「自分を大事にしない人は人を思いやれない」泉ピン子さん（78歳）の美容と健康哲学

昨年喜寿を迎えてなお艶やかな肌の、泉 ピン子さんにインタビュー。ファッションもコスメも、長年培った審美眼で本物を選ぶのがセンスを磨くコツだそう。橋田壽賀子先生、高倉健さんとの思い出の品も拝見しました。

今日のために、昨日銀座に買物に行って、モンクレールでフード付きジャケットを買いました。カジュアルだけど、黒地に刺繡の入ったデザインが気に入っています。薄手なので、今からの季節に重宝しそうでしょ。大好きなマノロブラニクではビジュー付きのローファーをゲット。マノロは本当に歩きやすいわね。そしてエスカレーターに乗っていたらルイ・ヴィトンのバッグが目に入って、ついお店をのぞいたら、日本にひとつだっていうから、買っちゃったよね。私ね、直感で売れ筋がすぐわかるの。仕事のときも、スタイリストさんにもお願いするけど自前が多い。新しいものを自分で買って纏ってきた。借り物ではセンスは磨かれないよ。普段から本物を身につけないと。どれだけ私が洋服にお金を使ってきたと思っているの！ビルが何軒建ったかわからないわよ（笑）。芝居の上手い人はファッションセンスもいいって、昔から言うのよ。その通りでしょ？

「肌がきれいだね。何やってるの？」ってよく言われる。40代の頃は、休みのたびに、ハリウッド・ビューティサロンに行って、一日かけて全身を磨いてもらっていました。ボディはワックスをやっていたからつるつるだったのよ。そのときの蓄積があって今もお肌がキープできているんだと思う。化粧品は、なくなるたびにIKKOが「お姉さん、これ使ってね」って何種類も送ってくれる。特に紫外線防止の日焼け止めを塗るように言われているんだけど、そんなことやってられないわよ。ドレッサーに置いてある化粧水と、あとよくわからないけど手に取れるものをシュシュッとつけるだけ。

でも、目だけは大事にしています。紫外線はもちろん、近赤外線カットの眼鏡をかけているし、外に出るときはサングラスは欠かせません。

もう食が細くなってるわね。先日夫婦で焼き肉を食べに行ったら、全然食べられなくて。私は血糖値が高いのよ。父親が糖尿病だったの。遺産残さないで、遺伝残された（笑）。もともと果物も甘いものも好きじゃなかったのに、あるときから好きになって、おかしいなと感じて病院で検査を受けたら、血糖値が上がってた。それからは、なるべく青いものを食べるようにしています。

わが家はもう15年来の週末婚。平日夫は東京のマンションで暮らして、土日に熱海に帰って来ます。誰もご飯を作ってくれないし、食べなきゃ死んじゃうから料理はしますよ。朝ご飯は大体トーストにハム、ゆで卵にサラダ、ヨーグルトにキウイを入れて。昼は鮭を焼くことが多いわね。前の晩の残りの冷やご飯を九分粥にして、ひじき煮と一緒にしたりとか。お肉もお魚も食べるし、今凝っているのはアンテナショップでなめ茸などの美味しい瓶詰めを何種類か買ってきて、それを豆腐の上にのっけることかな。

家事をすると手が荒れやすくなるから、ハンドケアはきちんとしています。だから手はきれい。匂いフェチの天童よしみからもらった香りのいいハンドクリームを必ず丁寧につけます。天童よしみも料理はするけど手はキレイなのよ。ゴム手袋は面倒だからしない。ネイルも爪が傷むからしなくなりました。

本籍地は東京都中央区銀座四丁目。生粋の江戸っ子のピン子さんが、熱海に移り住んで約15年。2023年のリフォームを機に、海を一望するマンションのベランダで家庭菜園を始めたとか。

本記事は、美ST編集部が取材・編集しました。「美ST」は16年以上にわたり、40代＆50代女性の美容とライフスタイルを追求してきた月刊美容誌です。

『美ST』2025年11月号掲載
撮影／中川真人（magNese）　ヘア・メーク／林 香織（ヘアーベル）　取材／安田真里