方法

寒さが苦手でも、起きないわけにはいきません。寒さに負けず、冬の朝に気持ち良く目覚める方法を解説します。

①就寝前に体温を上げる

冬の朝にスッキリ目覚めるためには、質の高い睡眠が重要です。就寝前に体温を上げることで深部体温が下がりやすくなり、寝付きが良くなります。体温を上げる具体的な方法を紹介します。

・入浴
就寝の60〜90分前に湯船に浸かることで、体温が上がります。38〜40℃くらいの熱すぎないお湯に10分以上浸かるのがおすすめです。リラックス効果に加え、血管が拡張し就寝時のスムーズな体温調整が期待できます。ただし、42℃以上の高温のお風呂は、覚醒を促してしまい、かえって寝付きを悪くする可能性があるため注意しましょう。

・ホットドリンクの摂取
寝る前に温かい飲み物を摂ることも体温を上げるのに効果的です。ハーブティーやほうじ茶、温かい牛乳などがおすすめです。温かい飲み物でも、カフェインやアルコールは寝付きを悪くしたり、睡眠の質を低下させたりする可能性があるため注意しましょう。

・軽いストレッチ
寝る前に軽いストレッチを行うと、血行が促進されて体温が上がりやすくなります。また、ストレッチにはリラックス効果もありおすすめです。激しい運動は覚醒を促してしまうため、穏やかな運動を心掛けましょう。

・厚着をしすぎない
パーカーやセーターなど、パジャマの上から暖かい服を着ている人も多いのではないでしょうか。厚着をしたまま寝てしまうと、就寝中の体温調節を妨げて睡眠の質が低下する可能性があるため注意が必要です。就寝時には厚着をせず、通気性の良いパジャマで布団に入りましょう。

②布団から出やすくなる工夫をする

下記のような朝の寒さ対策をしておくことで、布団から出るつらさを軽減できます。

・室温の調整
部屋を快適な温度に保ち、起床時のストレスを減らしましょう。起床時の室温は、20〜22℃が良いとされています。室温は最低でも16℃以上を保つように気をつけましょう。起床の1時間前を目安に、暖房器具をセットするのがおすすめです。

・起床後に着る部屋着の準備
布団の近くに、起床後すぐに着られる部屋着を用意しておきましょう。パーカーやフリースなど暖かい生地のものがおすすめです。布団から出ると寒さを感じます。そのまま過ごすと体が冷えやすくなるため注意が必要です。

③耳をマッサージする

起床時に布団の中で、下記のように耳をマッサージするのもおすすめです。

・耳を丸めたり折り曲げたりする。

・指をチョキの形にして、人差し指と中指で耳を挟み上下に動かす。

・耳をつかんで外側に引っ張る。

耳のマッサージを行うことで全身の血行が促進され、冷えの改善に働きかけることができます。また、耳や耳たぶには自律神経に関わるツボや多くの血管が存在しているため、自律神経を整える効果が期待できます。

④手のグーパー運動をする

寒い冬の朝にスッキリ目覚めるためには、手のグーパー運動が効果的です。これは手を握る(グー)と開く(パー)を交互に行う簡単な運動で、朝の眠気覚ましや血行促進が期待できます。
30回程度手のグーパー運動をして、最後に大きく体を伸ばしましょう。全身で伸びをする頃には、すっかり目が覚めていることでしょう。
耳のマッサージと同じく布団の中でできるので、朝の習慣に取り入れやすい運動です。回数はあくまで目安のため、5回でも10回でも、負担なくできる回数から取り入れてみてください。

⑤漢方薬を飲む

冬の朝でもスッキリ目覚めるには、質の高い睡眠や起床時の工夫が大切ですが、漢方薬を飲むのも効果的です。冬の朝に起きられない主な原因として、体が冷えによって深部体温をうまく調整できなかったり、副交感神経が優位に切り替わらなかったりすることで、睡眠の質が低下することなどが挙げられます。
そのため、「血流を良くして中枢神経の機能を回復し安眠に導く」「自律神経の乱れを整える」「栄養を全身に届けて、心と体を元気にする」などの働きを持つ生薬を含む漢方薬を選び、根本改善を目指します。漢方薬は自然由来の生薬で作られており、副作用リスクが低いのも魅力です。

<睡眠の質が気になる人におすすめの漢方薬>

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
エネルギーの循環を整えて体内の熱を冷ますことで、自然な眠りを促し、不眠を改善します。寝付きが悪い人におすすめです。

加味逍遙散(かみしょうようさん)
エネルギーの流れを整え血流を促進することで、冷え症や不眠の改善に働きかけます。のぼせ感や肩こりがある人におすすめです。

漢方薬は、体質に合ったものを選ぶことが重要です。体質に合わないものを使用した場合、効果が得られないだけでなく、副作用が生じることもあります。体質に合った漢方薬を見極めるためにも、漢方薬を使用するときには医師や薬剤師など専門家に相談することをおすすめします。

教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 中田早苗さん

教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 中田早苗さん

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

編集/根橋明日美 写真/PIXTA

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