HEALTH
この季節悩ましい花粉症。「鼻が詰まって夜寝られない!」という方も多いのではないでしょうか?実は、夜に鼻水や鼻詰まりがひどくなるのには明確な理由があります。今回は花粉症の鼻水・鼻詰まりのメカニズム、なぜ夜に鼻詰まりが悪化するのか、そして今すぐ簡単に実践できる対策方法までご紹介します。
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花粉が鼻から侵入し鼻の粘膜に付着すると、IgE抗体という物質が作られます。そして、IgE抗体が免疫細胞のマスト細胞と結合したのち、花粉が再び体内に侵入すると、マスト細胞からアレルギー症状の原因物質であるヒスタミンなどの化学物質が放出。ヒスタミンは鼻粘膜を刺激し、くしゃみや鼻水の原因になるのです。
一方、鼻詰まりは、鼻粘膜の腫れによって空気の通り道が狭くなることで起こります。鼻粘膜の腫れは、マスト細胞からヒスタミンとともに放出されるロイコトリエンが原因です。ロイコトリエンには血管を拡張させる作用があるため、鼻の粘膜が腫れ、鼻詰まりを起こします。
鼻粘膜の下に存在する末梢血管は、自律神経の影響を強く受けます。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、鼻詰まりが起こりやすいのは副交感神経が優位になった時。
たとえば、通常、昼には交感神経が優位になりますが、その時は末梢血管が収縮するので鼻粘膜は腫れにくい状態です。反対に、夜には副交感神経が優位になるので末梢血管が拡張し、鼻粘膜が腫れて鼻詰まりしやすくなるのです。
さらに、外気との温度差など、冷気による刺激で副交感神経が優位になり、鼻詰まり症状が起こる場合もあります。
花粉症や温度差が原因で、透明でサラサラとした鼻水が出て鼻詰まりが起きている場合、温めることで症状緩和を期待できます。蒸しタオルを鼻に1~2分ほど当て温めると、鼻の粘膜が温まり、鼻孔が広がって粘膜の血流アップにつながります。
ただし、蓄膿症などが原因で鼻水が黄色くドロドロとしている場合、体に熱がこもっているので、冷たいタオルなどで熱を冷ましましょう。
鼻うがい(鼻洗浄)は、専用の洗浄液を使うことで鼻の中の異物を綺麗に洗い流せます。洗浄液は人の体液の塩分濃度に近く浸透圧も同じなので、痛みを感じることなく洗浄を行えます。
鼻うがいの方法は以下の手順です。
(1)上を向かず、前かがみの体勢で洗浄液をゆっくりと鼻から注入します。
(2)「あー」と声を出しながら流し込むと、耳の奥に流れにくくなります。
(3)洗浄液を反対の鼻の穴から出しましょう。
(4)洗浄後はそっとやさしく鼻をかみます。
洗浄液を出す際、反対の鼻の穴から出すのが難しい場合は、そのまま入れた穴から出しても構いません。
洗浄液を注入する際は、洗浄液や唾液を飲み込まないように気をつけましょう。耳に洗浄液が入ると、中耳炎を起こす可能性があります。
また、鼻うがいはあまり頻繁に行うと鼻粘膜を守る粘液まで洗い流してしまうので、1日1~2回程度にとどめましょう。
わきの下には交感神経が通っているため、わきの下を圧迫することで交感神経を刺激し、末梢血管を収縮させ、鼻粘膜の腫れの一時的な緩和を期待できます。
鼻の右の穴が詰まっているなら左わきの下、鼻の左の穴が詰まっているなら右わきの下に中身の入ったペットボトルを20~30秒ほど挟むと、ちょうどいい具合に圧迫できます。あまり強く挟み続けると腕が痺れる場合があるので気をつけましょう。
乾燥は鼻詰まりの大敵。就寝環境を見直し、部屋の湿度は50~60%を保つように心がけましょう。
また、お風呂に入る場合はきちんと湯船に浸かり、体を芯から温めましょう。加えて、冷え対策の定番である「3つの首(首・手首・足首)」の防寒対策もおすすめ。体を温め血行を改善することで、鼻水・鼻詰まり症状にアプローチできます。
鼻水・鼻詰まりのケアには漢方薬もおすすめ。漢方薬は自然由来の植物・鉱物の生薬を原料にした医薬品で、花粉症の治療にも用いられています。西洋薬に比べて一般的に副作用が少ないため、安心して服用できます。
花粉症の改善には、症状を抑える作用に加え、根本から改善するために「体を温める」「水分の循環を良くしてアレルゲンや老廃物を排出する」「炎症を和らげる」「消化・吸収機能を高め、免疫力をアップさせる」といった作用がある漢方薬を選びます。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
鼻水がさらさらとして粘り気がない場合に適しています。水分循環を正常に整え、体の余分な水分の排出を促し、冷えた鼻粘膜を温めて鼻水、鼻詰まり症状やアレルギー性鼻炎に効果を発揮します。
・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
冷えによってたまった余分な水分を排泄し、鼻の粘膜の腫れを抑えます。鼻詰まりや副鼻腔炎、慢性鼻炎などの治療にも使用されます。
漢方薬は体質との相性も重要です。同じ花粉症の鼻水・鼻詰まりという症状でも、体質によって適切な処方が異なる場合があります。医師や薬剤師など、きちんと漢方の知識を持った専門家に処方してもらいましょう。
教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 碇純子さん
編集/根橋明日美
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