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新田恵利さん(55歳)「自分や家族の病気を公表するのは恥ずかしいことじゃない」

元おニャン子クラブの人気メンバーであり、現在もタレント・作家として活動している新田恵利さん。今年6月に旦那さんが悪性リンパ腫の闘病中であることを公表しました。公表に至った想いや、介護や病気の家族をケアする時に「絶対離職しないほうがいい」と語る理由などを伺いました。

お話を伺ったのは……タレント・作家 新田恵利さん(55歳)

《プロフィール》

1968年3月17日生まれ。埼玉県出身。1985年におニャン子クラブの会員番号4番としてデビュー。1986年に「冬のオペラグラス」でソロデビューし、代表曲に。2021年、自身の母の介護体験をもとに『悔いなし介護』(主婦の友社)を出版。介護についての講演活動も精力的に行う。2023年、淑徳大学総合福祉学部の客員教授に就任。

家族のケアを公言することは恥ずかしいことじゃない

治療が始まってすぐ、夫が闘病中であることをブログで公表しました。迷いはありませんでしたね。

数年前に、6年半にわたった実母の介護を卒業した時もその実体験を本にして出版しましたが、これは頭の中を整理する意味もあったんです。
実母の介護が始まったのは今から約10年ほど前ですが、その頃はまだ、そういうことをオープンにするのをためらう風潮があったように思います。介護だけではなく、パートナーの病気や、あるいは障害を持たれたお子様を育てているということも。でも今はSNSでたくさんの人が、そういった自分の事情を発信していますよね。それを見て共感したり、力をもらったりできる。すごく良い時代になったと思います。私も介護で感じたことや苦しかったことを本に書いて公表し、たくさんの言葉をいただきました。励まされ、力をもらい、私自身も人の力になれた気がして救われる思いだったんです。一番伝えたいことは「ひとりじゃない」ということ。そして「一緒にがんばろう!」ということです。

家族のケアをするのは当然のことだと思われがち。わざわざそれをオープンにしなくても、と思う人もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。夫も公表に全く抵抗はありませんでした。
公表した後、彼自身もフェイスブックで病気のことを公表しましたが、学生時代の同級生や前の会社の同僚などから連絡があったみたいです。実は同級生の中で3人も同じ病気を経験した人がいることもわかり、情報を共有し合ったりして随分と励みになったようです。そういうのってSNSならではの力ですよね。検査結果が出るまでのヘビの生殺しのようだったあの1カ月半に比べると、治療が始まった今のほうが彼も私も精神的には大分楽になれたんです。

「もっと私を褒めて!」と言いたいし、言っていいんです

夫は投薬の副作用で体の調子が悪い時に「もうヤダ!」ってたまに爆発するんですが、「私もヤダ!」って心の中で爆発しています(笑)。でもそれを夫に言ってしまったら救いがないですよね。
母の介護をしていた時は、夫に愚痴ったり話を聞いてもらうことで上手くストレスを発散できていました。でも今は、その夫に頼ることができない。それが一番辛いし、堪えるのがストレスだったり…。私たちはよく話す夫婦だから、余計にそう思うのかもしれません。

私自身の体は元気ですが、気持ち的にはしんどいんだけどなあ、と思うことも多々あります。周りから「旦那さん大丈夫?」とは聞かれるけれど、私に「大丈夫?」って聞いてくれる人はいません。当たり前のことだとは思いますが、心の中では「もっと私を褒めて!」って叫んでいます(笑)。欲しいのはアドバイスではなくて、労いなんですよね。

家族をケアする時に大事なのは溜め込まないこと、そして「離職」は絶対NG

実母の介護、夫の病気のケア…その両方を経験して感じるのは、溜め込まないで吐き出すことがとても大事だということ。言い方を変えれば、弱さをちゃんと見せるということかもしれません。なかなかそれができない、という人もたくさんいると思いますが、見せたところで別に何も起こりません!大丈夫。言える友達が身近にいないならSNSの仲間でもいいし、カウンセリングやセラピーに行くのだっていい。そういう場所を見つけてほしいなと思いますね。

それから、これだけは断言できる!ということがもう一つ。今仕事をしているなら、離職だけは絶対にしないほうがいい。ヘルパーさんを雇うお金がかかったとしても、その分の価値があると思います。経済面だけでなく、精神面でとても支えになるからです。
仕事をしていない場合は習い事などでもいいと思います。とにかく「自分の世界」を持つことが大切。週に1日でも2日でも、短時間でもいい。ケアから離れて少しでも没頭できる何かがあると、いい気分転換になって、日々の大変さから少しでも逃れられると思うんです。

撮影/中田陽子(MAETTICO) ヘア・メーク/望月 光(ONTASTE) 取材/キッカワ皆樹 編集/永見 理

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