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53歳で出産した美容家・上田実絵子さん「夫婦でのポジティブな妊活でした」

30代後半から50代にかけては、妊活から更年期まで女性ゆえに抱える悩みが幅広い世代。悩みが多いからこそ、フェムテックの最新情報には敏感でいたいものです。妊活中の人に嬉しいニュースとして、2022年4月より一部の不妊治療が保険適用に。長い不妊治療を経て、53歳で初産を経験した美容家・上田実絵子さんにお話を伺うとともに、美ST世代の妊活を考えました。

12年間に及ぶ妊活はとても苦しく大変でした

最初に卵子を凍結した41歳の頃から数えると、12年後の53歳で奇跡的に愛しい娘を授かることができました。実は本気で妊活に取り組んだのは46歳から。40代後半の不妊治療は体力的に本当に辛く、不妊治療を周囲にオープンにしていなかったこともあり、起き上がれないほどの体調に鞭打って仕事に行くことも。最初は複数採卵できていた卵子も、どんどん採卵数が減っていって、50歳の頃にはやっと採れた卵子も着床どころか受精卵にすらならなくなっていき……自分の体の残り時間をひしひしと感じて心が折れることも一度や二度ではありませんでした。妊活を始めるまでは、努力すれば叶わないことはないと信じてきました。でも努力しても叶わないこともあるのかも、と思い知らされたのが妊活。ですが情報は力です。私たちの経験が妊活に取り組んでいらっしゃる方に、もしもお役に立てば嬉しいです。

レーナ・マリア主宰 上田実絵子さん
〝神の手〟と呼ばれる独自の小顔メソッド「Miekoメソッド」による施術が大評判で、延べ12万人を小顔に!日本のみならずハリウッドやドバイの王室の方々にも定期的な施術をおこない、日本人で初めてエミレーツ航空機内誌の表紙に登場。

諦めず、本気で、でも明るくがモットー!

41歳で卵子の凍結スタート。46歳で夫と交際を始め、仕事で訪れたドバイのクリニックで勧められるまま卵子と受精卵を凍結。でも当初はタイミング法でも妊娠可能だと思い、数年間、自然妊娠を狙って過ごしました。48歳の頃、どうしても子供を抱きたい、親に孫を抱かせてあげたいという気持ちが溢れ出し「3年間」と期限を決めて本格的な妊活に。体重増加を改善するため、ダイエットにも挑戦。間もなくコロナ禍になり毎週PCR検査をしながら全国の不妊治療専門クリニックを7カ所ほど回りました。心がけたのは治療だけでなく、温泉やその土地の神社仏閣を巡るなど楽しいこととセットにすること。でもやっとの思いで採卵した卵子が受精卵にならず、「卵子の老化が原因」と伝えられた時は涙が止まりませんでした。

そんな中で北九州の先生に問われた「何のために不妊治療をするのか、遺伝子を残したいのか、赤ちゃんを抱きたいのかよく考えて」の言葉には深く考えさせられました。養子縁組も視野に入れ、並行して情報を集めつつ夫婦で話し合いも。52歳の頃、これで最後、の気持ちでドバイに飛び、凍結してあった受精卵を体内に移植したところ奇跡の着床。着床しても順調に育たなかった経験もあり、妊娠を伏せたまま妊婦生活を送りました。最悪の事態を想定すると報告のタイミングが難しく、唐突な出産報告に驚いた方も多かったと思います。

何のために子供が欲しいのか、意識改革して命をかけての出産へ

41歳の頃、開発してきた独自施術、頭蓋骨加圧の実証実験のため、ホルモン値の計測をスタート。卵子も凍結。知識不足で5年の契約期限を更新せず、後悔しました。47歳頃のタイミング法トライ時期に一番夫婦仲がぎくしゃく。早く体外受精などにステップアップをすれば良かったと思いました。49歳を過ぎたあたりは受精卵さえなかなかできなくなるように。海外では「高齢出産の母体を守る」ために着床前診断がなされていると知り、考えが改められました。ドバイのクリニックで凍結していた受精卵があり、52歳の時に最後のつもりで海外渡航。着床、妊娠へ。

妊活は二人三脚。パートナーの理解とサポートが前向きに取り組む秘策に

夫・勝さん。ドバイで実絵子さんの通訳として仕事をサポートするうちにお付き合いに発展。優しく穏やかながら飄々と妊活をサポート。

実絵子さんの「授かったら儲けもの」の前向きさは、夫・勝さんのサポートから生まれたもの。一緒に歩むパートナーの思いが大きな支えになりました。

夫・勝さん「妊活を始めた頃は子供はいたら楽しいかな、くらいだったのですが、ドバイで病院での医師との通訳や支払いをしているうちに、幸運にも最初からすべての情報に携わり、今この治療をすべき理由や自分に求められていることが論理的にきちんと理解できたことで主体的に妊活に関われました。妊活を始めるなら最初からご夫婦で揃って病院へ行くのが良いのかも。医師の話を妻経由でしか夫が聞けていないと、先々の熱量や情報量に差が出てくるような気がします。

