FEMTECH
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下により体にさまざまな変化が起こる40代50代。デリケートゾーンのトラブルを実感することも珍しくありません。そんな「更年期の膣ケア」はどのように行えばいいのでしょうか?
産婦人科医の宋美玄先生らが登壇したiroha Healthcare(イロハ ヘルスケア)(株式会社TENGA)主催のトークイベントで解説された内容からお届けします。
4月に開催されたセクシャルヘルスケアブランドiroha Healthcare(株式会社TENGA)主催の「母の日×更年期 オフラインイベント」。「丸の内の森レディースクリニック」院長・宋美玄先生と、株式会社TENGAヘルスケア コミュニケーションマネジャー(助産師)・古川直子さんが登壇し、「更年期と膣ケア」をテーマにトークが行われました。
※本記事はイベントのトーク内容から「更年期の膣まわりのケア方法」についての解説を中心に編集したものです。
女性の身体は、年齢やライフステージによって少しずつ変化していきます。日本人の閉経年齢は平均50歳前後といわれており、生理が1年間まったく来ない状態を「閉経」、その前後5年ずつを合わせた約10年間を「更年期」と呼びます。
ライフステージごとに、腟まわりの悩みにも変化が見られます。
思春期(10代)は、おりものの増加やにおい、かゆみなどが気になりやすい時期。性成熟期(20〜30代)は、生理周期による不調や性交時の違和感、性感染症への不安などを感じる人もいます。
妊娠・産後期には、骨盤底筋の変化やホルモン変動により、尿漏れや乾燥感、ゆるみ感、性交痛などが起こることがあります。
さらに更年期(40〜50代)になると、女性ホルモン「エストロゲン」の低下によって、乾燥やヒリヒリ感、かゆみ、性交痛、尿トラブルなどの不調が現れやすくなります。
老年期(60代以降)は、ホルモン低下が続くことで、乾燥や炎症、感染、頻尿、尿もれなどの症状につながることもあります。
更年期は病気ではありませんが、身体だけでなく心にもさまざまな変化が起こりやすい時期です。とくに40代50代は、デリケートゾーンの不調を感じやすくなるため、これまで以上に丁寧なケアを意識したい「ケアの転換期」といえるでしょう。
更年期には、エストロゲンの分泌低下によって、腟粘膜が薄くなったり乾燥しやすくなったりするほか、膣内のpHバランスも乱れやすくなります。
そのため40代50代では、デリケートゾーンについて「乾燥する」「ヒリヒリする」「かゆみがある」「性交時に痛みや違和感がある」「尿もれや頻尿が増えた」といった悩みを感じる人も少なくありません。
こうした不調は、放置すると慢性化し、QOL(生活の質)の低下につながることもあります。
最近では、正しい洗浄や保湿、骨盤底筋トレーニングなどの「腟ケア」に注目が集まっており、30代後半頃から早めにケアを始めることで、不快な症状の予防やQOL向上が期待されています。
エストロゲンの低下によって、腟や外陰部、尿路にさまざまな不調が現れることがあり、これらは総称して「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)」と呼ばれています。
具体的には、乾燥やかゆみ、ヒリヒリ感、においやおりものの変化などのほか、骨盤底筋の筋力低下によって、くしゃみをしたり、大きな声で子供を叱ったりした拍子に尿が漏れるなど、「腹圧性尿失禁」が起こることもあります。
骨盤底筋とは、膀胱や子宮、直腸を下から支え、排尿・排便をコントロールする大切な筋肉です。出産や加齢によって弱りやすいため、日頃からトレーニングでケアしておくことが大切です。
仰向けで寝て、脚は軽く広げ、 ひざを立てた姿勢でリラックスします。
自然に呼吸をしながら、腟・尿道・肛門を締めるイメージで力を入れます(イラスト参照)。
尿を途中で止める感覚や、おならを我慢する感覚に近いイメージです。
慣れてきたら、息をゆっくり吐きながら、腟や肛門を体の内側へ引き込むように意識してみましょう。無理なく続けることがポイントです。
もし「ちゃんと締まっているか」知りたい方は、iroha Healthcareから発売されている「ケーゲルチェッカー」のようなアイテムで、ちゃんと骨盤底筋が締まっているかを数値として可視化することも可能です。または、ご自身の指を使って「締まっている」感覚を確かめながら行うことがおすすめです。
デリケートゾーンを清潔に保つことは大切ですが、実は“洗い過ぎ”には注意が必要です。
腟内までゴシゴシ洗ったり、刺激の強い石けんを使ったりすると、必要な常在菌まで洗い流してしまい、かえって乾燥やにおい、かゆみの原因になることがあります。
洗う際は、腟内までは洗わず、外側をやさしく洗浄するのが基本。一般的にはボディソープではなく、低刺激のデリケートゾーン専用ソープを使うことが、乾燥予防にもなりおすすめです。
もちろん、顔もボディソープで洗う方もいるので、お肌が強い方に関してはボディソープが絶対ダメというわけではありません。とはいえ、顔よりもさらにむき出しの文字通り「デリケートな」部分なので、よりいっそう丁寧に扱うことがトラブル防止につながります。
さらに、蒸し暑い夏は、人によって毛量が多いと尿やおりものが付着したり、肌を刺激しやすいので、トリミングやVIO脱毛をすることでより快適に過ごすことも期待できます。
同時に、顔と同じようデリケートゾーンも保湿ケアを取り入れることで、より快適な状態を保ちやすくなります。保湿は専用のローションを使用して、大陰唇・小陰唇まわりや腟口周辺までを目安に、やさしく行いましょう。
近年注目されているのが、「腟マッサージ」です。やさしく行うことで、骨盤まわりの血流アップや腟まわりの柔軟性向上が期待されています。
血流が良くなることで、乾燥による不快感や冷えの軽減、性交痛の緩和につながることも。また、出産時の会陰裂傷予防のサポートとして取り入れられるケースもあります。
リラックスした状態で無理のない範囲で行うことが大切です。人差し指や親指を第二関節あたりまでゆっくり挿入し、痛みのない範囲でやさしく圧をかけていきます。「気持ちいい」と感じる程度を目安に、無理をしないことを意識しましょう。
もし指での挿入に抵抗感がある方は、腟マッサージ専用医療機器「イロハ インナーマッサージスティック」 など、専用のグッズを使用してみる選択肢もあります。
デリケートゾーンの悩みは、人には相談しづらく、ひとりで抱え込みがちです。しかし、まずはパートナーや身近な人とさりげなく話してみることも大切な一歩になります。
たとえば、
・乾燥やにおいが気になる
・かゆみやヒリヒリ感がある
・尿もれが増えた
・性交時に痛みがある
・ボディソープで洗っている
・締め付けの強い下着をよく着ける
こうしたサインが複数当てはまる場合は、デリケートゾーンのコンディションが乱れている可能性もあります。不調を我慢し続けず、気になる症状がある場合は、婦人科や専門クリニックへ相談することも大切です。
腟まわりのケアは、単なる美容ではなく、これからの人生を快適に、自分らしく過ごすためのセルフケアのひとつ。デリケートな悩みをオープンに話せる環境づくりが、女性の健やかな毎日につながっていきそうです。
教えてくれたのは…… 宋 美玄先生
教えてくれたのは…… 古川 直子さん
取材・文/星子 編集/根橋明日美 写真・イラスト/iroha Healthcare、PIXTA
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