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日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。ピアニストの活動をしながら音楽講師としても働く美代さん(仮名:50歳)は、アラサーだった初婚時には半年ほどで性交渉がなくなったそう。しかし最初の夫と離婚後、40歳で婚活アプリを利用して出会った夫とは今も「レス知らず」。最初の結婚と2度目の結婚を比べると「変えた条件」があるそうで…。
【INDEX】
美代さんは、音楽教室で正社員として教室運営を担当しインストラクターとしても働きながら、月に2回ほどホテルのラウンジで演奏するピアニスト。最初の結婚は28歳のころで、お相手は結婚相談所で出会った公認会計士でした。
「私は音楽大学時代からミュージシャンと交際することが多かったので、“ごく普通の勤め人”に憧れていました。とはいえ、まったく音楽に興味がないのもさびしいと思って、条件は『20代、4年制大学卒、年収600万円以上、できれば身長170センチ以上で趣味が合う人』と書いた記憶があります。28歳としては妥当な条件かなと当時は思っていました」
そのころ、美代さんが利用した相談所では28歳は「リアリティがある若さ」「いちばん成婚率が高い年代」と言われていたそうです。
「20代前半で登録する女性もいましたが、『親に勧められて試しに登録した』『まだまだモテるしいくらでも替えがきく』という感覚の人も少なくなかったようです。そのため適齢期の男性側も『結婚を考えるなら26~29歳くらいの女性がよい』という人が多かったですね」
そこで出会ったのが最初の夫・すぐるさん(仮名)です。
「彼は私と同い年。公認会計士としてコンサルティングファームに勤務していました。それにオーケストラサークルや市民オーケストラでヴァイオリンを弾いていて、地方の私立音楽大学ピアノ科で学んだ私から見てもじゅうぶんお金をとれる演奏をする人でした」
すぐるさんは、177センチの長身で愛想のいい好青年。それでも少し「上から目線」なところが気になったそう。
「私にも『そんなことも知らないの? 音大で何を学んだんだよ』と冗談半分でマウントをとることがありましたし、気に入らない店員さんやホテルの従業員、タクシー運転手さんへのつっけんどんな態度も嫌でした。でも機嫌のいいときは面白くて気前もよかったので、『上から目線が玉に瑕(きず)』くらいに考えていました」
そして、もうひとつ気になったのが性的な相性だったそうです。
「性交渉でも、相手の反応をあまり気にせず自分のペースで進める人でした。明確に『嫌』というほどではないですが、『なんとなく気分が乗らないな』と思っていたのが正直なところです。最初は私も演技というか、取り繕っていました」
はたから見れば“好条件”のすぐるさんと結婚した美代さんですが、その幸せは長く続かなかったといいます。
「新婚当初はクラシック音楽という共通の趣味もあり、2人でコンサートに行ったり、お互いの友人を紹介し合ったり、楽しい日々を過ごしていました。結婚式では2人で演奏を披露しましたし、知人のレストランでヴァイオリンとピアノのデュオライブをしたりも。でも、結婚半年ほどで気がついたらセックスレスになっていました」
当時の美代さんは、仕事の教室運営やレッスンで忙しく、合間をぬうように演奏活動も続けていました。
「元夫は約1,000万、私は約350万と、私のほうが年収が低かったんです。それでも生活費は完全折半で、残りを別財布で管理していました。彼は洗濯はしてくれましたが、料理や掃除、そのほか雑多な家事は私が担当。夫は将来のために貯金をしてくれていたかもしれないので文句はありませんでした。でもそんな状況なので、私は少しでも“自分の財布のお金”を稼ぎたかったんです」
それでもすぐるさんは友人の紹介でヴァイオリン&ピアノのライブを次々と入れてくるようになり、その負担も美代さんにのしかかりました。
「夫は趣味の延長で楽しんでいましたが、ギャラは安いものばかり。私は、平日は会社、休日は演奏活動という生活だったので、演奏活動はソロのギャラの高い仕事を選びたかった。ギャラが安いなら休日くらいは休みたかったんです」
そう伝えると「何様なんだ。A音楽大学はそんなに偉いんですか」と、美代さんの地方音大卒という経歴を揶揄するようになったといいます。
「そのあたりからちょっと夫にムカついていましたが、離婚の決定打になったのは、結婚2年、セックスレス1年半ほどで発覚した、彼の会社の部下との浮気でした。本人は遊びだと言っていましたが、レスですし子どももいませんでしたし、結婚に執着する理由がなくなっていました」
