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図1 シワぼかし製剤を目尻に使用したときの対人印象の変化
発表の概要
タイトル:
顔のシワは等しく改善すべきなのか?
―シワ部位と対人印象との関係についての研究
Should all facial wrinkles be improved?
– Study on the relationship between wrinkle areas and interpersonal impressions
発表者:
コーセー研究所 スキンケア製品研究室 田口 冴恵
概要:
シワは顔の様々な部位に現れ、その人の個性や印象にも関わる重要な要素です。しかし、これまでどの位置のシワがどんな対人印象を与えるかということは十分な科学的検証がなされてきませんでした。
そこで当社では、シワの部位ごとの変化が対人印象にどのような影響を与えるかを明らかにし、それをシワ用の化粧品の使用を通して、叶えたい対人印象を実現することを目指しました。最初に、顔の特徴を平均化する研究を専門とする北海道情報大学 情報メディア学部 向田 茂 教授との共同研究により、様々なシワを画像上に再現できる特殊な画像処理技術を使用して、シワの部位ごとの変化が対人印象に与える影響を評価しました。この結果、シワの部位によって影響する対人印象は異なることが明らかになり、例えば目尻のシワが減ることで一般にも認知されている「若々しい」の他にも、「生活感がない(身なりがきちんと整っている印象)」「凛としている」という印象が高まる傾向があることが分かりました(図2)。一方で、例えば目尻のシワが減ることで「優しい」「温かみがある」という印象が低下することも見出しており、個人のなりたい印象に合わせたシワのケアが求められると考えました。
次に、実際に化粧品を用いてシワをケアすることで、対人印象が変化するかを検証しました。シワのある実験参加者に対して、シワをぼかす効果を持つ製剤を各シワ部位に使用してもらい、その後の対人印象の評価を行いました。その結果、製剤の使用によってシワの見え方が変わり、使用する部位によって異なる対人印象に変化が現れることが分かりました。例えば、目尻のシワに用いた場合は、「若々しさ」と「生活感のなさ」の印象が高まり、「優しい」「温かみがある」の印象は低下することが分かりました(図1)。これにより、化粧品によるシワのパーツケアを行うことで、対人印象を変化させることができ、一人ひとりが叶えたい印象をデザインすることができる可能性が示されました。
図2 各部位のシワとケアにより上昇する対人印象の例
今後の展望
本研究によって、シワに対するパーツケアにより一人ひとりがなりたい対人印象を実現できる可能性が示されました。今後はこの知見をシワケア商品に応用するとともに、シワ以外の対人印象に影響する要素にも研究を拡げ、よりお客さまに寄り添った商品の開発や美容提案につなげていきます。
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