SKINCARE

マスク生活で急増する【敏感肌】対策の正解は?女医・慶田朋子先生に聞きました

〝敏感肌〟という言葉が使われだしてから約20年。日常的にマスクを使うようになってからは、自称敏感肌の方も激増中。40代からは、敏感になりがちな肌をいかにコントロールしながらエイジングケアをするかが課題。2021年の敏感肌ケアを慶田朋子先生と考えます。

敏感肌は治すより“コントロールする”つもりで向き合って!

バリア疾患であるアトピー性皮膚炎とは0歳からの付き合い。学生時代は苦労しましたが、今は知識と経験を得て、スキンケアだけでコントロールしています。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーは、乳児期からの保湿を完璧にすれば症状が出にくくなると分かってきており、スキンケアは極めて重要なんです。さらに、敏感肌でも肌状態を観察し、適切な選択をすれば、エイジングケアにタブーはありません。例えば、肌の代謝を高め、自ら潤う力を育むレチノール。反応の強さが心配な人も多いと思いますが、濃度と頻度を少なく調整すれば敏感肌でも使えます。美容医療も可能で、フォトフェイシャルは肌のかゆみをコントロールするのに良く、ピコレーザーはアトピーの難治な色素沈着にオススメです。ただ、小さなプツプツができたら、湿疹初期なことが多いので、使っていたものを即中止。不調は早い段階での消火が大事。炎症=老化の加速なので注意して。

東京女子医科大学医学部医学科卒業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本レーザー医学会認定レーザー専門医。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法』(小学館)など。

1:湿疹のサインが出たら抗炎症系スキンケアに切り替え

「肌荒れのサインを感じたら、高い鎮静効果を持つトラネキサム酸が配合されたものにスイッチ。アレルギーテスト済みで安心感が。トラネキサム酸は美白効果も期待できます」ナビジョン DRTA ホワイトエマルジョン n ¥8,500(資生堂)

2:レチノールは徐々に濃度を上げながら様子見で

「エビデンスを持っている会社のものを信頼。データを読み込み、濃度や処方もチェック。肌状態を見ながら少しずつ濃度、塗布する頻度を上げていくのが◎」純粋レチノール0.1%配合。ナノメッド VA エッセンス¥6,500[編集部調べ](銀座ケイスキンクリニック)

3:インナーケアも大事。 コラーゲンは規定量の3倍を

「経口コラーゲン摂取に疑問を持っていましたが、最近は臨床試験のエビデンスを持っているメーカーも多く、実際効果を感じます」上・低分子化されたコラーゲン100%の粉末。無味無臭で、さっと溶けるから続けやすい。ニッピコラーゲン 100 ¥5,400(ニッピコラーゲン化粧品)下・吸収されやすさにこだわったHTCコラーゲン3,000mg配合。ディープチャージ コラーゲン スティックゼリー ¥2,000(ファンケル)

肌状態の底上げが若返りになるから、調子を崩さないことが第一

30歳頃、スクラブ洗顔やピーリングの美容法が流行り、一生懸命にやりすぎて肌のバリア機能を壊して以来、肌質が敏感に。40代はレーザーなど美容医療や高級エステを積極的に取り入れましたが、刺激を感じやすい状態はそのまま。今は少しでも合わないとピリピリするので、肌に合うと確信を持てた「エルセラーン」に一本化しています。それでも赤みが出てきたら、洗顔はせず優しくクレンジングだけで化粧を落とし、美容液もあえて避けるように。アイテム数を減らして肌に触れる回数を減らします。マッサージも刺激になるので、肌にのせるだけの美顔器「セルリターンプレミアムマスク」を使用。LEDでエイジングケアやホワイトニングができつつ鎮静モードもあり、敏感肌でも安心です。美容好きなので、興味があるものはたくさんありますが、肌の調子を崩しては元も子もない。今は、肌の調子を高いレベルで保つことこそが若返りだと思っているので、無理はしません。

第1回美魔女コンテストファイナリスト、第10回美魔女コンテストではグランプリになり、クイーンオブ美魔女に。現在はトータルビューティアドバイザーとしても活動。

1:肌に合うコスメひと筋、調子によって減らしたりも

「オーガニックブーム以前から天然系原料、機能水を贅沢に使っており、肌に刺激がないので愛用しています」左上:マッサージもできるなめらかなクレンジングクリーム。エルシェラDNA マッサージ&クレンジング ¥3,000 中:アスコルビン酸2-グルコシド配合。ベジータシェラコンテ スペリオ ¥20,000 右上:炎症を抑えるグリチルリチン酸ジカリウム配合。ジェルタイプの保湿液。薬用 ルメード F&B ジェル Ⅱ ¥15,000 左下:ベジータ エモイルAT-P ¥4,000 右下:ルメード モイスト AT-P¥4,000(すべてエルセラーン化粧品)

2:摩擦を避けるためにクレンジングは〝パテ塗り〟で

肌への摩擦を徹底的に避けています。クレンジングクリームも1回でこれくらいは使います。まるでパテのように肌に厚く伸ばし、指が肌に触れないように馴染ませ、優しく洗い流します。

そもそも「敏感肌」と「ゆらぎ肌」は何が違うの?

「アトピー性皮膚炎」は、遺伝的にアトピー素因がある人が小児期から発症する皮膚病。大人になって急になる人はいません。「敏感肌」は、様々な刺激に弱い状態の肌を指し、アトピー性皮膚炎も含む大きなカテゴリー、肌の傾向で医学用語ではありません。刺激に弱い状態が常態化したのが「敏感肌」で、季節や生理周期などで一時的になるのが「ゆらぎ肌」。(慶田先生)

摩擦、ムレ、皮脂吸収……マスク生活でゆらぐ人激増!

5月くらいから、マスクで肌が荒れたと受診される方が激増しました。マスクに皮脂や保湿成分を奪われ、摩擦により角質が肥厚。さらに毛穴が詰まってニキビができやすくなったり、ヒリヒリしたり。それまでそういった症状がなかったのに、マスクをつけ始めてからかゆみ、赤み、ピリピリ感が出てきた場合、いわゆるゆらぎ肌に陥っている可能性があります。(慶田先生)

新発見!花粉で肌荒れするリスクは誰にでもあった

資生堂は、スギ花粉に含まれる抗原たんぱく質「Cry j1」が、肌のバリア機能を低下させることを発見。すなわち花粉アレルギーのあるなしにかかわらず、花粉やアレルゲンが皮膚に侵入するのを防げなくなるということです。スギ花粉アレルギー対策に加え、肌荒れを防ぐ観点においてもスギ花粉が付着しないよう肌を保護することの重要性を見出しました。

2021年『美ST』2月号掲載
撮影/大瀬智和(人物)、大槻誠一(静物) ヘア・メーク/永田紫織〈LA DONNA〉 取材/吉田瑞穂 編集/浜野彩希

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