HEALTH
肌にハリがないように感じることはありませんか?「季節の変わり目や気温差のせい」と思っていても、実は別のところに原因があるかもしれません。そのひとつが、肌年齢以上に重要な「血管年齢」。今回は血管年齢を若返らせる血管のアンチエイジングについて紹介します。
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「血管年齢」とは血管の若さを示す年齢。実年齢とは異なり、20代でも血管年齢が50代の場合もあれば、逆に中年でも血管年齢は実年齢より若い場合もあります。
血管年齢の若い血管は弾力もありしなやか。反対に、血管年齢が老いてしまうと血管が硬く血流が悪くなり、それがさまざまな不調の原因に。脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など、命に関わる重大な病気を引き起こす原因になる場合もあります。
そこで重要になるのが血管のアンチエイジング。血管を若返らせて血流を良くすることが、生活習慣病を予防して健康寿命を伸ばすことにつながります。
また、血管のアンチエイジングによって肌ツヤが良くなるなど、見た目の美容効果も期待できるのです!
血管年齢は、病院の検査で測定することができます。循環器内科などで調べてもらうことが可能です。
血管年齢の測定方法は「血圧脈波検査」です。拍動の伝わり方の速さを調べる「PWV(脈波伝播速度)検査」、上腕と足首の血圧を測定し動脈の詰まり具合を調べる「ABI(足関節上腕血圧比)検査」、そして心臓から足首までの動脈の弾性の指標を調べる「CAVI(心臓足首血管指数)検査」があります。
さらに首に超音波を当て、動脈硬化の状態や血管壁の詰まり具合を診る「頸動脈エコー検査」もあります。
ここからは血管の老化を防ぐためにおすすめのケアをご紹介します。
アメリカの研究では、血管の老化予防には野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べることが推奨されています。若々しい血管作りをサポートするための食材には以下のものがあります。
・サンマ
・アジ
・納豆
・トマト
魚類や大豆製品は、血管を作るために欠かせないタンパク質が豊富。また、トマトに多く含まれる赤い色素のリコピンは抗酸化作用が期待できます。
逆に、摂取を控えるべきものとして、飽和脂肪酸、固形脂肪、ナトリウム、砂糖、精製穀物が挙げられています。
また、塩分の摂りすぎにも気をつけて。塩分の摂取により血圧が上昇すると、血管の内皮細胞が傷付いて、動脈硬化リスクを上昇させます。加工食品や食事の偏りは避け、バランスのいい食事を心がけましょう。
有酸素運動時に血管の内皮細胞から放出される一酸化窒素は、血管をしなやかにして、血圧を安定させてくれます。そして、一酸化窒素はコレステロールの沈着、血管の酸化、動脈硬化を防ぐ作用も期待できます。
具体的にはウォーキングやジョギング、水泳がおすすめ。ストレッチやヨガなどの柔軟運動も適しています。また買い物や家事などの生活動作も、低強度の運動として有効です。
逆に、筋力トレーニングなどの高強度の運動は血管を硬くさせる原因になりことがあり、血管アンチエイジングにはあまり向いていません。
人は、心身にストレスを感じると、ストレスに対応するため、抗ストレスホルモンを分泌します。しかし、慢性的なストレスにさらされると、副腎が疲れて抗ストレスホルモンが十分に分泌できない状態になります。
この副腎疲労は、血管壁の弾力を失う原因になり、動脈硬化のリスク上昇にも関係が。そのため慢性的なストレスを感じないように、ストレスケアが重要なのです。
たとえば気分転換できる趣味を見つけるのもおすすめ。スポーツ観戦、映画鑑賞、カラオケなど日常から少し離れてリラックスできる自分だけの時間を作りましょう。
米シカゴ大学の研究によると、睡眠時間が少ないほど、動脈硬化の原因になるカルシウム沈着が起こりやすいという調査結果があります。
質の良い睡眠をとるためには、入眠しやすい環境づくりを。たとえば、ラベンダーやカモミールなどのリラックス系のアロマは、心を落ち着かせてくれるのでおすすめです。
漢方薬は、植物や鉱物などの自然由来の生薬を原料としています。一般的に西洋薬に比べて副作用が少ないといわれているため、初めての人でも安心して利用できます。
また、漢方薬は定期的に飲むだけなので、今すぐ生活習慣を変更するのが難しい場合にも、手軽に試すことができます。
血管アンチエイジングには、「加齢によるホルモンバランスの乱れを整える」「血流を良くして全身に酸素や栄養を行き渡らせる」「ストレスで乱れた自律神経を整える」「睡眠の質を上げてストレスを改善する」などの働きを期待できる漢方薬を、体質や症状に合わせて選びましょう。
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢による体力低下や四肢の冷えが目立つ人に。老化に伴う動脈硬化の数値を改善したという研究結果があります。
・釣藤散(ちょうとうさん)
ストレスがたまり、高血圧傾向の人に。頭痛やめまい、肩こり、高血圧症などに用いられます。
漢方薬は体質との相性が重要です。漢方薬の知識を持った医師や薬剤師などに提案してもらいましょう。
教えてくれたのは…「あんしん漢方」薬剤師 碇純子さん
編集/根橋明日美 写真/PIXTA
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