【マナカナ】三倉茉奈さん・佳奈さん（39歳）「似ている2人が嬉しかったのに、“同じ“が少しずつ違和感になって」…

朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』への出演を機に、“国民的双子”として一躍世間の人気者となった三倉茉奈さん・佳奈さん。小さい頃からいつも一緒が当たり前の日々でしたが、年齢を重ねることで、2人で1つではない“自分自身”とはなにかを考えるようになっていったと語ります。でも、いざ自分1人で一歩を踏み出してみると、そこには思いがけない壁が…。今回は、お2人が自身の個性を意識し始めたきっかけ、個人の活動へシフトしていったときに直面した現実について、40歳を目前に控えた今振り返っていただきました。

茉奈さん（以降茉奈）：実は今回のようなインタビュー取材で佳奈と一緒に仕事をするのは久しぶりのことなんです。今ではドラマも舞台も単独出演させていただいていますし、2人揃ってというのは一緒にやっているYouTubeチャンネル「マナカナんち」くらいじゃないかな。

佳奈さん（以降佳奈）：単独の仕事が増えたからこそ、2人の場を設けるためにYouTubeを始めたという経緯もあります。

――いつから「マナカナ」ではないそれぞれの活動を意識し始めましたか？

茉奈：大学生くらいの頃かな？ニコイチではない、それぞれの個性を意識するようになっていきました。そして20歳くらいから1人ずつの仕事が少しずつ増えていって。実はその頃から髪型も差別化していきました。佳奈はショート、私はロング、みたいに。

佳奈：洋服も意識的に変えていったよね。

茉奈：子供の頃はお揃いのお洋服を着て、美容院も同じ人に同じように切ってもらってた（笑）。でもそれが、だんだんと違和感になっていったんです。“自分”って何なのか？少なくとも、佳奈と“全く同じ”だけが私じゃないって。

佳奈：実際は顔のホクロのありなしや、身長が5mm違ったり、全く同じワケではないんやけどね（笑）。

茉奈：細かく言うとね（笑）。それから、同じじゃない私ってどんな人間なんだろう？と。大人になる一歩手前で、自分が何者であるのかを探究したくなったんです。佳奈はいつ頃から自分の個性を意識するようになった？

佳奈：2度目の朝ドラの『だんだん』の後くらいかな。理由は茉奈と同じで、茉奈と同じではない私とはどういう人間なのかを考えるように。10代の頃は似ている自分達が単純に嬉しかった。似ていることで喜んでいただけるのも嬉しかったなぁ。

――それを負担に感じたことはありますか？

佳奈：負担ではなかったですね。それが私達に求められていることであって、そのことにむしろ幸せを感じていました。『だんだん』に出演させていただいたのは大学卒業後でしたが、茉奈と私は全く性格の違う役柄で。最初の朝ドラの『ふたりっ子』でもそうでしたが、あの頃は本当に子供でしたからね。改めて違うキャラクターを演じ、それぞれの個性を見てほしいという思いが強くなったのだと思います。

――それぞれが単独のお仕事をされるようになって、気づいたことはありますか？

茉奈：単独の仕事で現場に行くと、やっぱり色んな方に聞かれましたね、「あれ、今日は佳奈ちゃんは？」って。皆さん私達を双子として認識してくださっていて、それはすごくありがたいことだとわかってはいるんですけど、心のどこかで、「私1人だと物足りないのかな？一人前じゃなくて、二分の一人前なのかな？」と複雑な気持ちになったのも本当です。まずは一人前になるところまで自分を持っていかないと、スタートラインにすら立てないと思ったんです。

佳奈：あと些細なことだと、最初は誰とごはんを食べればいいのかわかりませんでした。それまではずっと茉奈がいたから茉奈と食べていましたが、1人になった途端、そういうところでいちいち躓いてしまう。茉奈とではない、私だけの現場での人間関係を築いていかないといけない。当たり前のことではあるんですが、「自立」という言葉も意識し始めた時期だったと思います。茉奈は私と違って社交的なタイプ。積極的に人間関係を開拓していくことができるのですが、それまでは現場でのそういうことを茉奈がやってくれていたんだな、って。茉奈の大きさや、これからはそれを私がやっていかないといけないんだ、と思い知りました。同時に、1人になったことで、必要としていただけるのかという不安な気持ちも抱くように。

茉奈：そんな時期が25歳になるくらいまで続きましたね。“1人”であることに自分自身が慣れ、世間の方々にも慣れていただくにはどうしても時間がかかる。もがきながら試行錯誤する、トンネルのような時期だったんだろうなと今振り返ると思います。

撮影／田中瞳　ヘア・メイク／Hitomi（Chrysanthemum）　スタイリスト／日奈子　取材／キッカワ皆樹　編集／浜野彩希