「元夫は、その女性のことをむしろ悪く言っていたんです。『帰国子女でほぼアメリカ人』とか『若い子はロックしか聴かないでクラシックをバカにしている』とか。でも、『最近なんだか怪しいな』と思って財布やカバンを確認したら、ラブホテルの領収書や避妊具が出てきました。『出張』と言っていた日も実際はスキー旅行で、問い詰めたら『悪かったとは思うけど、向こうも本気じゃないし、こっちもノリで遊んだだけ』と、あまり反省していない様子でした」
美代さんは飼っていた猫とともに実家へ戻り、数か月後に離婚が成立。
「向こうもそんなに私が好きではなかったのか、こちら側が『慰謝料はいりません』と言うと、あっさり離婚届に判を押してくれました。離婚後はしばらく1人暮らしをしていましたが、父の急死をきっかけに神奈川の実家に帰り、そこから会社に通うことにしました」
正社員として働きながら演奏活動を続け、母親と猫と暮らす生活に満足していた美代さん。そんななか再婚を考えるきっかけになったのは、従姉妹がマッチングアプリを活用した結婚相談サービスを運営する会社へ転職したこと。
「従姉妹が『身分証明書の提出もあるし、SNSとも連携しているからかなり安全だよ』と勧めてくれて。母まで『試しに見るだけ見てみれば?』と言うので、一応登録してみました」
40歳を目前にした美代さんは、条件を初婚のときから大幅に見直しました。「年齢は下は10歳下まで、上は55歳まで、年収400万円以上、高卒以上」に変更し、離婚歴や趣味も問わないことにしたそうです。
「従姉妹は『40代でバツイチ歓迎なら縁はたくさんあるよ』と言っていましたが、本当にマッチングするのか半信半疑でした。でも結果的には、2人目のデートで交際を申し込まれました」
お相手は5歳年下の自動車メーカー勤務の開発エンジニア・開人さん(仮名)。
「彼は、20代前半にアメリカの自動車メーカーで働いていて、そのときの同僚の中国人女性との婚姻・離婚歴がありました。身長は155センチで、私のほうが数センチ高いですが、ユーモアがあって憎めない、かわいいタイプの男性。学歴は愛知県の高専卒でした」
美代さんは従姉妹と母親にも紹介し、交際を決めます。
「地方のご実家へ伺うと、祖父母の代まで農家だった広い敷地に家が2軒建っていて、お兄さん一家が暮らす大家族。猫も4匹いて、すっかり馴染んでしまいました。結婚はトントン拍子に進みました」
今回は4年生大学卒にこだわらなかったことでよい相手に出会えたと話す美代さん。前の結婚と違う点はほかにもあるといいます。
「思いやりとユーモアのある夫とは性的な相性もバッチリ。誘い方もどこかチャーミングで、こちらの体調にも気を遣ってくれます。ルックスも初対面では背が小さくヒゲが濃いなと思っていましたが、今ではそれすら色気に見えてしまいます」
思いがけず結婚前に妊娠し、授かり婚。41歳で出産した長男は、現在は小学4年生のサッカー少年に成長しました。
「40歳で婚活を始めたころは『条件をグッと下げた』つもりでした。でも今思えば、“下げた”わけではなく、間口を広げただけなんですよね」
現在45歳になった開人さんの年収は約800万円、美代さんは約400万円。美代さんの実家近くに2LDKのマンションを購入し、家族3人で暮らしています。
「どうして若いころは細かい条件にこだわっていたんだろうと思うことがあります。夫は頭の回転が速くて、子どもに勉強を教えるのも本当に的確。とくに理系やクイズが得意で、男の子の父親として最高です」
レスではないものの、今は父と母であることを最優先にしているため、性交渉はそれほど重視していないそうです。
「2人きりになるような特別なときしか性交渉はありません。それでも『バイクを直している姿、素敵だな』と思うと、自然と男性として見られるんです。相手も元夫の浮気相手じゃないですが、ロックしか聞かない人なので、ピアノを引く私が新鮮なようで2人きりのときは好ましそうな目で見てくれます。回り道はしましたが、学歴や趣味の一致なんてどうでもよかったなと今は思います。“20代の条件”と“本当に求めていたもの”は違ったんだと気付きました。私は50の大台に乗りましたが、介護や子育てに右往左往しながらも、平和に暮らしています」
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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