PEOPLE
圧倒的な美貌と好感度の高さで数々の広告イメージモデルを務め、2000年前後には“CM女王”として君臨した女優・加藤あいさん(40歳)。3児の母となり子育て中心の生活を送る今、メディアへの露出こそ少なくなったものの、その変わらない美しさで姿を見せるたびに大きな反響を集めています。華やかなイメージの裏で「青春とは縁遠かった」と語る当時の日々や思いを、40歳を迎えた今改めて振り返っていただきました。
《Profile》
1982年12月12日生まれ。愛知県出身。13歳でデビューし、1997年にドラマで女優デビューして以降は数多くの作品、広告CMに出演。主な作品に映画『海猿』シリーズ、TBSドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)など。現在は3児の母で、子育て中心のライフスタイルで『美ST』をはじめ雑誌などで活躍中。実は美ST愛読者で、スタッフが驚くほどコスメ情報に精通した一面も。公式サイト https://www.katoai.jp/
13歳でデビューしてから大学進学までは、あまりに忙しかったので記憶がおぼろげです。一日に何媒体も撮影や収録があり、移動も頻繁。収録が長引いて徹夜で登校することもありました。目まぐるしいスケジュールに現実感も薄れ、目の前の方が何度かお会いしたことがある方なのか、テレビで拝見しただけなのか分からなくなることも。
仕事の合間に試験勉強して何とか通っていた学校も、15歳の時には半分以上行けなくなってしまいました。
そんな日々だったので青春とは縁遠かったです。ドラマロケ中に自分と同世代の高校生カップルが自転車で二人乗りして通り過ぎるのを見て、いいなあ…って。うらやましくて思わず涙が出ました。
大学に入学して、ようやく自分の時間を確保できるようになりました。お仕事は楽しかったのですが、それ以外の世界も見てみたい。学業もちゃんとしたくて仕事をセーブしたんです。
中学生からの夢であった留学も叶いました。大学卒業後にニューヨークに10カ月滞在したのですが、何でもない普通の生活が本当に新鮮で。学校へ行くこと、スーパーで買い物をすること、洗濯や家事、公共交通機関に乗ることですら日本では難しかったので、とても楽しかった!ミュージカルを観に行ったり現地でできた友人とピクニックしたり、やりたいことにはどんどんチャレンジしていきました。
海外での生活を経てからは、好奇心旺盛な性格もあって、一人であちこち行きました。英語が通じない国にも行き、バスが見当たらなくてそのあたりにいた親切なおばさまの車で送ってもらったり…。今考えたら無謀な冒険でしたね。その話を耳にしたマネージャーさんには驚かれ、叱られました。そんな暮らしの中で肩の力が抜けたのか、たまに仕事で帰国すると「顔や雰囲気が柔らかくなったね」と言われるように。海外での経験は仕事にもいい影響があったのかもしれません。
昔から自分に自信がなく、前に出るタイプではありませんでした。だから芸能には向いていないと思っていたし、今もそう思います。もともと明るい性格ではあったのですが、お仕事を始めてからは自信がなかったり不安が強かったりして「わたしって根暗なのかな…」なんて思うことも。
顔立ちにも悩みました。例えば10代の頃に共演した犬顔の可愛らしい女の子は、眠そうにしていると「可愛いね」と言われて、私が眠そうにしていると「怒っている」と思われたりするんです。お買い物をしている時や美容院でふいに話しかけられて、普通に会話していたら笑顔が少なかったのか「感じが悪い」と言われてしまったり、顔立ちのせいできつく見られがちだったようで当時は多感な年頃で悩みました。
「頑張って明るくニコニコしていないとだめだ」と必要以上に明るく振舞い、帰宅したらどっと疲れて。ニューヨーク滞在はそうした日々から解放されたという意味でも大きかったですね。
お仕事も、新しい現場に入る前には「監督さんが厳しいらしい」「ちゃんとできるだろうか」と噂を聞いてはいろいろ思案して…。でも今思えばすべて取り越し苦労でした。実際に始まると皆さんいい方で、最後には楽しく終わっているの繰り返しで「始まる前から見えないことを不安がるのはやめよう」と心持ちを変えていったんです。
そんな風に若い時は周りを終始気にしていましたが、歳を重ねるごとに自分らしく過ごせるようになりました。今は物事を楽しむ余裕ができて、とてもリラックスしています。子供が3人いる現在も忙しいですが、お仕事や旅など100%自分のために使えた若い頃とは真逆の生活。でも、お休みの日もボーッとするタイプではなく家族との生活なので苦になりません。
お仕事は振り返ればすべて印象深く、どれが良かったというのはありません。不安に思って取り組んだお仕事も蓋を開ければ作品や人との出会いに恵まれていたと思います。何かが転機というより、点が線となり今に至っているなと感じています。
現在は家庭中心の生活です。拘りがあったというより何事も手を抜けないタイプなので、どちらかがおざなりになる気がして仕事と家庭の両立は自分には難しいと考えました。今日のような雑誌の撮影も、スタッフの皆さんと一緒に作り込んでいく事も楽しい。たまに子供と離れ、こうしてお仕事している時間も大切だと感じています。
今後の仕事については、あまり遠くの未来は考えていません。いつかはわかりませんが、また演じる日が来たら――。スナックのママみたいな今までにない役をしてみたい。力が抜けていると思える今だからこそ、楽しんで演じられる気がします!
《衣装クレジット》
ワンピース¥59,400(ソブ/フィルム)
ピアス¥14,300、ブレスレット¥13,200(ともにステラハリウッド)
《お問い合わせ先》
フィルム ☎︎03-5413-4141
ステラハリウッド ☎︎03-6419-7480
撮影/岡本俊 ヘア・メーク/千吉良恵子(cheek one) スタイリスト/井関かおり 取材/吉田瑞穂 編集/浜野彩希
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2024年12月16日(月)23:59まで
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