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元宝塚トップスターが男役を終えて、解放されたこととは

新たなステージで輝き続ける宝塚OG。今回は宝塚きってのコメディエンヌとして新風を巻き起こした元星組トップスター・紅 ゆずるさんの登場です。女優としても独自の路線を突き進む紅さんが目指す、真の美しさとは?

型を決めずに目指したいのは媚びない女らしさ

大阪府出身。小学5年生のとき、テレビで観た雪組公演『雪之丞変化/サジタリウス』に釘付けになり宝塚受験を決意。2002年に88期生として入団。2016年星組トップスターに。お披露目公演『スカーレット・ピンパーネル』などアドリブセンスを生かした作品に数多く出演。2019年に退団後は念願のコメディの舞台を中心に活躍中。2023年2月には芸能生活20周年を記念した紅パワー全開のコンサートも開催予定。

《衣装クレジット》
サンダル ¥14,960 (イーボル/イーボルジェネシス)ブラウス ¥29,700 (ウィム ガゼット/パル)トレンチコート ¥49,500(メクル/ハイブス)パンツ ¥28,600(テッドベーカー)イヤリング ¥19,800 (フミエタナカ/ユルクトーキョー) ネックレス〈上〉スタイリスト私物、ネックレス〈下〉¥36,000(エミリ ※オンラインでの取り扱いのみ)リング スタイリスト私物

──宝塚時代と違う〝素化粧〟の柔らかな表情に息を飲みました

以前は男役としてどう見られるか、という視点で自己プロデュースしていましたけど、今は男か女かというより、ファッションもメークも本来の自分に似合うかどうかで選ぶようになりました。在団中はギャップを狙っていたんです。見た目はそうでもないのに喋ると思いっきり関西弁とか、宝塚の既成概念を覆して、ファンの方にも宝塚が初めての人にも面白いと思っていただけたらいいなと。今はスタイルを決めないでいろいろ試してみたい。媚びない女性らしさを出せたらかっこいいなと思います。

──そのために退団後に始められたことはありますか?

イチから体を整えようと、パーソナルトレーニングを始めました。私、食べたぶん太るので、夜に炭水化物は摂りません。男役はラフなスタイルも多かったですが、私は身長が高いので、女性用のゆるい服を着ると〝でかい人〟になっちゃう。なるべく体のラインが出る服を着るようにしてます。スタイリストさんが用意してくださるのに、体型を隠せる服を選ぶというのもイヤなので、毎日鍛えています。トレーニングは精神的にもすっきりしますね。

──そういった陰での努力はあまり表に出されないですよね?

出したら重いじゃないですか(笑)。仲がいい人からオンとオフで全然違うってよく言われます。でも家でダラダラするのが一番苦手で。在団中よりゆとりができた時間をどうやって有意義に使おうかと、いつも考えていますね。

──『アンタッチャブル・ビューティー~浪花探偵狂騒曲~』は紅さんを想定して書かれたコメディだそうですね?

はい。大阪って力技で笑わせるところがあるんですよね。何度も同じことやったり。でもこの作品はアドリブで瞬発的に笑わせるのではなく、物語を生きて、面白かったと言っていただけて、後にも心に残る作品にしたいと思って役作りしています。

──今後新たにチャレンジされたいことはありますか?

コメディ系を極めたいです。そしていつか三谷幸喜さんの映画に出てみたい。昔からめちゃくちゃファンなんですよ。そのためにもキャリアをきちんと積んでいきたいです。この人を見たら何か元気になれるなと思っていただくことがエンターテインメントの意味だと思うんですよね。自分だけのために演じるなら、そこまで頑張れない。ご飯も自分一人のためだと凝ったものは作らないですよね。その感覚と同じです。

──最後に、紅さんにとって「美しく生きる」とは?

人を心から大切にできること。そして、人のことを考えられること。年齢は関係なく視野の広い人が好きなんです。周りにとってどうあればいいのか、どう行動したらいいのかをトップ時代からよく考えていました。それからうわべだけの関係って意味がないと思うんですよね。ここにいてくれてありがとう、という気持ちが伝わると、プライベートも仕事でも必ず助け合えるようになってくる。そういう関係を築いていける人生って美しいなと思います。

紅 ゆずるさんからのメッセージ

宝塚時代、柚希礼音さんから「そんなに気を遣わなくても」と言われたほど、周囲への気配りが細やかな紅さんならではのメッセージ。

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2022年『美ST』11月号掲載
撮影/寺田茉布(LOVABLE)〈人物〉 ヘア・メーク/三浦由美(JOUER INTERNATIONAL) スタイリスト/村上ゆい(JOUER INTERNATIONAL) 取材/稲益智恵子 取材協力/味澤彩子 編集/石原晶子

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