HEALTH
歯を磨いたばかりなのに口臭が気になる、と悩んでいる人はいませんか? 年をとるにつれて気になり始めた口臭は、無意識にしている習慣によって悪化している可能性があります。今回は、口臭のメカニズムや対策方法について解説します。
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口臭の主な原因は、口腔内の細菌です。口腔内の細菌が糖を分解する際に生臭いニオイや腐敗臭を発生させるため、細菌が増えるほど口臭が気になるようになります。
口腔内の細菌の増加に関わっているのは、唾液の減少です。
唾液には細菌の増殖を抑えたり口内を洗浄したりする作用があり、分泌量が減ると虫歯や歯周病などの歯科疾患、舌苔(ぜったい)の蓄積を引き起こします。その結果、細菌が増加して口臭も出てきます。
40〜50代の女性は、加齢による唾液の分泌機能の低下や更年期の女性ホルモンの減少による自律神経の乱れで唾液が減りやすい傾向にあり、口臭の悩みを抱える人が増えるといわれています。
なお、口臭は口腔内だけでなく、糖尿病や肝疾患、鼻炎、逆流性食道炎などの病気が関係していることもあります。口臭を改善するには、適切な治療やセルフケアが大切です。
歯科検診や定期健診では異常がないにも関わらず口臭が気になるという人は、生活習慣が関係しているかもしれません。40〜50代女性の口臭の主な原因を紹介します。
寝不足は自律神経のバランスを崩し、唾液の分泌量の減少や胃腸機能の低下を引き起こして、口臭の原因になることがあります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、個人差はありますが成人の適正な睡眠時間はおおよそ6~8時間とされています。しかし「令和4年 国民健康・栄養調査」では、40〜50代の女性の約半数が平均睡眠時間が6時間未満という結果が出ており、睡眠が足りていない人が多い状況です。
これは、ホットフラッシュや不眠症などの更年期症状、家事や育児、介護、仕事で十分な睡眠時間がとれないなどが要因と考えられます。
対策としては、更年期症状がある場合は婦人科を受診する、家事などの負担を減らして睡眠時間をなるべく増やす、睡眠の質を高めるなどの方法が挙げられます。
睡眠の質を高めるには、就寝の1〜2時間前に入浴する、寝室にはスマホやタブレット端末を持ち込まない、寝室はできるだけ静かな環境にするなどが効果的です。
ストレスも自律神経を乱して唾液の分泌量を減らし、口臭を悪化させる可能性があります。
ストレスを感じているとき、自律神経は交感神経が優位な状態です。副交感神経が優位なリラックス時に比べて、唾液の分泌量は約3割も減少するといわれています。
40〜50代は仕事や育児、介護などが重なってストレスがたまりやすい時期ですが、口臭を改善するにはストレスを減らしていくことが必要です。
ストレスの軽減方法には、ストレッサー(ストレスの原因)との接触を避ける、ストレッサーに対する考え方をネガティブからポジティブな気持ちに変える、仕事や家事の合間などに深呼吸をする、軽度の有酸素運動をする、趣味に没頭する、ラベンダーのアロマオイルを活用する、などがあります。自分に合う方法でストレスを減らしていきましょう。
ドライマウスとは、口内の乾燥や喉の渇きを感じている状態のこと。口腔乾燥症と呼ばれることもあります。
ドライマウスの原因は、加齢やホルモンバランスの変化、病気、ストレス、薬の副作用、口呼吸、喫煙、過度の飲酒などです。したがって、複数の原因が重なりやすい40〜50代の女性は、ドライマウスになりやすい傾向にあります。ドライマウス対策には、水分をしっかり摂って体内の水分量を増やす、ガムを噛む、口腔用の保湿剤をこまめに使用するなどの方法がおすすめです。保湿剤は、日中は手軽に使えるスプレー、就寝前は持続性の高いジェルを使い分けると口腔内の乾燥を防ぎやすくなります。
