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東日本大震災から10年。石巻で輝く3人の美女からの復興便り

東日本大震災からあっという間に10年が経ち、人も街も一見活気を取り戻したかのように見えます。しかしどんなに時間が経っても、決して元通りになることはありません。だからこそ石巻の女性たちは未来を見据えて、立ち上がろうとする人たちの笑顔のために、日々活動を続けています。

一緒に輝こう!の思いで震災後2カ月で女性支援のNPOを設立

震災が起きた時は自宅にいました。逃げる時間はなかったものの、幸運なことに水が迫っているのが見えたので、防寒具や食料、大切なものを自宅の2階に運んで避難しました。外に出られたのは水が引いた3日後。私の自宅は全壊でした。震災前に受講した講座で、災害時には自力で身を守る力、地域で助け合う力、国や行政からの支援の3つが必要と学んだことがあり、私も何かしなくてはと思い立ち、震災直後の5月に〝やっぺす〞を設立。12月にNPO法人としての承認が下りました。〝やっぺす〞は、様々な立場の女性が自分らしさを選択できるよう応援し、復興の先に必要とされる人をつくる団体です。私自身、育児に悩んで心のバランスを崩した経験があり、心に傷を負ったり、悩みを抱えながら努力している女性たちに「そんなに頑張らなくていいよ!辛くなったらおいで」と言ってあげられる場所を提供したいと思ったんです。例えば運営する子ども食堂は、貧困家庭の方だけでなく、家事や育児が辛いなと思ったお母さんや誰かと話したいなと思った女性など、誰にでも来てもらえる場所にしています。参加された方の話にただただ耳を傾け、元気な方なら何がしたいか聴き、気持ちが弱っているならば、心の声を読み取ります。私自身の今後の目標は、12月で団体の代表を交代して相談役になり、女性専門の保護司になること!これからも石巻の女性に寄り添い、サポートを続けていきたいと思っています。

ボランティア活動の経験を活かし、’11年5月に〝やっぺす〞を設立。復興・生活再建に向けてチャレンジしたい女性たちをサポート。2児の母。現在は女性を中心に、頼もしい19名のメンバーとともに活動中。団体の取りまとめだけでなく、兼子さん自ら講演会に登壇することも。

子供たちの心の傷を癒し、前を向いて歩む力をサポートしたい

地震が起こった時は、当時6歳だった三男と近くのお店にいましたが、私も息子も無事。自宅は水の被害はなく、息子は津波も見ていません。なのに息子は夜になると何も食べない、話さない、笑わない、眠らないという不安定な精神状態に。夜中になってやっと涙をこぼしながら「もっと生きていたい」と呟きました。まだ6歳の子供が生きたいと願う……。その異常ともいえる状況に愕然としたのを覚えています。大切な友人も津波で亡くしました。自分は生きている。きっと何かできることがあるはずだ、そう思ったのが今の活動の原点です。高齢者の方のボランティアもしましたが、やはり震災直後の息子の姿が忘れられず、未来ある子供たちに心を癒して元気に生きてほしいという思いで今の活動に至りました。石巻キャリア教育推進ネットでは、子供たちが学びがその先の仕事に繋がることを知り、多くの人と接する機会を作るお手伝いをしています。心の傷は10年では到底癒えませんが、自分の将来に夢と興味を持ってほしいと願っています。

様々な学びの場を作る地域の学校との橋渡しとなるコーディネーターを担当。仙台高等技術専門校機械エンジニア科の職業訓練講師としても活躍。3児の母。

Uターン組こその発想力で石巻ならではの結婚式をプロデュース

10年前の3月11日は、神奈川でウェディングの仕事をしていました。石巻の実家は無事でしたが、翌年一旦石巻に戻って、家族のサポートをすることに。3年間は企業の正社員として必死で働きました。’15年、そろそろウェディングの仕事に戻ろうと思った時、やっと石巻の中心街へ。久々に見た街は、昔とは様変わりして若い人が集まっていました。それなのにどこを見渡しても結婚式関連のお店はありません。調べると震災当時でも600組以上が入籍をしていたのに、半数以上が式は行っていないことがわかりました。それならば私がと一念発起!石巻ウェディングを立ち上げました。私にとってのウェディングは、大切な人に「ありがとう」を伝えて、泣いて笑って、心が温かくなる素晴らしい空間。石巻で結婚式を目にする機会が増えれば、きっとみんなの心が温かくなるはずだと思います。コロナが終息して海外の方が日本に来るようになった時、「石巻で結婚式がしたい!」と言ってもらえるような〝石巻をウェディングの街にすること〞が私の夢なんです。

横浜で結婚式の司会の仕事に出合い、司会者に弟子入り。震災後、石巻に戻り、石巻ウェディングを設立。昨年アトリエをオープン。

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2021年『美ST』5月号掲載
撮影/鈴木省一(兼子さん、千葉さん分) 取材/岡崎久美子 編集/漢那美由紀

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