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日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。ミドル世代以上になると、体調の変化がレスを加速させることも増えてきます。45歳の看護師・さきえさん(仮名)は、社会福祉法人勤務の夫・不二夫さん(仮名:48歳)と結婚5年目のDINKS夫婦。結婚2年を過ぎた頃からセックスレス気味になり、「話し合いをしよう」と思った矢先に不二夫さんの病気が発覚します。
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「私と夫は41歳と43歳で結婚した晩婚同士ですが、2人とも初婚でした。出会いは老舗の結婚相談所です。最近はお見合い形式の相談所でもアプリやネットを取り入れていますが、私と夫はオンラインでやり取りをしたのは数回だけ。その後はリアルでのお食事デートをして、お互い気があったので交際に進み、そのままトントン拍子に結婚することになりました」。
さきえさんが40代まで独身だった理由は「あえて言うなら悠々自適の実家暮らし」があげられるとのこと。
「私の実家は都心へのアクセスがいい好立地なんです。勤め先のクリニックからも近くて仕事も待遇も悪くないので、独身でも快適に暮らせてしまいお尻に火がつかなかったんだと思います。親もたまにプレッシャーはかけてきましたが、看護師という安定した仕事をしていて、妹が孫の顔を見せているので、しつこく結婚しろと言われることはありませんでした」。
30代は気の合う仲間と自由な生活を謳歌していたというさきえさん。
「小規模のクリニックで働いているのですが、繁忙期や緊急事態でなければ定時に帰れるので、趣味の着付けや料理などの習い事を楽しみながら自由に暮らしていました。30代前半くらいまで女友達も独身が多くて、『みんなで同じ介護施設入りたいね』と話したりしていましたね。30代半ばに友人がドドッと結婚、30代後半に出産ブームがきてからはみんな忙しくなり、急にプライベートが暇になりました」。
さきえさんは、幼い頃からやや神経質なところがあり、畳まれていないぐちゃぐちゃの布や散らかった空間が苦手だそう。
「整理整頓、消毒にはかなり気を遣います。職業柄、そんな性格が役に立つこともありましたが、プライベートでは元彼の部屋の乱雑さにイライラして、ケンカのタネになりました。そのせいかはわかりませんが、子供が欲しいと思ったことはありません」。
婚活では、看護師であることや、衛生観念の基準が高いこと、子供は欲しくないこともあらかじめ明言していたというさきえさん。
「夫は、『俺もちょっとやりすぎなくらい片付けちゃうタイプ』と言っていて、気が合いました。彼は『俺も子供はいらないかも。せっかくインテリアにこだわった部屋にアニメ柄のアイテムがあるのはしんどい』と言っていて、その部分でも意気投合。初対面から理想の部屋やインテリアの話で盛り上がりました」。
「私の両親は健在ですが、夫の父親が亡くなっていてお義母さんは脳梗塞の後遺症があって施設で暮らしています。誰も文句は言わないので結婚式はせず、イタリアへ新婚旅行に行っておいしいワインを飲むことにお金を使いました」。
結婚後は2LDKの中古マンションを購入して、共通の趣味であるDIYを楽しんでいるというさきえさん。
「お互い無機質なインテリアが好きで、足場を組んで壁を塗るようなDIYを楽しみながら、好きな家具を増やしていきました。性交渉についても、最初の1年は休みの日の前日に定期的にイチャイチャしていましたね」。
しかし、結婚1年半頃から性交渉の間隔があきはじめ2年目にはセックスレスになってしまったそう。
「友達に話すと『性格が合うならいいんじゃない? 子供はいらないんでしょ』と言われましたが、私は不満でした。10年連れ添った40代夫婦ならまだしも、交際5年ちょっとなのでもう少し恋人気分でいたかったんです。またイタリア旅行でも計画して旅先で話し合おうかなと思っていた矢先に、彼が『口内炎が治らない。歯医者で軟膏をもらったけど全然効かない』と言いはじめました」。
さきえさんは近所の歯科ではなく大学病院か耳鼻咽喉科を受診するように勧めましたが、不二夫さんは「歯科医師がすぐ治ると言った」と反論。
「結局、専門病院に行く行かないで2ヵ月くらい時間をロスしてしまいました。ゴールデンウィークにはすっきりしてイタリア旅行に行きたかったので春先に強制的に耳鼻咽喉科に連れて行ったら、すぐ大学病院に行くように紹介状を書いてもらうことになり、結果はステージ1の舌がん。幸い早く発見することができましたが、入院して手術をする必要がありました」。
手術は成功し、1週間の入院後に無事退院することができたという不二夫さん。
「ステージ1でもがんはがんなので決して楽観視はしていませんが、抗がん剤治療の必要もなく、検診も保険適用になるので検査もマメにできます。『一病息災』とか『人間万事塞翁が馬』とか励ましてはいたんですけど、手術以来、彼がうつ気味になってしまって。仕事には普通に行っていますが、イタリア旅行の話をすると『ごめん。ちょっとゆっくり休みたい』と休みの日は寝たりネットを見てばかり。心療内科にも通っていますが、男性更年期もあるのかすっかりしょぼくれてしまいました」。
幸い傷跡も小さく、滑舌も含めほぼもとどおりになったという不二夫さん。
「でも、もはや性交渉どころではないというか、それ以前の問題でメンタルが心配です。旅先の温泉旅館でキスしようとしただけで避けられて。『ごめん、ちょっと口は今デリケートな感じなんでやめて』『けっこうグロいし触れないで、見ないでほしい』と。私は医療従事者なので手術跡がどんな感じなのは想像がつくんですが……。キスを避けられるのは女性として自信をなくしますし悲しくなりました」。
さきえさんは、レスでも不二夫さんへの好意は変わらないそう。
「不満だけど離婚したいわけじゃない。心のもやもやをなんとかしたいんです」。
夫婦の問題だけに友人には相談しにくく、最近ではカウンセラーサービスを利用しているというさきえさん。
「根本的解決にはなりませんが、次の週に元気に働くために、時間が許せば土日のどちらかはカウンセリングに通っています。涙活じゃないですけど、カウンセラーさんの前では遠慮なく泣いています。もし夫と離婚してもう一度婚活をしても、彼ほど気の合う相手とは会えない気がします。情もあるので寄り添いたいですが、40代でこの先ずっとレスだと考えるとやるせない気持ちです」。
幸い保険金が降りたことで、夫婦単位で経済的には少し潤ったというさきえさん。
「マシンピラティス、スイーツ、コスメ、社交ダンスなど気分があがりそうなものを片っ端から試していますが、今のところ気に入っているのは社交ダンスとカウンセリングです」。
今後は不二夫さんさえ異論がなければ、夫婦カウンセリングも提案してみる予定だそうです。
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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