PEOPLE
輝き続ける宝塚OGの美しさの秘密を“素化粧”から紐解きます。今回のゲストは、宝塚時代3人のトップスターの相手役を務めた経験をもつ元花組娘役トップ、蘭乃はなさん。舞台、映画と幅を広げ、新たな世界を開拓し続ける蘭乃さんが退団後乗り越えてきた苦悩、そして内に秘めた信念を語ってくれました。
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《Profile》
東京都出身。幼い頃からクラシックバレエを嗜み、高校では演劇部に所属。2006年宝塚歌劇団に92期生として入団。月組に配属。同期のすみれ乃麗さんは双子の妹。花組に組替え後、トップ娘役として歴代3人のトップスターの相手役をつとめ数々の名作のヒロインを演じる。退団後はミュージカル『エリザベート』に主演、芸能活動を開始する。日本舞踊花柳流名取という一面も。近年では映像作品や広告にも出演し、2024年1月には初の主演映画となる『TOKYO RED 鉛丹』が公開、活動の場をますます広げている。趣味はサッカー観戦。
蘭乃:日焼けしないように中3から夏でも長袖で通学してました。体育の授業は上下長袖のジャージ。高校生になって宝塚受験を意識するようになってからは、日傘を差してカバーマークのファンデを塗って学校に行ってましたね。
蘭乃:退団後は毎朝レモンを1個搾って白湯に入れて飲んでいます。ハンバーガーを食べたり、サッカー中継を見て夜更かしすることもあるけど、翌朝のレモンが帳消しにしてくれると信じて。
蘭乃:3人の方との関係性の中で対人コミュニケーションを学びました。トップコンビになると相手の方との関係値が急に100になるんです。最初はとても戸惑いました。真飛さんとは11学年、蘭寿さんとは10学年も離れていたので距離感が縮められず悩んでいたときに、同期が「下級生のテンプレをやめてぶつかり稽古をしたほうがいい」ってアドバイスをくれて。そこからですね、コミュニケーションを深く取れるようになったのは。お二人との関係の中で学ばせていただいたことを、明日海さんとの間でも活かすことができました。
蘭乃:「初めまして」から始まる現場というのは宝塚と全く違いました。まず自分を知ってもらうことから始めないといけない。そんな緊張を抱えながら稽古をしているうちに突然声が出なくなってしまって。一気に追い詰められてパニックになってしまい、薬を飲みながらなんとか舞台に立つ日々でした。そこまで葛藤を抱えていたとは当時誰も気づかなかったと思います。今こうして話せるようになったのは大きな進歩。人生最大の危機でしたが、自分ときちんと向き合い、流れに身を任せようと思うきっかけとなりました。
蘭乃:ほぼすべてのシーンをワンシークエンスで撮るというチャレンジングな作品でしたが、宝塚で100回同じ公演があっても毎回ベストを尽くしてきたので、トップギアで演じきれるというのは大きかったです。傷だらけになりながら20代を生きてきたヒロイン雪菜の人生は誰にでも当てはまるところがある。鍵となるダンスシーンも印象的で、挑戦して本当によかったと思っています。
蘭乃:「等身大」でいること。背伸びしても過小評価しても、必ずどこかでずれが生じますから。40代を前に、今後をどう受け入れていくかを突き詰めると等身大だなって。人が気になることもあるけれど、自分の信念は貫きたい。いろいろな役を演じても戻ってくるフラットな等身大の自分がいる。それが心身の健康のためにも一番いいような気がしています。
「宝塚時代はアドレナリンが出っぱなしで何かを深く考える余裕すらありませんでした。今はリセットしたいときは布団にくるまって寝る(笑)。自分に戻れる気がします。」
《衣装クレジット》
ワンピース〈トップスとして〉¥9,580(ワイルドリリー)スカート¥22,000(アメリ/アメリヴィンテージ)イヤリング¥14,300(ランバン オン ブルー/ヴァンドームヤマダ)ブレスレット、リング、シューズ/すべてスタイリスト私物
2024年『美ST』8月号掲載
撮影/向山裕信(cheek one)〈人物・静物〉 ヘア・メイク/猪狩友介(ThreePEACE) スタイリスト/津野真吾(impiger) 取材/稲益智恵子 再構成/Bravoworks,Inc.
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