香椎由宇さん「女優、学生、妻…三足の草鞋生活でした」一切ルールなし！がよかった理由

人生の早い段階から幾多の大きな決断をしてきた香椎さん。「何事も自分の責任でするのが好き。それが楽しいんです」。そう語る香椎さんの柔らかな眼差しの中には、揺るぎない意志の強さが秘められていました。今回はそんなターニングポイントの一つである結婚とその後の生活について、こっそりお伺いしました。（全3回の2回目）

大学生までずっと実家暮らしでしたが、とにかく早く家を出たかったんです。自立心が旺盛なのは、もしかしたらシンガポールで子供時代を過ごしていたからかもしれません。多国籍な価値観はもちろん、ちゃんと自分の意見を言わなくてはいけないシチュエーションが多かったですから。

「早く家を出たい」という気持ちが強くて、留学が必須の大学を選んだくらい。留学先のカナダから帰国した後、21歳の時に結婚。実家を出て、女優・学生・妻の「三足の草鞋生活」になりました。とは言っても、妻としてはほとんど機能していませんでしたけど（笑）。いろんな役割をいっぺんに担うことは全く苦ではありませんでした。「ま、なんとかなるか」と思っていましたし、とにかく何でも自分の責任でできることが嬉しくて楽しくて仕方なかったんです。
実家にいた時は親が朝起こしてくれたりごはんを用意してくれたり…当たり前のことではもちろんないけれど、そういった状況に甘えていました。実家を出たことで朝絶対に二度寝ができなくなったり、帰ってもごはんがなくてうんざりしたこともありましたが、人に迷惑さえかけなければ帰宅が遅くなっても、自分のタイミングでごはんを食べたり寝起きすることもできますからね。そこに自由を感じたのかもしれません。

今振り返ってみれば、私の人生には一つには絞れないほどのターニングポイントがあったと思うんです。日本へ帰国したことや芸能界にデビューしたことはもちろん、留学、結婚、出産、育児……思い返すと、その一つ一つが私の中で大きな出来事となっていることに気づかされます。むしろ結婚がそこまで大きくないくらい（笑）。

ただ考えが浅いだけと言われればそれまでなんですが、私は基本的に未来予想図を作らないんです。その時々の感覚で決めることが多いですね。誰かに相談することもなくて、だいたい事後報告。「思いきりが良いね」と言ってもらうこともありますが、「もうちょっと考えたら？」とアドバイスをいただくこともしばしば。

でも、思い詰めて悩んだって仕方ないなと思うんです。そんな時間があるなら寝ていたいかな、と思うほど。私の特技って寝ることなんですよ。どんなにイライラしていても何かで悩んでいても、すぐに寝られちゃう。それで、朝起きたらだいたい結論が出ている。最近、事前に何か相談したことあったかな？あ、「前髪切っていい？」ってマネージャーさんに相談しましたね（笑）。私、何かを決めると早いんですよ。おすすめされたお店もすぐに行きます。フットワーク軽く、何事もやらないで後悔するよりもやってから後悔する派です！

比較的若い年齢で結婚したことは、私にとっては良かったと思います。なんせ何も分かりませんでしたから。
結婚生活にあたって、お互いで決めたルールや約束事はひとつもありません。ある程度の年齢になると自分の中のルーティンが確立されたりすると思うので、それに応じてルールが必要な場合もあるかもしれませんが、私の場合はそんなものがない状態で結婚生活がスタート。思えば私、ひとり暮らしの経験がないんですよ。なので、すんなり順応できたというか。もちろん気は使いました。結婚は生まれ育った場所も環境も年齢も違う二人が一緒の生活を送るわけですから。でもうちの場合は、私より旦那さんのほうがよっぽど気を使ってくれていた気がしますね。

撮影／福永俊樹　ヘア・メーク／坂本志穂　スタイリスト／後藤仁子　取材／キッカワ皆樹　編集／永見理