【27歳の女性が50代の母のために…】大人の悩みに寄り添う名品コスメ

時代を超えて愛され続ける名品コスメたち。そのベストセラーの裏には、誰かを助けたい、勇気づけたい、という強い想いと諦めない探究心がありました。喜びや満足感をくれるコスメは、努力を惜しまない創業者や開発者の存在とその情熱で生まれていたのです。そんな名品コスメたちの誕生の物語を紹介します。

▼あわせて読みたい
イヴ・サンローラン｜44年間のブランドヒストリーと人気コスメ全14品

A ニュアンスレッドを直接塗るだけで魅力的な唇が完成。モイスチャーリップスティック グロウ 01 レッドローズ ¥3,960（UNMIX）、B 50種類の美容成分をぎゅっと詰め込んだオールインワン美容液。潤う肌に。50の恵 コラ ーゲン養潤液 230ml ¥1,551（ロート製薬）、C 温泉水のミネラルと尿素・PCA配合。重ねづけするともっちり感アップ。オサジ フェイシャルトナー 200ml ¥2,310（日東電化工業）

【全ての女性にとってリップは美の入口。惑わされず、自分らしい綺麗を見つけてほしい】
NYを拠点に、メークアップアーティストとして活躍する 吉川康雄さんが、2021年に立ち上げた新ブランドがUNMIX。そのデビューアイテムがリップでした。「自分らしく、個性を磨く楽しさ」。吉川さんが伝え続けているメッセージを身近に感じてもらうには、誰もがひと塗りで簡単にメーク効果を実感できるリップこそ最適だと思ったから。2016年から構想を巡らせ15年、進化を積み重ねた集大成でした。最初に発売したのはレッドローズの1色。質感はグロウとステインの2種。静脈の血の色をイメージして、鮮やかな赤にくすみを加えたカラーです。特にマスクで口元を隠すようになったコロナ禍で、リップをつける人も見る人も、唇がどれだけ魅力的なパーツだったかを再認識したはず。唇が持つ華やかさや生命感、エネルギーを感じるレッドには、マスクを外す瞬間がドラマチックなものになるように、という思いも込められているのです。

【50代はホルモン・ライフスタイル・肌の変わり時。27歳の女性社員が母のために諦めなくていいコスメを開発】
2006年の秋、1人の研究員が50代を迎えるお母様の肌悩みを解決したいと開発をスタート。50代の女性は子育てが落ち着 き、閉経を迎え人生の転換期で肌の悩みも多くなります。お母様もどれを選べば良いのかわからない、たくさん使うのも億劫と悩んでいました。そこで彼女が注目したのが当時まだ珍しかったオールインワン。50種類もの美容成分を配合し、1プッシュで50代が抱える様々な悩みに応えたいと考えます。年齢を示すブランド名は受け入れられるのか、不安もありました。でも心配とは裏腹に「もう迷わなくていい！」という声が多く届いたのです。こだわったテクスチャーのおかげで、さらに上の60代〜80代の方にまで喜ばれました。毎日心地よく使ってこそ化粧品としての効果があると考え、決して妥協しなかったから。完成した時に肌を「触って触って！」と喜んでくれた母の笑顔が成功の証し。42歳になった今も、その笑顔が研究員を支えています。

【事故後のストレス肌に悩む母を想い、息子が作った優しさ溢れる化粧品がオシャレにブラッシュアップ】
2001年から開発に情熱を注いだ茂田正和さん。そのきっかけは約20年前のある日、突然起こったお母様の交通事故でした。活動的でオシャレや美容も好きだったお母様でしたが、事故による精神的ストレスでそれまで使っていた植物由来の化粧品が全く使えなくなってしまったのです。そこで、安全なコスメとは何なのか、以前のように生き生きとした母の顔が見たいと化粧品作りを決心しました。独学で肌や成分について学び、自宅キッチンで料理やお菓子を作るかのように試行錯誤を繰り返す日々。2011年からは洗面所に置きたくなる、インテリアとしても美しい敏感肌用の化粧品を作りたいという思いが高まり、2017年OSAJIが誕生しました。現在、お母様は71歳。つるんとした肌で輝いているそう。「精神が乱れた時、上手に乗り越えるサポートツールとして、いつでも帰ってきてもらえる守りのブランドでありたい」という茂田さんの優しさは確実に広まっています。

2022年『美ST』3月号掲載
撮影／吉田健一　取材／関根実凡、森島千鶴子　編集／漢那美由紀