それでもタイミング法には苦痛を感じました。僕自身は医師の話を元に自分で調べ、生殖医療の情報が自分の中で因数分解できるようになってから初めて妊活と本気で向き合えるように。妻はとても強い人ですが、それでも年齢的な限界のある中でなかなか結果の出ない治療に取り組んでいくのはかなり辛かったよう。だからこそ僕は子供が欲しいからではなく愛情があるから一緒にいるんだ、との思いを忘れないよう、淡々と、でも明るくを心がけました。愛犬・レオンを飼い始めたのも大きな転機に。お世話したりパパ・ママと呼んだり呼ばれたりする中で子供がいる生活ってこんなふうなのかと心の準備が。そのタイミングを待っていたように娘が生まれてきてくれて。2人で歩んだと心から言える妊活でした。治療に携わってくださった皆さまや応援してくれた方々、そして何よりも妻に心から感謝しています」。

一生の思い出にマタニティフォトも撮影。妊娠をオープンにしていなかったのでビッグサイズの服を着て「太っちゃって」と乗り切りました。

妊活の心の支えになってくれた愛犬と愛娘を愛しそうに抱く夫の感慨深い写真。

残り時間を意識せずにはいられませんでしたが、「旅行のついでに不妊治療の病院も寄っていこう」というような心持ちでナーバスにならないように気を付けて治療に向き合いました。授かったら感謝、後悔だけはしない、という気持ちでした。ネガティブになったらストレスでどんどん治療効果も下がってしまう気がして。医療はお医者様に頼る部分が大きいですが、明るく前向きな気持ちを保つことが自分でできる一番の妊活かもしれません。

コロナ感染も経験したのち、無事出産

妊娠中は後期まで順調にお腹で育ってくれ、ギリギリまで働いていたのですが32週でまさかの前置胎盤が発覚。絶対安静のうえ、転院を余儀なくされました。もともと年齢的にハイリスクだったため出産は帝王切開の予定だったのですが、オミクロン株に感染してしまい、さらに高血圧症に。36週に血圧が170を超えたため、正期産には少し早かったのですが、緊急帝王切開で本当に命がけの出産でした。

私は妊娠とは生命の神秘であるとともに科学であるとも思っています。ですが、自分ではどうにもならない部分も大きい妊活の不安やストレスはパワースポットを巡ることで解消し、ポジティブな妊活を目指していました。夫もお参りを通して自分の希望や決意を繰り返し心に刻むことで、妊活への本気度が上がっていったよう。妊活に限らず、ご夫婦や大切な人とのパワースポ ット詣では良いご縁になると思います。医学的には卵子は若返らないと聞きましたが、できることはすべてやろうと体質改善も真剣に取り組みました。妊活と美活は共通点が多く、健康を守ることにも。責任を持って子育てに取り組むためにも、健康でいることは重要。これからもできる限り美活を続けていきます。

美ST世代の出産事情は大きな変革期に

母の年齢(5歳階級)別にみた出生数の年次推移

注:※印は概数である。1)総数には母の年齢不詳を含む。出典:厚生労働省「令和2年(2022年)人口動態統計月報年計の概況」

1985年に比べると2020年の出生総数は約6割になっているのに比べ、40〜44歳の出産は8,224→47,899で約6倍、45歳以上は245→1,676で約7倍と大幅にUP。それでも40代以上の出産は約0.6%から約6%とまだまだ狭き門なのも現実です。

最も多く不妊治療をしているのは39〜42歳

ART治療周波数 2019

出典:日本産科婦人科学会「ART妊娠率・生産率・流産率2019」

この表は生殖補助医療(ART)を用いた治療を受けている方の年齢と実際に妊娠や出産に至った方の年齢を比較したもの。妊娠周期数・生産周期数は39歳を境に減少していることが読み取れます。年齢が高くなるほど治療のハードルは高くなる傾向。

一部が保険適用になったものの40代には制限がある不妊治療保険診療の現実

一般不妊治療と呼ばれるタイミング法や人工授精のほかにも、体外受精や顕微授精、精巣内精子採取術など生殖補助医療もこの4月より新たに保険の適用がスタート。さらに治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)もあります。が、保険の適用には年齢・回数制限が。初めての治療開始時点の女性の年齢が43歳以下であることが条件です。さらに40歳未満通算6回まで、40歳以上43歳未満通算3回まで(それぞれ1子ごとに)と回数の条件も年齢が高くなるほど厳しい制限が。

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2022年『美ST』8月号掲載
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/永田紫織(nous) 取材/佐藤理保子 編集/漢那美由紀

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