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石黒賢さん(56歳)「妻とは中学生から知る仲。夫婦は、とにかく会話です」

頼れる上司役から冷徹な悪役、コメディまで幅広くこなすオールラウンダーな俳優・石黒賢さん。美ST読者にとってはともに青春を過ごした憧れの先輩のような存在で、爽やかさと引き締まったスタイルは変わらず、渋さも加わりますます輝きを放ち続けています。その魅力は、テニス解説など新たなことにトライし続ける姿勢からきているもの。「やりたいことがたくさんありすぎる」と語る石黒さんの挑戦するモチベーション、プライベートのお話を伺いました。

大人になって始めたピアノ。今まで苦手だった練習が苦じゃなくなった

休日は長年続けているテニスに加えて、ピアノの練習、庭の手入れ、英語の勉強、映画鑑賞…。一日があっという間に終わっちゃう。やりたいことがたくさんあって毎日大変なんですよ(笑)。

ピアノを始めたきっかけですか?今まで音楽とは全く縁がない人生だったので、「男性でピアノが弾けたらかっこいいかも」と、何となく憧れるようになったのがきっかけです。でも始めてみたら、すごく楽しくて!スポーツと同じでやればやるほど、それまでできなかったことができるようになる。努力がそのまま成果に結びつくのが快感で。もともとは練習が苦手で、テニスも地道な特訓よりもすぐに試合に飛びつくタイプだったのですが…。ピアノはなぜか、ぶっ続けで2時間練習するのも苦じゃないですね。

英語の勉強はもともと好きだったこともありますが、テニス関係の仕事で選手にインタビューするときに役立てたくて、さらに力を入れるようになりました。選手も、何度も聞かれるありふれた質問よりも、「どうしてあの場面であのように攻めたの?」と一歩踏み込んだ質問をすると熱く語ってくれるんですよ。でもそこに通訳が入ってしまうと1クッション置かれるので、せっかく盛り上がっている場の温度が下がってしまう。通訳を介さず自ら英語で質問することで、もっと核心に迫る良いインタビューができると思うんです。

日本のアスリートはもっとリスペクトされるべき

スポーツはすごく好き。父がテニス選手だったので、その影響で子供の頃からやっていたこともあり、特にテニスへの思い入れは人一倍強いです。テニスをやっていた経験は体力的にもメンタル的にも役者業に大いに活かされていますし、その経験があったからこそ、スポーツが与える感動に、我々俳優の力は到底及ばないということも十分感じています。

プロアスリートは選手寿命も短く、怪我をしたら選手生命が絶たれてしまう過酷な人生。そこに全身全霊をかけて日々練習しているのは本当にすごいことで、海外では人々の尊敬を集める存在です。日本でも、もっとリスペクトされるべき存在だと思いますね。

去年のオリンピック・パラリンピックも、東京で開催されて本当によかったです。僕は車椅子テニスも奥深いものがあるスポーツだと思っていて、どれだけすごいことをやっているのか、またそれぞれのスポーツへのリスペクトも伝えていけたらと思っています。選手がもっと競技に注力できるようになれればいいですね。

テニスの錦織圭選手や大坂なおみ選手、車椅子テニスの国枝慎吾選手といった一流プレイヤーのすごさには毎回圧倒されます。機会があればぜひ間近で見て感じてみてほしい!生で観戦すると、ボールの動きや音、選手のオーラ、すべての迫力が段違いです。

ライブが命なのは、僕たち俳優も同じ。映画やテレビもいいけれど、俳優なら舞台をやらないと、と思い、今年は何年ぶりかに舞台に出ることを決めました。僕たち演者から発する“気”がお客様に伝わり、そして逆にお客様からも“気”をもらえるのが舞台ですからね。

夫婦といえども、とにかく会話。日常的に「ありがとう」を伝えることが大事

仕事のことも含めて、僕は家ではよく話をします。昔は、「推して知るべし」とか「言わずもがな」とひとりよがりで思っていた時期もありましたが、やはり言わなきゃ伝わらない!と、この年になって思うようになりました(笑)。夫婦であっても言葉に出して伝えないと相手には伝わらないですよね。

妻とは中学生の頃からお互いを知っているので、気取ることがない関係性なんです。でも男性はプライドが高いから、自分の辛いことを妻に言ってもどうせわからないとか、自分の思いを吐露するのはダサいと思いがち。とはいえ、さらけ出せる場所は家しかないですからね。さらけ出せる関係性を築いておくことが大事だし、そのためにはとにかく会話をすること。日常的に、「ありがとう」と言葉で表すことが大事だと思います。

《石黒賢さんプロフィール》
1966年生まれ。俳優、児童文学翻訳家。1983年ドラマ『青が散る』で主演デビュー。以来映画・ドラマ・舞台・ラジオなど多方面で活躍。その他、絵本の翻訳、ナレーションをはじめ、12年より「ウィンブルドンテニス」(WOWOW)のスペシャルナビゲーターを務める。舞台「7本指のピアニスト」(7/24〜7/31サンシャイン劇場)、「脳内ポイズンベリー」(8/26~東京・明治座、9/10~大阪・クールジャパンパーク大阪WWホール)に出演。

《衣装クレジット》
シャツ ¥71,500、パンツ¥132,000(ともにチェーザレ アットリーニ/DIETRO LE QUINTE)靴 (ペニーモカシンラバーソール)¥94600 (トッズ・ジャパン)

《お問い合わせ先》
DIETRO LE QUINTE(ディエトロレクインテ) ☎03-6427-9894
トッズ ジャパン ☎0120-102-578

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撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) ヘア・メーク/青木理恵(art factory inc.) スタイリスト/寳田マリ 取材/中田ゆき 編集/浜野彩希

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