HEALTH
胃がんは男性のがん罹患率トップで、日本人に多いがんと言われています。38歳の時に胃がんが見つかり、胃を全摘した美魔女の浜木さんが伝えたい、がんとの向き合い方とは?胃がんの特長についても医師に解説してもらいました。
保険のコンサルの基本に取りつかれて、無駄なものは省こうと月2~3千円だったがん保険を解約。その3カ月後に胃がんを告知され、無保険の状態で手術に臨みました。最初に受診した地元・富山の病院では胃の全摘だからお腹を切る、手術費用は30万円と言われていました。お腹を切りたくないという強い思いで、全国的に有名ながん研有明病院の先生にセカンドオピニオンをお願いし、おへそから内臓を取り出して胃を切除し内臓をお腹に戻すという術式を提案していただけました。
手術する前には、どの病院でも必ず治療費のことを言われます。診断一時金は、がんと診断されて、診断書を出せばだいたい1週間以内にお金がもらえる。自分が受けたいと思った手術の費用がすごく高かったら、納得のいく治療が受けられない。お金があれば治療も選べるんです。先進医療特約は大事だけど、いろいろな特約より診断一時金がめちゃくちゃ大事。入院して退院して診断書を出して、後から入ってくるお金では、何の助けにもならないのではないかと、私個人はそう思っています。
入院中は歩くのがリハビリだったので、外出届を出して朝からメークして出掛けたりもしました。メークするのも楽ではなかったんですけど、綺麗に化粧して服を着て街を歩くっていうことが気分転換になったんです。痛さを忘れます。リンパに転移して切除した関係で体温調節ができなくて顔色が悪いんです。チークで頰を真っ赤にして顔の血色をよく見せたり、アイシャドウのラメがキラキラしていると元気に見えて嬉しい。元気になれるパワーの源でした。
今は何でも食べられることも嬉しいし、もう何でも世の中キラキラに見えますね。楽しくてしょうがない。病気になった時、あれをやればよかった、これもやればよかったってすごく後悔したんです。諦めてきたことがいっぱいあったので、それを回復してから何でもやろうという気持ちになって、美魔女コンテストにも応募したんです。
《Profile》
損保会社に勤め、独立を見据えてがむしゃらに働いていた頃、食事が喉を通らず陣痛のような胃痛が襲ってきてもストレス性と思い放置。当時定期健診は受けておらず、軽い気持ちで受けた胃の内視鏡検査で胃がんが発覚。38歳で胃を全摘手術。
Q. ピロリ菌検査って何をするの?
胃がんのリスクとなるピロリ菌の感染を調べるための検査は、スクリーニングでは血液検査が多く、尿や便、胃カメラ、呼気で行うテストもあります。また胃がんのリスク検査といって、ピロリ菌がいるかどうかと胃の粘膜が萎縮しているかどうかの組み合わせを血液で行う検査もあります。胃の粘膜も痩せていない(萎縮がない)、ピロリ菌もいないとなると、通常は胃がんのリスクは非常に低いと考えられています。
Q. ピロリ菌の感染経路は?
ピロリ菌は現在では家族内感染と言われています。消化管の免疫システムがしっかりしていない乳幼児期の5歳前にピロリ菌が胃の中に入ると胃の粘膜に住み着いて排泄されず、感染してしまうことが多いです。ピロリ菌を持っている親御さんが使ったスプーンでお子さんに食べさせたりすると感染する可能性が十分高いです。これは遺伝ではなく、感染になります。
Q. もしピロリ菌がいたらバリウム、胃カメラどちらを受ける?
ピロリ菌がいたら、基本的に精密検査になります。バリウムによる胃部エックス線検査と胃カメラの内視鏡検査ですと、当然胃カメラの方が精度が高く、保険で除菌を行うためには胃カメラによる「ヘリコバクターピロリ感染胃炎」を診断する必要がありますので、胃カメラを受けます。
Q. ピロリ菌を除去したらもう大丈夫?
胃カメラでのピロリ感染性胃炎が確認され、ピロリ菌がいたら、なるべく早くに除菌をします。入院などはせず、3種類の薬を1週間飲んでいただくだけ。一次除菌を行った後には必ず除菌成功の確認をします。それだけでは消えない人たちが必ずいます。二次除菌までは保険でできその成功率は9割ほどです。除菌により胃がんのリスクはだいぶ減少します。
Q. 胃の粘膜が萎縮していると言われました。どういうことですか?
ピロリ感染により胃に炎症が起こった状態が続くと、胃液や胃酸を分泌する組織が減少して胃の粘膜が萎縮してしまいます。この萎縮した胃粘膜が胃がんの発生母地になります。ピロリ菌除去後、大人になってからの再感染はほぼ考えなくて良いのですが、粘膜の萎縮は残存します。このことから除菌をした後も1年に1回の胃カメラ検査が推奨になっています。
Q. 食生活で気をつけたほうがいいことは?
ピロリ菌感染と、そこから生じた萎縮性胃炎を進めてしまうのは高塩分食です。和食は塩蔵魚卵や味噌汁・漬け物など塩分が多く、食塩を多く摂る地域に胃がんの罹患が多いなど食生活との関係が深いことがわかっています。胃がんのリスクを下げるためには、高塩分食品の摂取を控え、野菜や果物を多く摂るようにするといいでしょう。
総合内科専門医、日本人間ドック学会認定医、健診専門医・指導医、検診マンモグラフィ読影認定医。
●イーク紀尾井町
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス3F ☎03-6910-0391 女性専用検診日はクリニックに確認を。
2023年『美ST』1月号掲載
撮影/岡本卓大、平林直己 ヘア・メーク/神谷真帆 スタイリスト/北橋野枝 取材/菊池真理子 編集/佐久間朋子
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2024年12月16日(月)23:59まで
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