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【乳がん公表】ブラザー・コーンさん明かす闘病の日々「最初は脂肪のかたまりだと思った」

8月に自身のSNSで乳がんを公表したブラザー・コーンさん。男性の乳がんということでテレビやネットでもセンセーショナルなニュースとして取り上げられました。その後は抗がん剤治療を続け、年明けに手術の予定だそう。実はこれまでも大きな病気を乗り越えてきたコーンさんから、乳がん発覚の経緯や治療の経過、今後についてお話をお聞きしました。

体を洗っている時に乳首の横に違和感。「また脂肪のかたまりかな」と思い病院へ

お話を伺ったのは…歌手 ブラザー・コーンさん(68歳)

少し前に背中に脂肪のかたまりができたんですよ。鏡で見たらちょっとデカいんで、嫌だなぁと思って町医者で診てもらったんです。取っても取らなくても良かったみたいですが、取ってもらいました。背中の違和感がなくなって3週間経った頃に風呂で体を洗っていたところ、左胸の乳首の横にまた脂肪のかたまりみたいなしこりを見つけたんです。歳取るとこういうのがいっぱいできるのかなと思ったんですけど、乳首の横だから嫌でね。まさか乳がんだとは思いませんでしたが、主治医がいる東京女子医科大学病院で診てもらいました。

まず皮膚科に行ったところ、消える場合もあるそうで様子をみることになったんですが、だんだん大きくなってきたので乳腺外科での診察を勧められました。男性の胸だからマンモグラフィは挟みにくいけれど、なんとかやりました。そんなに痛くはなかったです。病理検査で、乳がんだとわかりました。
正直、「面倒くせーことになっちゃったなー」って思いましたよ。男性でも1000人に1人くらいの割合で乳がんになるらしいです。男性が乳がんになるなんて全く知らなかったし、「まさか自分が」と寝耳に水でした。先生から、男性の場合は60歳を過ぎると罹患率が上がると聞きました。

今考えると、背中の脂肪のかたまりはちょっと柔らかい感じだったんですけど、胸のしこりは硬かったですね。飛び出してないけど、触ると奥にゴリッて部分がある。タオルで拭いたりすると「あれ?」って感じです。その後、抗がん剤を始めてからは変化してきて、しこりがペタンとしてきましたけどね。

抗がん剤で毛がガサッとなくなるのが嫌で、最初から剃って現在は坊主に。眉毛やひげも以前より薄くなったそう。

今年の40周年ライブの予定はすべてキャンセル。抗がん剤を数回投与したところ

今年はバブルガム・ブラザーズ結成40周年記念ライブを予定していたんですが、他のライブやイベントなども含め全部キャンセルしました。チケットが払い戻しになってしまって、ファンの方や関係者の皆さんにご迷惑かけて申し訳なく思っていますし、僕自身とても残念です。今となっては歌えたんじゃないかと思うんですけど、周囲から抗がん剤の副作用がすごいから無理だと止められました。
実際抗がん剤をやってみたら、副作用は思ったほどではなかったんです。既に抗がん剤を3回打っています(この取材は9月下旬)。副作用で高熱が出ると聞いていたんですが、熱は37度ぐらい出てすぐに下がり、次に下痢が続きました。それも治まると、めまいが少し。吐き気はほとんどないです。だから今でもバクバク飯を食えるし、昨日はとんかつ定食を食べたくらいです。

僕の場合、手術したら乳首はなくなるみたいです。切るしかないんですよね。乳がんの手術を経験している女性の友人から連絡が来て「私も乳がんになっているから何でも聞いてね!」って。他にも乳がんを経験した人からたくさん連絡をもらって、女性は乳がん経験者多いんだな、って思いました。男性からの経験談は一つもなかったですけどね。
なかなか衝撃的なニュースですよね。ちょっとSNSに出しただけでネットニュースになって、NHKとか全国区の話題になっちゃったんで。全国からお見舞いがたくさん届いたから郵便物を一回ストップしました。SNSも全部返事ができないくらいになって、LINEも300件超えたんで一回止めたくらいで。本当にありがたいです。

