女優・斉藤慶子さん|幸せって、無欲になったときにポンと舞い込んでくるものです

女子大生のとき、JALのキャンペーンガールとしてデビュー。グラビアを制覇し、週刊誌の表紙を飾っていた当時と肌も体型もまったく変わらず。今年還暦を迎えてビキニでグラビア撮影にもチャレンジしたという斉藤慶子さん。50歳で子連れ再婚し、「今が最高に幸せ!」という斉藤さんに、幸運を摑む秘訣を伺いました。

幸せって、無欲になったときにポンと舞い込んでくるもの

お話を伺ったのは……女優・斉藤慶子さん(60歳)
愛くるしい笑顔、スレンダーなボディ、還暦とは思えないほど若々しい斉藤慶子さん。ドレス 参考商品(ファビアナフィリッピ/アオイ) イヤリング ¥1,452,000、ネックレス ¥492,800、ブレスレット ¥1,265,000、リング ¥541,200(すべてブルガリ/ブルガリ ジャパン)
《Profile》
'61年宮崎県出身。’82年JALの「沖縄・夏」キャンペーンガールでデビュー。’94年映画『東雲楼 女の乱』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞。NHK大河ドラマ「秀吉」、連続テレビ小説「わかば」をはじめ、ドラマや映画などで活躍を続け、番組コメンテーターとしても出演。

50歳で子連れ再婚、還暦でビキニに挑戦

先日還暦を迎えました。そのタイミングで、なんと30年ぶりにビキニになって、九十九里浜でグラビア撮影をしてきました。緊張したー。でも、ものすごく楽しかったですね。

3月にグラビアのお話をいただいて以来、その日に照準を合わせて生活してきました。実は20代から体重も変わらなければ、体型もほとんど変わっていないんです。とはいえ、ハリはなくなるし、たるみには抗えないので、シックスパッドのフットフィットライトなどの通販グッズを使って、自宅リビングで腹筋やストレッチを頑張りました。炭水化物も少し控えて、脳にも「キレイになる」と言い聞かせ、どうにかカラダを作り上げました。撮影前日は、あえてよく歩いて体を疲れさせ、睡眠をしっかりとって、心身ともにベストなコンディションで撮影に挑みました。

若いころはほとんど毎日のようにグラビア撮影で、久しぶりに当時の写真を取り出して見ていると、自分が愛おしくなります。60歳の水着姿、かなり勇気が必要でしたが、今の幸せ感がにじみ出ているとうれしいな。

運動をまったくしないけど家の中ではよく動きます

ふだんはほとんど運動はしていません。黙々と何かをやるのが苦手で、思い出したように腹筋をたまにする程度。この60年、ジムに行ったのも1、2回で、ひたすら歩くだけのウォーキングも好きじゃないですね。デパートの下から上までとか、あのレストランまで歩こうとか、鼻先に人参をぶらさげられたら、多少は歩く気になるんですけど(笑)。とはいえ、横にごろんとなってテレビを長時間見ているかと言うと、それもない。家の中では常に動いています。朝起きて、そこから1時間で部屋の掃除からトイレ掃除、洗濯、神棚と仏壇のお供え、朝ご飯作り、犬の世話など、バタバタと動き回って、一気に家事を片付けてしまいます。

食生活にもまったく気を使っていなくて、好きなものを好きなように食べています。お肉もお米も麺も好き。特に野菜がすごく好きで、キャベツときゅうりが大好物。キャベツ1個丸ごと料理屋さんに持って行って、「千切りにしてください」とお願いしたことも。それを大好きなマヨネーズで食べたり、ハムとチーズときゅうりとキャベツをいっぱい挟んだサンドイッチにしたり。基本的には生のまま食べるんですが、1個買ってもすぐになくなっちゃう。昼はコンビニで買ってきたものをチンすることもあるし、カップ麺ってことも(笑)。家でのひとりご飯は適当に済ませちゃいますが、外食にはこだわります。洋食が好きですね。

