PEOPLE
映画「スウィングガールズ」や、朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」などで鮮烈な印象を残した俳優・貫地谷しほりさん。その後も映画やドラマ、舞台、声優など多方面に渡ってその才能を開花させていきました。そしてこの夏、4年振りの主演舞台が決定!演目は井上ひさしさんの傑作戯曲「頭痛肩こり樋口一葉」。演じるのは主役の樋口夏子。貫地谷さん自身4年前にも同作にて同役を経験されています。4年前とは違う、どのような樋口夏子を観せてくださるのか?変化したライフステージとも照らし合わせながら、今回の舞台への意気込みをたっぷりとお伺いしました!
【INDEX】
今回4年振りに一葉を演じさせていただきます。この「頭痛肩こり樋口一葉」は御霊があの世から戻って来るというお盆の時期が舞台になっていて、井上ひさしさんは生前「毎年お盆の時期に公演してほしい」と仰っていたとか。私が演じる樋口一葉(夏子)は19歳で一家の主人となって、家族を養わなければならない立場にあります。今で言うヤングケアラーですね。初めて演じさせていただいた4年前は、「小説家として生きていくんだ!」という、希望に向かう一葉を念頭に置いて演じていたように思います。
ですが今回はもっと地に足のついた一葉を演じられる気がしていて。というのも、この4年の間に出産を経験し、母親になりました。母親になったことで、世の中の出来事やニュースに、凄く関心が向くようになったんです。日々良いニュースももちろんあるけれど、中には目を覆いたくなるようなものもありますよね。独身でいた頃は「ひどいことがあるな」と感じこそすれ、どこか他人事というか、それよりも自分の目の前のことで精一杯、という感じでした。
ですが母親になってからは、「そんな世の中でもどうにか生きていかないといけない」、もっと言えば、「守るべきものを守りながら、どうやってこの世の中で生きていくか?」というところまで考えが巡るようになったんです。一葉は19歳で一家を養う立場となり、「明日何を食べればいい?」というほどの窮状、貧乏に喘ぎながら、それでも生きる道を模索し、小説に辿り着きます。そういう生きることへの切実さを、今回は一葉を通じて舞台で表現できたらいいなぁ、と思っています。
樋口一葉は明治の時代に生まれ、日本で初めての職業婦人になった女性です。今では女性が職業を持つのは当たり前だし、当たり前であるべきこと。そんなことも、一葉の時代にはままなりませんでした。今の女性達が胸を張って働けるのは、一葉などの働く女性達の活動のお陰、それこそが礎になっているんです。
この「頭痛肩こり樋口一葉」という舞台は6人の女性達がメインです。一葉と、一葉の母の多喜、一葉の妹の邦子、旗本の娘である鑛、一葉の旧友である八重、幽霊の花蛍・・・・・。舞台上で、女性達は常に何かに悩んでいます。お金がない、とか、夫が帰ってこない、とか。中には「明日死のうかな」というくらいまで追い詰められている人もいる。それでも皆一生懸命で、切実なんです。そしてその切実な様子って、突き詰めると可笑し味さえ感じるようになると思ってて。ただ辛いだけではない、ふとした滑稽さのようなものも観客の方々には感じていただきたいなぁ、と思っています。
今回は4年振りの再演で、台本は4年前と変わらないはずなのですが、セリフの1つ1つ、特に長セリフが身に染みます。井上ひさしさんは男性なのに女性の気持ちをよくご存知だなぁ、と(笑)。長セリフってただ長いだけではなくて、その中に本当に伝えたいことが込められているもの。4年間は短いけれど、私なりに経験を積み、ライフステージが変化しているからなのかな、とも思っています。
一葉と私の共通点ですか?うーん、共通点ではないですが、困難を前にしても強く生きていく姿には共感しますね。それから台本のト書きに「ボーッとしている」って書かれている箇所があって。つまり自分の思考をマイペースに巡らせるという解釈を私はしているのですが、側から見たら「グータラしている」と思われているかもしれなくて、そういう部分は似ているかもしれません。あ!あと、どういうメカニズムなのかはわからないのですが、産後って視力が悪くなることがあるらしいんですよ。まさに今の私がそうで、元に戻るらしいのですが、まだ視力は落ちたまま。一葉は近眼だったらしいので、その辺もリアルに演じられるんじゃないでしょうか(笑)。
