美しいパッケージデザインも効能のひとつ。「コスメ美術館」へようこそ

コスメや美容機器のアート化がますます加速する昨今。手に取って心地よく、眺めるだけで心躍るような造形美はもはや化粧品の域をはるかに超えた圧倒的な存在感。科学と芸術の結晶の逸品こそが女性を美しく輝かせる。

揺れる、共鳴する、景色を映す
心と結びついて時間を共創するコスメボトル

（上）起き上がりこぼしとやじろべえから発想されたという、揺れる容器とスパチュラはどこか懐かしく心和ませるフォルム。見ているだけでも楽しい絶妙に調整されたバランスと揺れが、女性の感性にポジティブに働きかけ明るい共鳴を生む。艶消しゴールドのボディも一層の品格を添えている。V リゾネイティッククリーム 50g ￥58,000／ポーラ

（下）まばゆいばかりの輝きを放つ金色の球体とそれを映しだす台座は、神秘的でゴージャスな存在感。細胞が生まれる瞬間、まさに「モーメント」をコンセプトとした大胆なデザインは、無限の可能性を秘めた未来への期待も示唆する壮大な意味合いも併せ持つ。オーセント クリームⅡ 50g ￥100,000／メナード。ともに肌を全方位からバックアップする頼もしいエイジングケアクリーム。

日本の伝統とフランスの伝統が融合
目に見えない香りの世界を表す高貴な美

（左）その名の通り、時代を超えて愛される名香は、秀麗なボトルとともに70年もの歴史を刻む。ルネ・ラリックの技術によって完成された彫刻のように美しいボディと二羽の鳩は不変のアートとして完結。ニナ リッチ レールデュタン オーデパルファム 100㎖ ￥15,700／インターモード川辺 フレグランス本部

（右）フレッシュな花々が優雅に香る、ゲランの新作フレグランスと有田焼の弥左エ門窯のモダンブランド「アリタポーセリンラボ」がコラボした、まさに日仏の伝統文化が掛け合わされた魅惑の逸品。洗練を極めた有田焼伝統の色彩美とシリアルナンバー入りの手作りボトルにも特別感が。フォール フラワーズオーデ パルファン（有田焼ボトル、リフィル100㎖、漏斗付き）￥85,000／ゲラン

熟練の職人が生み出す美しいカーブ
オブジェのようなビューティツール

（上）現代アート作品を彷彿とさせるしなやかな流線形のカーブは、エステティシャンの指からのインスパイア。肌に吸い付くような極上の触感はメンタルにまで働きかける心地よさ。スタイリッシュなだけではなく、面、線、点の機能を最大限に発揮できるよう緻密に設計、磁力を使用したトリートメントツール。マグネティックフロー ￥16,500／MDNA SKIN

（中・下）富山県高岡の伝統的鋳造技術と熟練の職人の手磨きによる、メイドインジャパンの匠の技が生んだアルミ製マッサージツール。自然の造形モチーフからイメージされたフォルムは、斬新ながらも視覚、触感ともに心地よく、ストレスフリーに人体に馴染む。（中）コリネットリンプ、（下）コリネットアイル 各￥5,000／ナガエプリュス

日常のアートは女性の心に寄り添うお守り

日用品にも美しいビジュアルが求められるようになって久しいですが、コスメや美容機器など、まさに女性の日常を彩るアイテムのアート性には目を見張る加速を感じます。視覚までも楽しませてくれるコスメボトルや香水瓶、オブジェのような美容ツールなど、まるで宝石箱を見ているような恍惚感に浸らせてくれる。加えてストレスフリーなデザインは女性の繊細なメンタルに効果的な作用も。さらに、所有することで自身が格上げされるような陶酔感が味わえる美しいアイテムは「自分へのご褒美」となって日常に高揚感を与えてくれます。高い経験値と確かな審美眼を持つ美ST世代をも満足させる、隅々まで気配りされたアートと呼んでもいいデザインは、多忙な現代女性の心と体にそっと寄り添い、活力となって支えてくれる、頼もしい味方。生活に色を添えて華やぎをもたらすのです。

教えてくれたのは……高瀬未央さん　電通 第５CRP局アートディレクター
朝日広告賞、広告電通賞他受賞。コスメをはじめ、家電、飲料など、多種ジャンルにおける女性ならではの繊細なアートディレクションに定評あり。

2018年『美ST』1月号掲載
撮影／中川十内　取材／森島千鶴子