一方、主人は平日は会食が多いので、家での夕食はご飯と味噌汁と干物といった和定食のようなものでいいという人。なので、主人のご飯はちゃんと作って、主人が食べている間は話をしながら付き合って、片付けまで終えたら、「じゃあ、私は食べに行ってくるね」と外へ。でも、1時間くらいで帰ってきます。ひとりでレストランに行くこともあれば、気の置けない友人と行くことも。空間を楽しみながら、美味しいものを食べるのが何より好き。ご飯を美味しく食べたいので、間食は一切しないし、夕食に美味しくお酒を飲みたいから、昼には絶対にお酒は飲まないの。楽しみは夜に集中です。私、こんなふうに何も気にしてこなかったけど、毎年受ける人間ドックの血液検査は全てA評価。しかもHDL(善玉)コレステロールが高いと褒められます。更年期も一切なかったし、病気もしたことがなくて、体と肌は強いけど、色黒です(笑)。

外出しない日もメークは必須。洋服を着るのと同じ感覚です

年齢を重ねるごとに口紅と頰紅の重要性を実感。マスクをしていても口紅はマスト。忘れたらお店に駆け込んで買います
鏡を見て、「残念」って気持ちが下がるのが嫌で、出かけない日でも必ずメークはしています。若い頃からずっとですね。大学2年生になる娘に、「なんで出かけないのにメークしてるの?肌を休ませたほうがいいよ」って言われるわけ。「大人だねー。でもメークすると、しゃきっとするからね」って答えます。家にいても日焼けはしますから。でも、メークは早いです。3分?いや2分でできます。洋服を着るのと同じ感覚で、短時間だけど、自分のために毎日するんです。

高校卒業時、資生堂のメーク講習会があったでしょう?当時は「不思議なピーチパイ」の時代。パレットをいただいて、そのときから化粧品はほとんど資生堂。ファンデはクレ・ド・ポー ボーテのタンクレームエクラをつけてから、パウダリーのタンプードルエクラを。年齢を経ると健康的に見えたいから、口紅と頰紅が特に重要だと思っています。それで口紅はどちらもクレ・ド・ポー ボーテですが、純粋な赤の105番に、グロスの4番を重ね、オレンジっぽく仕上げます。マットよりパールが好きかな。105番はすごく気に入っていて、いつも持ち歩いていますが、忘れてしまったら、薬局か百貨店に駆け込んで、必ず買いますね。マスクを外したとき、口紅をつけていないのが絶対に嫌なんです。頰紅はマキアージュのドラマティックムードヴェール RD100が好き。目元はノーマスカラで、眉とアイラインを描いて終了。マニキュアだけはコスメデコルテのローズピンクのPK845を自分で塗っています。気に入ると、どれも長く使うタイプ。いつも行く渋谷西武に親しいBA(美容部員)さんがいらっしゃり、「いつもの」と自ら買いに行ってます。

スキンケアも資生堂のシリーズで、年齢ごとにバージョンアップしてきました。40代からはクレ・ド・ポー ボーテを使っています。化粧水はコットンは使わずに、手でパシャパシャつけ、美容液とラ・クレームが定番。最近、シナクティフをラインで揃えて使い始めました。容器からして重くてゴージャス。気持ちが上がります。エステは西麻布の隠れ家プルミエエトワールに月2回ほど通い、老廃物を流してもらいます。気づくと3カ月に1回ということもありますが、春からは撮影のために週1で通いました。

よく首がキレイと言われるのですが、確かにシワが少ないです。高い枕が苦手で、若いころは巻いたタオルを枕代わりにしていたほど。今はテンピュールですが、枕があるかないかくらいの高さが好き。自分に合った枕を使うことがシワ予防になると聞きました。昔からヘアスタイルはほぼショート。仕事時にヘアメークさんにカットしてもらうこともありますが、伸びるのが早いので、ほぼ自分で切っています。毛の流れがわかっているのでコツを摑めば失敗はないです。数カ月に1回パーマをかけますが、ヘアカラーも白髪染めもしたことがありません。白髪はぽつりぽつりとあるのですが。白髪は母も少なかったですね。