現在は東京女子医科大学病院で標準治療を進めています。セカンド、サードのオピニオンを探そうかとも思ったんですけど、18年くらい前にそこで腎臓移植しているんですよ。余命一年と言われて、かみさんから腎臓をもらって。その時のデータが全部あるから、このままの病院がいいかな、と。
15年くらい前には前立腺がんもやっています。病気のデパートって言われますけど、全部クリアしてきたので入院とか病気にはちょっと慣れているんです。前立腺がんは男しかならないじゃないですか。乳がんは女性のイメージだし、「両方なるなんてさすがコーンさんだよね!」ってみんなから言われます。「俺の特権かな?」みたいに冗談で返しているんですけど。大きな病気はしましたけどそれ以外は元気で、趣味のボウリングを週に何回もやっていて去年はボウリングのプロテストも受けました。

治療を始めてから食欲はあるけど、以前のように夜飲みに行って遅い時間に食べない分、体重が5㎏減りました。抗がん剤の影響もあると思いますけどね。抗がん剤でたいてい10kgくらい減るらしいんですけど、ベスト体重を考えるとあと3kg減ったらそのままキープしようかなと思っています。ただ、主治医からは「手術の時に体力がないとダメだから食べてください」「抗がん剤で水分がなくなるから水をたくさん飲んでください」って言われるので水をたくさん飲んでいます。今は手術に向けて体力を付けなきゃっていうところです。

かみさんとか家族はあんまり変わらないかな。娘は二人とも結婚しているんですけど、「パパなら大丈夫だね!」みたいな感じです。今までも何でも乗り越えてきているんで。

だからとにかく自分のおっぱいを触ってくれ、と。おっぱいを気にする方がいいです

これまでにも大きな病気を経験しているんで、2年に1度は人間ドッグに行っています。昔は病院なんて全然行かない人間だったけれど、一度は余命宣告くらった人間なんで、病気すると自分の体を痛めすぎて申し訳ないなとか、そういう反省点が出てくるんですよね。タバコは24年くらい前にやめました。健康意識でっていうわけではなく、あまりタバコが好きじゃなくなったから。がんを経験している大半の人が「笑うことが一番いい」って言うんですよ。自分もジョークとか笑いはいつも持っているようにしたいですね。

男性には、定期的な乳がん検診はないですが、異変を感じたら早く病院に行った方がいい。男性でも乳がんに気付かずに悪化して亡くなる方が日本でも年間100人以上いるっていうのはすごい怖いじゃないですか。だからとにかく自分のおっぱいを触ってくれ、と。男性も自分のおっぱいを気にする方がいいです。

手術が無事に終わって体力が回復してきたら、ライブ活動やイベントを再開し、今後はキャンサーに関わる啓蒙の活動もしていきたいと思っているんです。がんを2回やっているんで。僕のお袋も乳がんになったんですけど、姉貴はかかってなくて、片側のおっぱいがなくなるのが僕で、姉貴じゃなくて良かった、とも思いました。まずは身近な家族から、健康への意識を高く持ってほしい。乳がんは反対側や、すい臓に転移することも多いらしいんですよ。全部調べているけど転移していないし大丈夫です。毎日楽しい企画ができるよう考えているので、今後の活動を応援して下さい。

《profile》
バブルガム・ブラザーズではデュオとして活動し、1992年には自身が作詞作曲した『WON’T BE LONG』がミリオンセラーを突破。ソロとしても精力的に活動していて、2022年12月に9年ぶりの2枚組ソロアルバム『魂信。』(こんしん)をSony Musicより好評発売中。病気を乗り越えた後のますます磨きのかかった音楽活動が期待されています。

取材/菊池真理子 編集/矢實佑理

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