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新田恵利さん(55歳)夫のがん闘病を語る「自分の病気とは違い、受け入れられなかった日々」

昭和の伝説的なアイドルグループ「おニャン子クラブ」の人気メンバーとして芸能活動をスタートした新田恵利さん。今年6月に最愛のパートナーである旦那さんが悪性リンパ腫を患い、闘病中であることを公表しました。家族として、パートナーの病気をどう受け止めてきたのか。がんの発覚から投薬治療中の現在にいたるまで、その想いを伺いました。

お話を伺ったのは……タレント・作家 新田恵利さん(55歳)

《プロフィール》

1968年3月17日生まれ。埼玉県出身。1985年におニャン子クラブの会員番号4番としてデビュー。1986年に「冬のオペラグラス」でソロデビューし、代表曲に。2021年、自身の母の介護体験をもとに『悔いなし介護』(主婦の友社)を出版。介護についての講演活動も精力的に行う。2023年、淑徳大学総合福祉学部の客員教授に就任。

マネージャーでもある夫。体調次第ですが、今日も一緒に撮影現場に

夫は治療の傍ら、私のマネージャーとして普段から現場に帯同してくれています。投薬治療中は胃腸が上手く機能しないことがあって、実は朝が鬼門。朝お通じがあると、その日一日は体調が安定しているのでこうして現場にも来られますが、その日になってみないとわからないんです。「今朝もどうかな、現場に行けるかな、という状態だったんだよね」(旦那さん)。その後無事に波を乗り越えて、今日は夫の運転する車で現場に来ました。

自分の病気と違って、夫の病気はなかなか受け入れられなかった

今年の4月半ばくらいだったかな?夫が突然「のどが痛い」と言い出したんです。彼は去年コロナウイルスに罹患していたので、「また外出は自粛かなあ」と呑気に考えていました。とにもかくにも耳鼻科に送り出したのですが、帰宅した彼から言われたことは夢にも思わない内容でした。

「面構えが良くないね」と、夫はお医者さんから言われたそうです。面構えって、つまり腫れている部分のこと。私自身、48歳の時に脳動脈瘤の手術を受けたのですが、その診断の際も「面構え」という言葉を聞いたことがあって。キレイにプクッとしていると良性な場合が多いのですが、形が歪だと悪性の場合があるそうです。

1回目の診察で「がんの疑いがある」と言われました。その後2、3週間してから検査結果が出て、2回目の診察で「8割方がんである疑いが強い」と。すぐにがんセンターを紹介してもらいましたが、その時はまだ「そんなはずない」って心のどこかで思っていました。がんって生真面目な方がなると勝手に思っていて、がんではない別の何かだって。今思えば、本当に呑気ですよね。自分が脳動脈瘤と言われた時はわりとすんなり受け入れられたのですが、いざ病気になるのが夫だと、すぐに受け入れることができませんでした。

治療が始まるまでの1カ月半…あんなに精神的に不安定な姿を見るのは初めてでした

がんの検査って、すごく時間がかかるんですよ。夫がのどの不調を訴えたのが4月の半ばで、明確にステージ1の悪性リンパ腫であると診断結果が出たのが5月の終わり頃。6月になってようやく治療が始まりました。
病気ならばすぐにでも治療を始めたいのに、診断結果が出るまではもちろん何もできません。ただただ、待つだけの日々が1カ月半続きました。

夫は「結果が出ればあとは腹をくくって戦うだけだ!」と何度も言っていましたが、自分の体のことなのにどうしたらいいかわからないもどかしさやイラ立ちで、目に見えて精神的に不安定に…。すごく怖かったんだろうなと思います。結婚して25年になりますが、あんなに浮き沈みの激しい夫の様子を見るのは初めてでした。具合は悪くないのに食欲が極端に落ちたり、言葉遣いが荒くなったり…。

後で知ったことなんですが、検査結果が出るまでの間、夫は万が一に備えて銀行の暗証番号、パスワードなど、いろんな契約の整理もしていたそう。私が全くもってそういう方面に疎いので(笑)、心配だったんでしょうね。ヘビの生殺しのような1カ月半、不安に押しつぶされるなか、残されるかもしれない私の今後についても考えなくてはならず、本当に大変だったと思います。

治療が始まって、ようやく夫のがんを受け入れられるように

一方の私は、夫ががんであることが受け入れがたくて「絶対違う!」って治療が始まるまで頑なに思っていました。「ウチの家族に限って起こるわけない」って…同じような状況になったら、誰しもそう思うんじゃないでしょうか。

6月の頭から治療が始まり、その時になってようやく「ああ、やっぱりがんなんだ…」と現実を受け入れ始めました。ただ、夫は幸いにも初期の段階でのどに自覚症状が出たので、発見が早くラッキーなほうだったと思うんです。症状が全く出なくてがんが進行していくこともありますから。

最初に5日間入院して、夫は2種類の投薬を行いました。種類の違う薬を処方されて、体にどんな反応が出るのかをチェックするんです。最初の3日間は強烈な吐き気と倦怠感に襲われ、副作用で胃腸が動かなくなりひどい便秘に。その便秘を解消するために下剤を飲み過ぎ、今度はとめどない下痢に苦しんでいました。投薬治療があまりにも辛くて、中には逃げ出してしまう方もいるんだとか…。
退院後、夫は仕事をしながら通院して投薬治療をしています。悪性リンパ腫においては、通院で治療する患者さんがほとんどなんだそう。最初はのどの違和感だけだった夫は、投薬中の今が一番絶不調。人によっては汗が止まらなかったり激痩せしてしまうみたいですが、夫はありがたいことにそういう症状はなく食欲もあって、むしろ以前よりも太っています(笑)。

撮影/中田陽子(MAETTICO) ヘア・メーク/望月 光(ONTASTE) 取材/キッカワ皆樹 編集/永見 理

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新田恵利さん(55歳)夫のがん闘病を語る「自分の病気とは違い、受け入れられなかった日々」

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