PEOPLE
今年でメジャーデビュー20周年を迎えるアーティスト・木村カエラさん。楽曲はもちろん、楽曲ごとに変化するファッションやメイク、ヘアスタイルなどの唯一無二の世界観でも私たちを魅了し、常に注目を集め続けています。40代目前ながら、20年前から変わらない透明感もまさに羨望の的!「夢の続きが今も続いているような、そんな気持ちなんです」。ひたむきに、歌手になることだけを夢見てきた少女は今年の10月、自身4度目の武道館のステージに立ちます。美ST世代と歩みをともにしてきたと言っても過言ではない、木村カエラさんの歌手活動20周年の軌跡に迫ります!
《Profile》
10月24日生まれ。東京都出身。2004年6月にシングル『Level 42』でメジャーデビュー。ワンマンツアーのみならずフェス・イベントにも積極的に参加。さらにCMにも多数出演し、唯一無二の存在感を確立。2024 年 6 月 23 日にはデビュー20 周年を迎え、デビュー20周年記念EP『F(U)NTASY』を9月25日にリリース。10 月 26 日には約 12 年ぶり 4 度目となる日本武道館でのワンマンライブ「KAELA presents GO! GO! KAELAND 2024 -20years anniversary-」が決定!
「20周年」という実感が、あるようでないんです。ついこの前、尊敬する先輩達の20周年をお祝いした気がしているのですが、まさか自分もその20周年を迎えることができるなんて!
子供の頃から歌手になることしか考えていなくて、今もまだその夢の続きが続いているような、そんな気持ちです。何か明確な計画性を持って20年やってきたわけではなく、大好きな歌をどうにか続けたい、その一心で、一瞬一瞬をとにかく私なりに一生懸命やってきた。その自負だけは確かなものとして自分の中にあります。
キャリアが長くなるということは、もちろんそれに比例して年齢も重ねるということ。今年の10月で40歳を迎えます。10代の頃は、40代は果てしなく先に思えましたが、もう目前。もうちょっと大人になっているかな?と思っていましたが、実際は18歳から精神的に何も変わっていません。色んな経験をして成長はしましたが、根本が変わっていないんですよね。もしかすると、皆さんもそうですか?
デビュー当初から歌詞は私が書いていて、一貫して“心”をテーマにしています。心というのは臓器の中にはない不思議な存在。感情を司る脳にあるとも言われますが、「胸に響く」という言葉があるように、心は胸にあるイメージもありますよね。所在はわからないのに、言葉として確かに存在して、それによって人は笑ったり悲しんだり怒ったり喜んだりする。そんな機微にずっと興味を持ち続けていて、作詞の原動力になっています。
そして作詞するときは、まず全ての歌詞をネガティブなワードで作ります。書いた歌詞を、今度はひとつひとつポジティブなワードに変換していく。例えば、「なんで文句ばかり言うの?」から、「他人の目は気にしないで」と言うふうにするなど。私自身、ネガティブなワードを書き連ねることでストレス発散になっているし、ポジティブに変換する作業で考えが整理されていくのを感じています。
なぜこのような作詞法をするかというと、人の弱さやネガティブな部分こそ美しいと思っているから。そこで傷つくんだ、そこで弱るんだ、という部分を知ると、途端にその人が愛おしくなる。そしてもっともっと知りたくなるんです。
今の世の中、とりわけ日本人は完璧を求めすぎてしまうのかもしれません。完璧である必要はなくて、弱い部分はちゃんと人に見せて良い。見せて、話すことはとても重要なこと。困ったなら助けを求めて良いし、誰かが困っていたら助けられる人でありたい。心をオープンに、誰に対してもフラットにすることで、ちゃんと自分のミスに気付けるようになったことも、この20年で人として成長できたことだと思っています。
ただ、同じネガティブなことでも、人の悪口は言わないようにしています。言霊を信じていますし、自分に跳ね返ってくると思うので。なので逆に感謝の気持ちや、「ありがとう」はことあるごとに人に伝えるように。でも、たまには愚痴混じりに言うこともあります。「ムカつく!」って(笑)。
子供の頃からすごく人見知りだったんです。人のことを信じられなかったし、積極的に心を開くタイプではありませんでした。言い方を変えれば“尖ってた”とも思います。親が厳しかったこともあり、あまり思ったことを思いのまま言葉にできる環境でありませんでした。今思えば、そういった状況があったからこそ、私は作詞をするようになったのかもしれません。
歌手デビュー当初はまだしっかりと自分の殻に閉じ籠っていました。だけど色んな歌を歌っていくうえで、ありがたいことに「カエラちゃんの歌に救われました」と言ってくださる方々も増えてきて、「これは、自分の殻に閉じ籠っている場合じゃないぞ」と。それは本来の自分を出せていないということ。このまま殻に閉じ籠っていても、そこから見える世界はすごく限られた視野になると思ったんです。色んな方々に想いを歌にのせて届ける人間にとって、それはとてつもなく損なことだな、とも。
最初は勇気が必要でしたが、自分からちゃんと心を開くと、広がった間口から入ってくる情報量や世界は比べ物にならないほどになりました。興味の幅が広がり、入ってきたものの中から好き嫌いを選べるし、良いものと悪いものの見極めもできるようになったので、モノ作りをするうえで非常に重要なことだったと実感しました。いくつになっても好奇心を持って、目をキラキラさせていたいですね。
もうひとつ、尖っていた私の転機になった出来事があります。
2007年、『Scratch』というアルバムの発売に際して、初めて日本武道館でコンサートを開催しました。当時、本番前日にステージを見学させていただく機会があり、武道館にお邪魔したんです。そこで、準備中のステージでものすごくたくさんの方々が働いていらっしゃるのを目の当たりにして…。まだ若くて、大人は信じられないとか思っていましたが、その考えがガラリと変わりました。「そんなこと思ってる場合じゃない。責任もってステージに立たないと、バチがあたる」って。私の中で覚悟が決まった瞬間。そこからの気持ちが、今に続いています。
これから10月26日に控える武道館でのワンマンライブは、私にとって4度目の武道館。私が最初に覚悟を持てた場所で、新しい21年目を踏み出したいですね。
そして、9月25日にリリースされたEP『F(U)NTASY』に収録された5曲は、今だからこそ書ける日々の楽しみ方、揺らぐ心の持っていき方が詰まっています。様々な経験を経てきたうえで表現できる私の中のファンタジー、是非20年目の私の成長を感じていただけたら嬉しいです。
《衣装クレジット》
カーディガン¥50,625(サンディ・リアング/リディア)パンツ¥80,300(シーロン)ピアス¥35,200(ウジョー/エム)リング¥99,000(アイジェージュエリー)靴とベルトはスタイリスト私物
【ショップリスト】
リディア 03-3797-3200
シーロン info@siiilon.com
エム 03-6721-0406
アイジェージュエリー IJ.jewelry1212@gmail.com
撮影/古水 良(cheek one) ヘア・メイク/フジワラミホコ スタイリスト/二宮ちえ 編集/浜野彩希 取材/キッカワ皆樹
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2024年12月16日(月)23:59まで
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