舌に付着している白っぽい苔のようなものは舌苔です。口腔内の剥離した細胞や食べかすを餌にして細菌が増殖することで作られ、口臭原因の約6割を占めるとされています。
舌の色をチェックして舌苔が付着している場合は、専用の舌ブラシで優しく取り除きましょう。
舌ブラシの使い方は、奥から手前に向かって優しく1〜2回動かします。真ん中、右、左の順に1日1回就寝前の歯磨き後に舌ブラシを使いましょう。
なお、舌苔は完全に除去する必要はなく、薄く付着している程度であれば問題はありません。
口臭を減らすには、歯の隙間の歯垢まで毎日きちんと落として、細菌の繁殖を防ぐことが大切です。歯ブラシだけでなく、マウスウォッシュやデンタルフロスを活用しましょう。
歯磨きの前にはデンタルフロスで歯と歯の間の歯垢を取り除き、仕事中や外食後などすぐに歯磨きができない時にはマウスウォッシュの使用がおすすめです。
デンタルフロスが苦手な人は、歯科医院で使い方を教えてもらう、歯間ブラシを使うなどの対策をとるとよいでしょう。
唾液腺のマッサージは唾液の分泌を促し、口臭を軽減する効果が期待できます。口腔内の乾燥やねばつき、口臭を感じたときは、唾液腺のマッサージをしましょう。
唾液腺には、サラサラした唾液を分泌する耳下腺(じかせん)、ネバネバした唾液を分泌する舌下腺(ぜっかせん)、両タイプの唾液を分泌する顎下腺(がっかせん)の3つがあります。唾液のバランスは、サラサラとネバネバが同じ程度分泌されているのが理想的です。
耳下腺は、左右の耳たぶの前方、上の奥歯のあたりにあります。3本の指で10回ほどゆっくりと円を描くように揉みましょう。
舌下腺は、顎の真下の柔らかいくぼみ部分に親指を当て、舌を押し上げるようにグーっと10回ほど優しく刺激します。
顎下腺は、顎の骨の内側にある柔らかい部分を、耳の下から顎先に向かってゆっくりと5〜10回押しましょう。
「口そう点」のツボは、自律神経を整えて唾液の分泌量を調整するのに役立ちます。
口の中が乾いていると感じたら、手のひらの中指の付け根の中心部分にある「口そう点」に親指を当て、5秒ほどグッと押し込んで刺激しましょう。左右10回ほど行うと効果的です。
場所や時間を選ばずに押しやすいツボなので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。
口腔ケアや唾液分泌マッサージと組み合わせて、漢方薬で体の内側から口臭の改善を目指すのもおすすめです。
口臭は、唾液の分泌機能の低下や自律神経の乱れ、胃腸の不調などが原因と考えられます。そこで、口内の水分を循環させて唾液を増やす作用、自律神経を整えて唾液を出しやすくする作用、胃腸の働きをよくして口臭の原因となる消化不良を改善する作用のある漢方薬を選び、根本的な解決を目指します。
・五苓散(ごれいさん)
のぼせ気味で顔色が赤く、イライラしやすい人に。胃腸の炎症を鎮めて、胃炎や消化不良の他、口内が苦く熱っぽい感じや口臭に働きかけます。
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
体がほてり、喉が渇きやすい人に。胃にこもった熱をとることで体の外に出てしまう水分の量を抑えドライマウスに働きかけます。
口臭に有効な漢方薬にはこの他にもさまざまな種類がありますが、効果を得るには自分の症状や体質に合ったものを見極めなければなりません。定期的な通院の時間がとれない人や対面だと話しにくいという人は、オンラインの漢方相談の活用がおすすめです。最近はスマホひとつで利用できる個別相談サービスも話題です。
教えてくれたのは…あんしん漢方 ライター 円山 真由佳さん
編集/根橋明日美 写真/PIXTAほか
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