子連れ再婚は大変だけど、今は最高に幸せです

宮崎県小林市という星がキレイなところで生まれ育ちました。子どものころから勉強が好きで、高校は進学校。1週間に50時間勉強して、熊本大学教育学部に入学しました。大学時代はスチュワーデスになるのが夢でしたが、ひょんなことから芸能界に入って上京し、女優の道を歩み始めました。でも、欲はなかったですね。言われるがままに仕事をしてきて、35歳で結婚、38歳で娘を出産。40代は子育て一色でした。娘が幼稚園に入るころから仕事もセーブして、小学校受験に向けて頑張りました。あらゆる情報を収集して、リポビタンDを飲んでから説明会に出かけたり、思い通りにならない娘に言い聞かせたり。結果、第一志望の、大学までエスカレーター式の小学校に合格して大満足。でも、その後、娘は全然勉強しなかったですね(笑)。

娘はずっと反抗期みたいなものだったかな。私も模範的な母親じゃないし、正直、子育ては不器用。でも子どもは可愛くて可愛くて、私も母から愛情を注がれて育ったので、できる限りの無償の愛を注いできました。でも47歳で離婚し、娘が10歳のときに子連れ再婚。15歳年上の主人とは、仕事で名古屋に行ったとき、知人の紹介で出会いました。その数週間後に大勢で食事に行って、さらに後日、私の友人と3人で東京で再び食事へ。3人での楽しい宴の後、友人と2人で飲みに行ったとき、友人が「正直で屈託がなく、紳士で安心できる人ね。そういう男性ってなかなかいない。再婚したら?」と唐突に言うんです。私は再婚する気は全くなかったし、笑い飛ばしていたのですが、ちょっと意識するようになり、すると主人も連絡をくれるようになって。運命なのか、あれよあれよと結婚することになりました。主人も一度結婚していましたが、子どもが小さいころに離婚しているので、子どもの扱いに慣れていません。

娘も微妙なお年ごろ。最初は2人の間に挟まれて、私の中でせめぎ合い。どちらにも気を使い、大変でした。雑誌などの悩み相談コーナーをじっくり読んだり、何でも話せる女友達に相談したり。誰かに話すと楽になって、しばらくして悩むと、また相談する、の繰り返し。正解はないから、何か起きたときに考え、対処して、前に進むうち、気づけば主人と娘の関係が変わっていきました。私がいなくても2人で会話をするようになっていたんです。性別も年代も違う、それぞれの考えがあるわけだから、激しいバトルこそなかったけれど、3人ともそれぞれ悩んでいたと思います。

わが家は全員忙しいですが、日曜夜は必ず家族揃って、私の手料理でご飯を食べるようにしています。ときどき主人の娘も参加してくれ、みんなが仲良くて本当に幸せです。

自分を好きでいることが美しく年を重ねる秘訣

振り返ると、1度目の結婚では私が私らしくいられなかった。私らしさって、お茶目で無邪気でいること。そういう自分が出せていなかったんです。今の主人といると肩の力がすとんと抜けて、気楽で、私らしさ全開でいられます。信頼と尊敬と認め合うってことも自然にできています。先日も車を運転しながら、こんなに幸せでいいのだろうかと涙が出てきました。人生悩んだこともいっぱいありました。こうなりたいと願うこともありましたが、幸せって力が抜けたときにポンとやって来るものだと思います。人は何かを念じることで力を発揮することもあるけれど、無欲になったときに何かが舞い込むタイミングが来るのだと感じています。

常に鏡を持ち歩き、車の中でも、レストランでも、家の中でも頻繁に見るようにしています。たまに、主人や気の置けない友人に、「私、可愛い?」って聞くことも(笑)。笑いながら「可愛い」って返してくれるから、そんなやりとりでも気持ちが上がります。常に自分を見て、自分を好きでいることが美しく年を取っていく秘訣かな。

一昨年、女優の岸 惠子さんの朗読劇『わりなき恋』を観に行きました。無邪気で可愛くて、人生が満ち足りていることが伝わってくるような方。私もあんなふうに年を重ねたい、ステキでいたいと心から思いました。

斉藤さんから40代に伝えたいメッセージ

人生辛いことがあっても、ユーモアを振りかけると切り口が軽くなります。見方を変えて、ユーモアで片付けると、「やっちまって恥ずかしい」けど、そんな自分を可愛いと思えたりします。

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2021年『美ST』9月号掲載
撮影/野村誠一 ヘア・メーク/赤間久美江 スタイリスト/池ヶ谷ひろ子 取材・文/安田真里 編集/和田紀子