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気温の低下とともに空気が乾燥してくると、のどを痛めやすくなりますよね。のどを痛めると声が枯れてしまったり、風邪をひきやすくなってしまいます。今回は、呼吸器の不調から考えられる病気や、その対処法を薬剤師の中田さんに伺いました。のどに違和感のある方はぜひ参考にしてみてください。
呼吸器の不調のなかでも特に注意するべき症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
風邪の症状が治ったにもかかわらず、咳だけがずっと止まらない場合や、眠れないほど激しい咳が続く場合は風邪以外の病気の可能性があるため注意しましょう。医学界では、8週間以上持続する咳を「慢性咳そう」と定義しています。日本人に多い慢性咳そうの原因は、副鼻腔気管支症候群、咳喘息、アトピー咳そう、胃食道逆流症など。そのほか、肺がん、結核などの重篤な病気の可能性もあります。治療法は原因によってそれぞれ異なるので、長期間続く咳でお悩みの方は一人で苦しまず、まず専門医に相談しましょう。
呼吸をする際に「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった音が聞こえる方は、気管支が狭くなっている可能性が高いです。このような呼吸音は、気管支喘息の発作や異物誤飲などによって気管支が狭くなることで生じます。気管支で炎症が起きて痰の分泌が盛んになり、呼吸困難を招く恐れがあるため、放置せずに受診するようにしましょう。
40代50代に多い呼吸器の病気の代表例が下記2つです。
喘息は発症年齢がさまざまで、いつ発症してもおかしくはありません。喘息の多くがアレルギー性で、室内のハウスダスト(ちりやほこり)の中にいるダニやカビ類、ペットのフケ、花粉などが原因になります。成人の喘息は完治しにくく、発症してしまった場合は喘息とうまく付き合っていかなければなりません。呼吸時の音、呼吸困難、発作性の激しい咳、胸の痛み、動悸などの症状がみられる場合には医療機関の受診をおすすめします。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は「肺の生活習慣病」ともいわれており、肺気腫や慢性気管支炎を合わせた病気です。一番の原因は喫煙ですが、そのほかに大気汚染や遺伝、受動喫煙も発症の原因となります。息切れしやすい、1日に何度も咳が出る、粘り気のある痰が出る、呼吸時に音がするなどの症状を感じる方はCOPDの可能性があるため早めに受診しましょう。
呼吸器の不調には単なる風邪だけでなく、重篤な病気が隠れている可能性もあることをお伝えしました。では、どのように予防すればよいのでしょうか。以下では、日常生活で気を付けられることをご紹介します。
のどの不調対策として最もポピュラーなのがうがいです。のどに付着しているウイルスを洗浄するとともに、粘液の分泌や血行を良くする効果もあるため、うがいはこまめにしましょう。
大根には「アリルイソチオシアネート」という消炎作用の成分が含まれており、のど粘膜の炎症を抑える効果があります。大根は固形よりも、すりおろしている状態の方が消化吸収しやすくなるため、大根おろしを使った料理を食べるようにすると良いでしょう。
喫煙者だけでなく、喫煙者の近くでタバコの煙を吸う受動喫煙でも、のどの不調を起こしやすくなってしまいます。喫煙者の方はなるべく禁煙を心掛け、非喫煙者の方は喫煙者の近くで煙を吸わないように気をつけましょう。
呼吸器の不調を根本から改善したい方におすすめなのが、漢方薬です。乾燥した空気やアレルゲンなどが肺に入り込むと、のどの痛みや咳、痰などの呼吸器トラブルが起きやすくなります。呼吸器の不調には、「気管支を広げて呼吸しやすくする」「免疫力を高める」「肺に潤いを与える」「体外にアレルゲンなどの毒素を排出する」「酸素や栄養を肺に届け、呼吸器の機能を回復する」などの作用を持つ生薬を含む漢方薬を選ぶといいでしょう。漢方薬は医療現場でも使用されており、安全性が認められているほか、自然の生薬から作られているため、一般的に副作用が少ないといわれています。以下では、肺や気管支の炎症を抑え、痰を除去することで、のどの不調を改善させるおすすめの漢方薬を紹介します。
こみ上げてくるような強い咳をして顔が赤くなっている方、痰が出にくい方におすすめの漢方薬です。のどを潤して咳を鎮める作用があり、乾いた咳や、切れにくい粘り気のある痰を伴う咳のほか、口の渇きなどの症状に用いられます(※1)。
痰の多く出る咳をしている方におすすめの漢方薬です。胃腸の調子を整えて痰を取り去るとともに、気管支に潤いを与え、粘り気のある痰を出しやすくして咳を鎮める効果が期待できます(※2)。
咳が激しく、基本的に体力のある人におすすめの漢方薬です。肺にたまった熱を冷やして潤いを与えるとともに、気の上昇を抑えることで、咳、痰に働きかけます。ひどい咳や気管支喘息によく使用されています(※3)。
漢方薬を服用する際に大切なことは、自分の体質と症状にあったものを選ぶことです。自分の体質に合っていない漢方薬を服用してしまうと、十分な効果が得られなかったり、副作用が生じてしまう可能性があります。必ず漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しながら選択しましょう。
呼吸器の不調は、さまざまな病気と深く結びついていることがわかりました。不調を感じている方は、今回紹介したことをぜひ実践してみてください。のどの健康は体の健康につながります。しっかりと予防をして、病気になりづらい体作りを心がけましょう。
「あんしん漢方」(オンラインAI漢方)の薬剤師。お薬最適化薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。「生涯健康で楽しく」をスローガンに病気を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。また、「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーにお薬の選び方を広める活動や、ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート、TiktokやInstagramでファスティング・美腸の普及活動も行っている。Medicalhealthチャンネルに出演中。
[参考URL]
(※1)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ麦門冬湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8238
(※2)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ清肺湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8935
(※3)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ麻杏甘石湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9190
編集/安岡祐太朗
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