PEOPLE
美ST6月号の美bodyルーティンでもしなやかなボディを保つストレッチなどを紹介してくれたhitomiさん。2009年、第1子妊娠中のマタニティヌードや私生活では3度目となる結婚など自然体でオープン、ご自分に正直な生き方でhitomiスタイルを貫いていらっしゃることに多くの女性たちが共感。14歳、8歳、6歳、2歳の4人のお子さんのママでもある彼女の子育てにも注目が集まっています。
《プロフィール》
1976年1月26日生まれ。1994年、歌手としてCDデビュー。「LOVE 2000」など数々のヒットを連発。現在もアーティストとして精力的に活動中。
いま私は47歳。ここまで生きてきて一つ分かったことがあります。それは「〜せねばならない」という決めつけがいちばん辛いということ。
自分はこうあらねばならぬとか、お母さんだからしっかりしなきゃいけないとか、その決めつけが自分を辛い気持ちに追い込むんだと思うんです。例えばいくつになってもキレイにしていなきゃ絶対ダメ、とかね。キレイにしているのが好きでそれが自分にとって心地よくて幸せなら、いくらでも頑張っていいと思うんだけれど、精神的に疲れちゃうぐらい「こうあらねば!」みたいな、自分以外の価値観に囚われて生きるのはしんどい。それなら自分を縛り付けている不要な決めつけを、思い切って手放したらいいと思うんです。
そう考えた結果、私には4人子供がいるけれど…ママ友はすごく少ない。いや、大げさじゃなくて、ホントに(笑)。
私は何が苦手って、ママ友作りがホントに向いてない。いま4人の子供は14歳、8歳、6歳、2歳。でもママ友は少ないです。
よく「子育てにママ友は必須」「子供の人間関係のためにもママ友の輪を広げたほうがいい」と言われるけれど、私にはすごく苦痛で。それが長女と長男の子育てを通して判明したんです。
この春、次男が幼稚園を卒園しましたが、園で誰かに話しかけることもほとんどなかったし、輪に入っていくのも苦手で。ママたちで作るグループラインも、私は入っていませんでした。年少さんから年長さんまで3年間の園生活で、話せるママは1人くらい。その方とも特に密な関係でもなく、「卒園のお別れ会っていつ?」くらいの話は聞けるけれど、一緒にご飯を食べるほどの関係ではなかったです。
何かわからないことがあったら最終的には先生に聞けばいいし、みたいなスタンスだから、長男が通う小学校ではホントにママ友はゼロです。それでも一時期はすごく悩みました。子供のためにママ友は作るべきなんじゃないか、と。
「子供のためのママ友作り」という価値観って、私が散々辛いと思っていた「〜せねばならない」の一種。もちろん、子供を通じての社交が好きな人ならどんどんやっていいと思います。でも、私みたいに向かない・合わないと感じるなら、世の中の「普通」がどうであろうと辞めていいんじゃないかな、と。でも、こういうスタンスを貫く上では抵抗勢力と戦う強さも必要です。もしかすると周りから「あの人、変わってるよね」なんて噂されているかもしれません。でも、それが何か?って感じで、私の場合は開き直っています。
家庭内でも、夫に「子供のママ同士の付き合いにはちゃんと関わって、子供のためにやったほうがいい」って言われたんですが「本当に向いてないの、ごめんね」と言いました。「そういうのって、ママだけがやらなきゃいけないの?」「私には難しいから、できるならあなたがやってほしい」とお願いしたこともありました。「人には向いていることと向いていないことがあると私は思っているから、この気持ちも尊重してほしいな」、と。ママだけがやることに縛られないことも大切だと思っています。
姑との付き合いも私は同じように考えています。もし付き合っていて辛い思いをしたり、ストレスを抱えてしまうようなら距離を取っていいと思うんです。「まあ、どう思われたっていいか。結婚した相手は姑じゃないんだし」って、気持ちを切り替えるのもアリなんじゃないかな。自分が心地いい状態・状況を作ることに専念することも、時には大事だと思っています。
自分が不得意分野をサボることもいいよね、と許してあげられるようになったのは30歳ぐらいの時。役者のお仕事も求められた時があって、でも何もできない大根役者だったので、演技学校に通った時期がありました。
その時、演技学校で言われたのが「hitomiというイメージ、hitomiの殻をなくしてください」という言葉。「周りからのイメージではなく、自分の本質を出してありのままの人となって。人間そのものを出してほしい」と言われた時に、ふっと楽になれたんです。それまでは、頑張らなきゃいけない、カッコよくなきゃいけない、ちゃんとしていなきゃいけないという気負いがすごくありましたが、それを機に少しずつ玉ねぎの皮が剥けていくように鎧が外れていきました。
ありのままの自分で勝負するというのはアーティストとしてのこだわりを1回捨てるようで複雑な気持ちもありましたが、今までのこだわりを1回捨てて本当の自分を再構築していくきっかけになりました。
二つ目の変化は、母親になったことです。子供を産んだとたんに、母親はこうじゃなきゃいけないという義務感や固定観念に縛られていくのを感じました。でも、それってやっぱり心地よくない。母になった自分も人間。いきなり「母」になれるわけではないから、「母だから」に縛られすぎないで、自分が苦しいなら無理しなくていいと吹っ切りました。
パートナーとの接し方も年々学習してきたと思います。
3度目の結婚をした今は、「私はこう思う」とクリアに伝えることを意識するようになりました。夫婦ってお互い違った環境で生きてきたから、必ずぶつかるところもあるし、子育てにおいても考え方が違ったりもする。「私はこういうやり方がいいと思うけど、あなたはそうじゃないのね」「そっちはそういうやり方なのね」「じゃあ、お互いにいいと思うやり方を尊重していこうね」と、折り合えるところを見つけていく。今でも難しいところだらけですが、夫婦といっても別々の人間だから完全に一致は難しい。それなら認めて受け止める。それがベストだとは思います。
とはいえ生活は子供が中心なので、夫と妻としての関わり合いというより子育ての同志的な感覚のほうが強いかな。「明日公園遊びがあるけど、仕事が入っちゃって、ごめん。よろしくお願いします!」みたいな、業務連絡が飛び交う感じです。
今2歳の末っ子が高校生になる頃には、私は還暦を迎えているわけですよね?高校生なんて思春期の真っ只中で、もしかすると絶賛反抗期かもしれない。そうなったら太刀打ちできるのかな、と今から不安に思わないこともないです。その頃には長女や長男が大人になっているから、もし困ったことがあったら助けてくれるかな…。今から長女・長男をしっかり味方につけて、いざという時には還暦ママの助けになってもらいたいな、と密かに思っています(笑)。
撮影/樽木優美子(TRON) ヘア・メーク/松田美穂(アルール) 取材/柏崎恵理 編集/永見 理
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