HEALTH
食事量も運動量も変えていないのに「服がゆるくなった」「顔まわりがこけてきた」…。体重減少をうれしい変化だと考える人は少なくありませんが、栄養不足や病気のサインとしてあらわれている場合もあります。特に短期間で減少している場合は要注意。急な体重減少が起こる原因や、防ぐためのセルフケアを紹介します。
急な体重減少には、食生活や筋肉量など複数の要因が関係します。まずは日常で起こりやすい原因を知りましょう。
日々の忙しさから食事がおろそかになったり偏った食生活が続いたりすると、体に必要な栄養が不足しやすくなります。
また、健康のために運動を始めたけれど食生活は変えていないという場合に、消費エネルギーが増えるため、それまでと同じ食事量のままでは栄養不足に陥ることも。
食べる量が大きく変わらないのに体重が減少している場合、食べ物の消化や栄養素の吸収を担う胃や腸の働きが弱まっている可能性が考えられます。胃腸の機能が低下すると、摂取した食べ物の栄養素を効率よく体内に取り込むことができなくなるのです。
また、胃腸の働きが落ちると、少量で満腹になったり食後に不快感を覚えたりして無意識に食事量が減りがち。その結果、エネルギー不足に陥って体重減少につながります。
サルコペニアやフレイルといった加齢による衰えが、体重減少に関係している可能性もあります。サルコペニアは加齢による筋肉量の減少および筋力の低下、フレイルは加齢により心身が老い衰えた状態を指す言葉です。
年月を重ねるなかでの身体的な変化や活動量の減少などがきっかけとなり、筋肉量や身体機能が低下することがあります。筋肉量が落ちると体を動かすのがおっくうになり、活動量の低下から食欲も落ちやすくなるのです。
この悪循環が進むとサルコペニアやフレイルにつながり、体重減少だけではなく食欲不振や、歩く速さが低下する、転びやすくなるなどの問題があらわれることもあります。
何もしていないのに体重減少が続く場合、糖尿病や胃がんなどの消化器疾患、バセドウ病などの甲状腺疾患などが隠れていることがあります。これらの疾患はエネルギーが激しく消費されて痩せていくのが特徴です。
また、うつ病も体重減少を招く疾患の一つ。食欲が著しく低下することで栄養不足を招き、結果的に体重減少につながります。
体重減少以外に、のどの渇きや尿の増加、胃痛、気分の落ち込み、意欲の低下などの症状がある場合は医療機関に相談しましょう。
健康を保つためには食生活を工夫して適正体重を維持することが重要。急な体重減少を防ぐために今日からできるセルフケアを紹介します。
自分の体の状態を正確に把握するために、定期的な体重測定を習慣にしましょう。毎日決まったタイミングで測定することで小さな変化にも早めに気づくことができます。
朝測る場合は起床後のトイレを済ませた後、夜に測る場合は就寝直前などがおすすめ。できるだけ毎日測ることで体重の変化を見つけやすくなります。
主食・主菜・副菜をそろえ、さまざまな食材を取り入れた栄養バランスのよい食事を心がけましょう。特に、筋肉などの材料やエネルギー源となる炭水化物やたんぱく質をしっかりととることが重要です。
おかずを一品増やすよりも、汁物やサラダの具材を増やすなど一品の中に複数の食材を取り入れると料理の手間を減らしながらさまざまな栄養素をとりやすくなります。また、食後にはヨーグルトや果物などをデザートにすると手軽に栄養をプラスできます。
一度にたくさん食べるのがつらい日は、無理に1食のボリュームを増やそうとせず、間食を上手に活用してエネルギーを補給するのがおすすめです。
甘いお菓子だけではなく、ヨーグルトやチーズ、ゆで卵などを選ぶとエネルギー源やたんぱく質の摂取量を増やせます。また、食欲が低下しているときは果物やゼリーなどのさっぱりとしたものがおすすめ。
食事前に食べすぎると食事が十分に食べられなくなることもあるため、午前や午後の決まった時間に少量ずつ取り入れましょう。
食欲不振や胃腸の不調が気になって食事量が減っている場合は、調理方法を工夫して食べやすくしましょう。
肉や野菜は小さめに切り、柔らかく煮込んだりあんかけにしたりすると食べやすくなります。香味野菜やだし、酸味のある調味料などを活用して風味を変えるのも効果的です。
どうしても気分が乗らない日には、自分の好きなメニューを用意して食べる楽しさを感じられるものにしましょう。
急な体重減少が気になるなら漢方薬を活用するのも一つの手です。漢方薬は自然由来の生薬を複数組み合わせてつくられており、心と体のバランスを整えて体質を改善します。一つの症状だけでなく、全身の状態をみながら選ぶため、様々な要因が積み重なって起こる不調の改善にも役立ちます。
急な体重減少には「胃腸の機能を回復する」「自律神経の乱れを整える」「血流を改善して全身に栄養を届ける」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
・六君子湯(りっくんしとう)
胃腸の機能を高めるとともに胃の余分な水分を取り去り、消化機能を改善する漢方薬です。胃もたれや胃痛、消化不良などに用いられます。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
消化・吸収の機能を良くして栄養を作り、血行をよくして全身に栄養を届けることで気力を回復させる漢方薬です。倦怠感や体力低下、冷えなどに用いられます。
漢方薬は一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされていますが、薬である以上副作用に注意が必要。自分の体質や症状に合うものを知りたいなら、漢方薬に詳しい専門家に相談しましょう。食生活の見直しと合わせてセルフケアに取り入れると健康的な体づくりにつながります。
何もしていないのに6か月で体重の5%以上減っている場合は注意が必要です。50kgなら2.5kg程度が目安になります。適正体重は身長(m)×身長(m)×22(kg)です。定期的に体重を測り、急な減少が起こっていないかチェックしましょう。
体重計で分かる数値だけでなく、以下のような変化も体重減少のサインとして挙げられます。
・服やベルトががゆるくなる
・頬がこける
・周囲から「痩せた」と言われる
体重減少が気になる場合、まずは内科やかかりつけ医への相談がおすすめ。必要に応じて胃腸症状が強いときは消化器内科、動悸や発汗が目立つときは内分泌内科、気分の落ち込みや不眠が続くときは心療内科・精神科など症状に合った科を紹介してもらいましょう。
教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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2026年11月16日(月)23:59まで
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