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脳トレと言ったら「パズル」や「ドリル」を思い浮かべますがボケない脳をつくるのには進化した「脳活」が効果的! 脳の専門医が考えた「脳活」を生活の一部に取り入れてスマホに頼りがちな脳を鍛えましょう。
いつも通っている道でもいざ描くとなると意外と難しいものです。脳の頭頂連合野という部分が司っている立体認知能力を鍛えます。時間や場所の違う込み入った話を脳の中で組み立てて理解するのにも役立ちます。認知症の方は、周囲がおかしいな、と思い始める前からこの立体認知能力が衰えていたりすることがあります。
まず両手を使うことは、両方の脳を使うことになります。そして指に関わる脳の範囲はとても広範囲なので、脳を広く活性化することになります。各回違った組合わせで右手を勝たせるのを5回行い、続いて左手を勝たせるのを5回行います。勝つことと組合わせの違いを考えるということにより、より複雑に脳を刺激します。
色覚に関わっているのは後頭葉。一目見たときは、緑色のかたまりにしか見えない木々。少し目が馴染んでくると木の一本一本の葉の色が少しずつ違う色に見えてきます。観察力を向上させて脳の活性化を行います。何回も行ったり時間を長くするとカウントできる色数が増えて、自分の感性がより研ぎ澄まされた感じを実感できます。
社会で起こったこと、自分に起こったことや出会いをまずは思い出すままに並べていってみましょう。時間の流れの中から出来事を抽出する作業には高度な把握力、考察力が要求されます。前頭連合野という部分が過去の経験、感情の動きなどの中からこれだという判断を下すメカニズムになっていて、これを働かせます。
まとめて頭に入力されている言葉をまずはバラバラにし、そして一つずつ後ろから読み進めていく意外に難しい作業です。当たり前のはずの最初の文字を思い出せないこともあります。これは単純記憶力を鍛える鍛錬になりますし、脳の中にホワイトボードを思い浮かべて字を並べてたどると立体覚も刺激されます。
認知症のチェックテストにもあるものですが、私たちの脳の「思い出し訓練」にも最適です。まだ元気な私たち世代は10個以上どんどん言えるようにしましょう。野菜の次は花の名前でもブランド名でもOK。数が多くなるほど出づらくなってきますが、色で繋げたり、カレーに入れる野菜など、記憶のとっかかりを作ると芋づる式に出てきます。
回想することは、認知症のリハビリの一つとしても用いられています。心にポジティブな気持ちを持たせるのです。まだ若い世代にも大切なことで、過去を振り返りそして美しい場所を思い出すことは基本的にはよい記憶と紐づいていることが多いはず。神経ネットワークを繋げるだけでなく、その時の感覚を味わい直すことが大切。
2022年『美ST』6月号掲載
イラスト/シママスミ 取材/西岡直美 編集/佐久間朋子
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