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東出昌大さん「舞台は大っ嫌い!(笑)」。それでも舞台に立ち続ける、2つの理由

東出昌大さんと栗原英雄さんがタッグを組み、首藤康之さんが演出・振付を手がける話題の舞台『ハムレット、冬の旅 HAMLET’S WINTER』。舞台のテーマでもある孤独と喪失、そして実は舞台が「大っ嫌い」(?)なことまで、東出さんならではの素敵なお話をじっくりお聞きしました。

東出昌大さん

東出昌大
1988年埼玉県出身。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。ドラマ『あまちゃん』『ごちそうさん』などに出演し、映画・ドラマを中心に幅広く活躍。近年の主な出演作は映画『Winny』『福田村事件』、Netflixシリーズ『イクサガミ』など。舞台にもコンスタントに出演し『豊饒の海』『サド侯爵夫人』など文学性の高い作品にも挑んでいる。初の単独著書『誰が為にか書く~東京から離れた山暮らし日記~』を発表。

 

「寂しがり屋だけど、孤独は好き」山暮らしで感じる喪失と、一人の時間

『ハムレット』と『冬の旅』はともに喪失や孤独を描いた作品ですが、最近失ったものは…ワイヤレスイヤホン。しょっちゅうなくなるんですよね(笑)、いつの間にか片耳から落ちてどこに行ったのか分からない。芝居のことを考えているとボーッとするのでダメですね、役者は物をなくす人多いと思います。
イヤホンは片方だけとか、ケースだけよくなくします。なくした物は「まあしゃあないかな」って思うようになりました。山の道具は絶対なくさないんですけどね。ナイフや弾は法的にも絶対なくしちゃいけないし、生活に直結するので。
孤独はしょっちゅう、幸せな時にも感じます。可愛い我が子といても、「いずれは別れがあるんだな。人って死ぬときは一人だもんな」ということはまあ、考えますね。私もたいがい寂しがり屋なんですが、山の中に約一カ月一人で行くことを考えると、孤独に耐えられるほうなのかな。いや、孤独はいいですね、うん。みんなその時間が作れないだけで、孤独というのは私は好きです。

山暮らしをしていますが駆除の仕事でクマを撃ったこともあります。怖いですよね、その感覚は非常に理解できます。狩猟を始める前に初めて猟師さんの家に行ったら『山でクマに会う方法』っていう物騒な本が棚にあって(笑)。「猟師って、こわ」って思ったんですけど、今は私もその本を愛読してます。
クマに初めて会った時はすごく綺麗だと思いました。クマって頭がいいし鼻もいいので、人間がいたら先に姿を隠していることが多いんです。もし遭遇した場合、状況次第ですが8メートルがデッドラインと言われています。子グマがいて親グマの気が立っている時に遭遇したら死んだをふりしても意味はないので、その時はクマの目を見たまま真っ直ぐ後ずさりする。横方向の動きをすると追っかけてくるんですが、垂直方向の動きにはあんまり反応しないですね、話すと長いんですが(笑)

東出昌大さん

舞台は嫌。それでも立つのは、うまくなりたいから、喜んでくれる人がいるから

『ハムレット、冬の旅』で目標にしていることは、単純に「この芝居を観て本当によかった」って思ってもらえたら。今回は皆さん作品について想像ができない中で劇場に足を運んでくださると思うので、「この前のあれ観た?」「あれすごかったね」って、言ってもらえるものになればいいなと思います。年を取ると「実感を伴って月並みなことが言えるようになる」ので、ほんとに月並みのことしか言えなくなるんですけど(笑)。
「どうして舞台のお仕事をやるんだろう」って最近も考えたんですが、舞台は嫌なんです、本番前とかどちゃくそ緊張して「もうやだ!」って(笑)。初日でも楽日でも嫌で、公演が始まると「あと何公演で終わるんだろう」って指折り数えます。でもやらないといけないと思う理由は、芝居がうまくなりたいというのが一つ。あとは喜んでくれる人たちがいるからですね。

(「『舞台大好き!』というタイプではないんですね」という問いに)
もうはっきり書いていいです、大っ嫌い!(笑)。舞台のいいところは尊敬する方々とクリエーションの時間を長く共有できること。あと、映像より舞台は生活がある程度、規則的になりますね。本番前は落ち着かなくてずっと歩いているので、「東出、足音うるさい」って言われることも(笑)。落ち着かないまま舞台に上がります。首藤(康之)さんは舞台に上がる前に腕で空を切る動作をされるので「あれを真似よう」と思ってたら、「あれ、首藤さんどうやってたっけ?あ、俺もう出ないと!」って、ぐちゃぐちゃになったこともありました(笑)。

セリフを覚える時も歩き回ります。読みながら歩き回る。セリフ覚えは得意ではないと思います。昔、稽古で「春はあけぼの、ようよう白く~」を覚えるときも、一番遅くて居残りさせられました。
座長だからみんなに声をかけたり飲みに誘う、みたいなことは私は全くしないです。若い時は「座長なんだから」って言われて背伸びしてみたんですけど。ただ、舞台って「祝小屋入り」などお祝いを出すんですけど、今は一人でやっているからいっぱいいっぱいですっかり忘れていて。この前の舞台『サド侯爵夫人』が始まってから、「お祝いって出すんだっけ?」と思ってAmazonで注文して熨斗をつけてもらったら、「お中元」って書いてあって(笑)。プロデューサーさんに「お中元なんて初めてよ(笑)」って言われて作り直すという珍事が起きました。それぐらい、わけわかんなくなってます(笑)。

東出昌大さん

『ハムレット、冬の旅  HAMLET’S WINTER』



シェイクスピアの『ハムレット』とシューベルト最晩年の傑作歌曲集『冬の旅』という時代もジャンルも異なる名作を重ね合わせ、人間の喪失と彷徨を描く舞台。演出・振付/首藤康之 『冬の旅』訳詞/松本隆 台本監修/河合祥一郎 音楽監督・演奏/斎藤 龍 出演/東出昌大 栗原英雄 渡辺理恵 高橋慈生 松野乃知 東京公演:11月20日(金)~11月30日(月) 新国立劇場 小劇場 大阪公演:12月12日(土)~12月13日(日) サンケイホールブリーゼ

 

撮影/古末優一 ヘア・メイク/山本絵里子 スタイリスト/ゴウダアツコ 取材/中畑有理

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