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名曲「Jupiter」大ヒットの裏にあった知られざる苦悩の日々。平原綾香さんインタビュー#2

「Jupiter」での鮮烈なデビューから23年。年齢と経験を重ね、その歌声は唯一無二の円熟の領域に。デビュー時からのリスナーはもちろん、新しい世代のリスナーをも魅了し続けています。今回の美STオンラインでは歌手・平原綾香さんのよりパーソナルな部分に注目。デビュー秘話や、大ヒット曲「Jupiter」の後の苦悩、今年23年目の現時点と30年目に向けた目標についてまで、たっぷりとお伺いしました!

「平原は歌声がいいから、大事にした方がいいぞ」と恩師に言われて

私は元々、「歌手になりたい!」とは思っていませんでした。父(マルチサックスプレイヤーの故・平原まことさん)の影響で13歳の時にアルトサックスに触れ、洗足学園大学附属高等学校の音楽科に進学し、クラシックのサックスを学んでいたんです。

歌うこと自体は子供の時から好きでしたけれど、人前で歌うとかはなかったですね。引っ込み思案で歌えなかったというか。自分の声を初めて客観的に聴いたのは小学生の時です。私の親友のお父さんがギタリストのDr.K(徳武弘文)さんなのですが、とあるレコーディングで、コーラスで子供の声が必要ということで誘っていただいたんです。その時スタジオで初めて自分の声を聴いて感動したのを覚えています。「私ってこんな声してるんだ」、「あ、ちゃんと声出てる!」って(笑)。

でもその後人前で歌えるようになったかといえばそんなことはなく、相変わらず、ひとりでコソコソと隠れて練習するようなタイプでした。自分の歌声をちゃんと自覚し始めたのは中学3年生の時です。当時ブラスバンド部に入っていて、その顧問の先生が音楽の先生でもあったのですが、授業で合唱したとき、「平原は歌声がいいから、大事にした方がいいぞ」と言ってくださったんです。その時は「そうなんだ」くらいにしか思わなかったのですが、今でもはっきり憶えているありがたい言葉です。

「Jupiter」での大ヒットの裏で、「超えたい!」ともがいていた時期も

人前で歌うことに楽しさを見出したのが高校生の時です。文化祭で、ミュージカルの「天使にラブソングを2」のリタ役を演じ、「Joyful Joyful」を歌ったことがきっかけ。3つ年上の姉がいるのですが、彼女も同じ役を演じて同じ歌を歌ったんです。それが本当に素敵で、「ああ、私もお姉ちゃんみたいに歌いたい」と憧れて、同じ役を立候補をしたんです。なので、今も私が歌えているのは姉のおかげ。そしてそのもっと前から、音楽の楽しさを教えてくれていた家族のおかげで、人生の道標が作られていたんだなぁ、と、今改めて感じています。

デビュー後は、とにかく色んなことが目まぐるしくて!ずっとサックスばかり吹いてきた私が歌手になったわけですから、あまりの忙しさに、あの当時は毎日風邪を引いていたと思います。学校生活と音楽活動の両立は、今から考えると本当に忙しい日々でした。「Jupiter」でデビューした後、私には「動かない、喋らない、笑わない」みたいなイメージがついてしまって。こう見えてめちゃくちゃ動くし、意外と運動神経もいいんですよ(笑)。だから、本当の私を見てもらいたくて、もがいていた時期もあります。

また「Jupiter」のように、たくさんの人に聴いていただける曲を作らなければと。でも、ある時ふと気づいたんです。「Jupiter」に似ている曲なんてない。「Jupiter」は「Jupiter」でしかない、って。それは、同じ人間をもう1人生み出そうとするのと同じくらいおかしなことで、そもそもそんなことは不可能なんです。そう気づいて、随分と楽になりました。自分が「いい!」と思った歌を歌って曲をリリースしていいんだと、自分にOKを出せたような気がします。それは、自分がやっと歌手になれた、と感じたタイミングでもあったのだと思います。

10年目で歌手になれた。20年目で歌への弱音を断ち切れました。そして30年目は・・・

歌は独学でしたし、サックスプレーヤーの私は、もちろん歌手としての下積みもなかったので、すべてが初めての体験でした。ステージで歌うと、ときどき自分の声がよく聞こえなくて、とても歌いにくくて、それがずっと悩みでした。上手く歌えなかったときは、よく落ち込んでましたね。こんなに悩みながら歌うのなら、歌をやめた方がいいんじゃないかと。でもそんな時、母が言ったんです。「音が1ミリでも聴こえたら、あーやなら歌えるよ」。ハッとしました。歌いにくいのを、歌えなかったのを、何かのせいにしていないか?って。「すべては自分だ」って、気がついたんです。

それからの私は、コンサートのリハーサルで、PAさんやモニターさんと出来る限り歌いやすい環境を目指していて、たとえ時間切れで納得いく環境が整わなかったとしても「あとは、私に任せて!」って思えるようになったんです。すると、どんな環境でも歌えるようになってきて、たとえ納得いく歌が歌えなかったとしても落ち込まなくなったんです。何のせいにもしない、すべては自分だって思うとベストを尽くせるんです。そして20年目に突入し、今では新しいフェーズに入ったような気がします。

今年で23年目になりますが、今後の目標は、やはり父のような音楽家になることですね。一音聴いただけで泣けてくるような、あの音を、私も出せるように、歌もサックスもがんばりたいです。

《Profile》平原綾香

1984年5月9日生まれ。東京都出身。2003年に「Jupiter」で鮮烈なデビューを果たす。その類稀な歌声と楽曲の唯一無二さが相まって、瞬く間に日本のトップシンガーとなる。2004年の日本レコード大賞新人賞や、2005年日本ゴールドディスク大賞特別賞をはじめ様々な賞を獲得。その後も「明日」、「虹の予感」、「誓い」、「ノクターン」などのヒット曲を連発。歌手として活躍しながらミュージカル俳優としての才能も発揮し、「ビューティフル」、「メリー・ポピンズ」、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」などで主役を演じる。2026年9月9日、自身のヒット曲をフルオーケストラバージョンで新たにレコーディングした「my Orchestra!」を発売予定。10月からはニュー・アルバムを引っ提げたコンサートツアー、「平原綾香 Concert Tour 2026  ~ my Orchestra! ~」がスタートする。

ニュー・アルバム&コンサートツアーについての詳細はこちらまで!

■タイトル
my Orchestra! (マイオーケストラ!)
■発売日
2026年9月9日(水)
■価格
¥3,850 (税込価格)
■収録曲
01. Jupiter 2026
02. 明日
03. おひさま~大切なあなたへ
04. いのちの名前
05. ふたたび
06. アランフェス協奏曲~Spain
07. 虹の向こうへ
08. キミヘ
09. からっぽのハート
10. Friends on Ice
11. 虹の予感
Bonus Track 夢のあとに

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本記事は、美ST編集部が取材・編集しました。「美ST」は16年以上にわたり、40代&50代女性の美容とライフスタイルを追求してきた月刊美容誌です。

撮影/堺優史(MOUSTACHE) ヘア・メイク/Hiromi スタイリスト/mariko 取材/キッカワ皆樹 編集/西村公寿

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名曲「Jupiter」大ヒットの裏にあった知られざる苦悩の日々。平原綾香さんインタビュー#2

2026年10月号

2026年8月17日発売

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