一葉って、知れば知るほど面白い人なんです。若くして亡くなっていますが、若いのに若くない。今でいう60代くらいに老成している。今の私よりよっぽど大人で達観しています。何せ、生前に自分へ戒名をつけたほどですから。「この世に未練なんてない」という気持ちの表れである一方、一葉って実はこの世でやりたいことが沢山あったんじゃないかな?と私は思っています。小説家なので好奇心旺盛だったろうし、ギラギラと生きていたのではないでしょうか。でも時代的に女性が何かを始めたり成したりするのが難しかった。その葛藤や切実さを、どう観客の皆様にお伝えするかが鍵だと思っています。
◆インタビューの続きはこちら
《Profile》貫地谷しほり
1985年12月生まれ。東京都出身。映画『スウィングガールズ』で注目を集め、NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』で初主演。主演映画『くちづけ』でブルーリボン賞主演女優賞受賞。映像の世界だけでなく舞台にも積極的に出演し、2010年、舞台「余命1ヶ月の花嫁」で舞台初主演。第7回The Beauty Week AwardでThe Best of Beauty 2010を受賞。2023年、フランスの連続ドラマ「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」の日本語吹き替え版で主人公を担当し、第17回声優アワード外国映画・ドラマ賞を受賞。2019年に一般男性と結婚し、2024年の12月に第一子を出産。そして2026年7月29日より、母となって初の舞台復帰作「頭痛肩こり樋口一葉」にて主役である樋口夏子を演じることに。同役は2022年にも演じており、自身2回目の挑戦となる。年齢と経験を重ねて説得力を増したその演技力に、今後益々の期待がかかる俳優の1人。
Instagram:@sihori_kanjiya
作:井上ひさし 演出:栗山民也
出演
貫地谷しほり 増子倭文江 香寿たつき 瀬戸さおり 岡本玲 若村麻由美
人は貧しさの中でも誇りを持って生きられると問うた明治の天才女流作家・樋口一葉。
短い人生を駆け抜けた一葉の日記から紐解くのは、あの世とこの世の堺で生きた愛しい女性達のそれぞれの運命。あの女性たちもまた会える…。
すべての人に捧げる儚くも優しい記憶の物語、待望の上演。
≪東京公演≫
7月29日(水) – 8月30日(日)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
★スペシャルトークショー★
8月23日(日) 13:00公演終了後
8月25日(火) 13:00公演終了後
※終演後、ゲストをお迎えしてトークショーを予定しております。登壇者は後日お知らせいたします。
※スペシャルトークショーは、開催日以外の『頭痛肩こり樋口一葉』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第ご入場を締め切らせていただくことがございます。
主催:こまつ座
共催:明治座 / BS日テレ
≪全国公演≫
群馬公演
9月5日(土)13:00/18:00
9月6日(日)13:00
劇場:高崎芸術劇場
岡山公演
9月10日(木)18:30
9月11日(金)12:00/17:00
劇場:岡山県芸術創造劇場ハレノワ(中劇場)
岐阜公演
9月14日(月)14:00
劇場:可児市文化創造センターala(主劇場)
山形公演
9月18日(金)14:00
劇場:川西町フレンドリープラザ
石川公演
9月22日(火)12:00/17:00
9月23日(水)12:00
劇場:能登演劇堂
大阪公演
9月26日(土)18:00
9月27日(日)13:00
9月28日(月)13:00
劇場:梅田芸術劇場シアタードラマシティ
撮影/はぎひさこ ヘア・メイク/北一騎(permanent) スタイリスト/mick(koa hole inc.) 取材/キッカワ皆樹 編集/西村公寿
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2026年11月16日(月)23:59まで
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2026年10月15日(木)23:59まで
2026年10月31日(土)23:59