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アパホテル社長・元谷芙美子さん「90歳まで現役でミニスカートとハイヒールを履いて最前線に立っていたい」<後編>

華やかな帽子とミニスカート、「私が社長です!」でおなじみ、アパホテル社長の元谷芙美子さん。スリーサイズは92・63・87のボンキュッボン。「90歳までミニスカートで最前線にいたい」と言う元谷さんの美とエネルギーの源とは?

2人のお嫁さんや社員にプレゼントするのが大好きで、お給料をいただくと、全部使っちゃうの。使い切って生きているから貯金はゼロですね。見事にハンサムに生きてきました。ゼロになったら夫に借りに行くことも(笑)。

53歳で大学生に。何をするにも遅いことはない

家族で住まいを東京に移したのは’01 年、53歳のとき。長男夫婦と食事中、懸命に頑張る女の子のドラマを観ていて、小さい子がこんなに頑張っているのに私は勉強もしないでいいのだろうか、大学に行こうとふと思い立ったんです。忘れもしない’01年1月25日。その時点で受験できる大学を探し、法政大学人間環境学部を受験。環境を勉強しようと思ったのは、ホテルの社長として、環境を重視した時代が来るとわかっていたから。受験科目は一般教養、小論文でしたが、環境問題は常に勉強し、世の中の動向についても当然把握しています。現場にも出ていますし、新聞やネット情報を網羅していたので自信がありました。学生時代から勉強は好きだったので、何とかなる。だから受験勉強はせず、ぶっつけ本番で受験したら合格。日本武道館での入学式の様子はフジテレビ「とくダネ!」の次の番組で1時間密着放映されました。入学後は1日も休まず、最前列のど真ん中に座って講義を受けました。大学で勉強するってこんなに楽しいことだったのかと、充実した4年間を送りました。さらに勉強意欲が湧き、早稲田大学大学院を受験。当時、雑誌やTVで特集が組まれていた環境活動家のレスター・ブラウンについて試験が出るという山勘が当たって合格。感謝感謝です。家族には「受かるわけがない」と言われていたので、びっくりされました。
53歳から64歳まで計11年間、社長と学生の二足の草鞋を履いていました。充実していたせいか、気づけば更年期はなかったの(笑)。やりたいことに遅いことはないのだと思います。

国のお役に立ちたいと新型コロナ感染者を受け入れ

忘れもしない昨年4月2日。「クラブふみふみ」開店中に、政府筋から夫に電話が入りました。それは、アパホテルへの新型コロナウイルス軽症者等の受け入れ要請。夫は即決でOKのお返事をし、横で聞いていた私も大賛成。国難ともいえる非常事態のお役に立ちたい、火中の栗は私たちが拾う。まぎれもないそんな気持ちからでした。一番心配だったのは、社員たちの感染リスク。希望者制にしましたが、予定の5倍以上の社員が集まってくれ、本当に涙が出ました。
ところが、そこから嵐が吹き荒れました。オープン半年で2311室ある横浜のホテルはすでに多くの予約が。すべてのお客さまを同等かそれ以上のクラスのホテルに移す手続きや、テナントの方々にも頭を下げて理解してもらうなど困難を極めました。ネットでは売名行為との非難の声も上がり、オープン前の両国のホテルは地元の方から不安の声も。1年前はウイルスの実態がまだわからず仕方のないことですが、みなさんに納得していただけない限りは実施できないと、引き渡しギリギリまで調整を続けました。すると、諦めかけていた引き渡し当日の朝、地元の方が「自分たちが犠牲になっても貸し出す志の高い会社だとわかったので、協力します」と三千羽の折り鶴を折って持ってきてくださったんです。涙が出ました。三千羽も折ってくださった、その気持ちを思うと今でも涙が溢れます。
もともとまったくのゼロから始めて50年。節目にこういうことがあったのは運命ですし、私たちが受け入れなかったら、ほかのホテルも恐れてしまう。本当の意味でのリーディングカンパニーとして覚悟したことは間違っていなかったと自負しています。

完璧な美しさよりちょっと惜しいくらいがいい

平時のときは人に優しくできて当たり前。窮地に陥ったときにどう生きるか、そのときに優れた能力を発揮できる人が美しい人だと思います。外見で言えば、完璧で非の打ちどころのない美しさより、ここ残念、もうちょっとなのにという人が好きですね。シミもないほうがいいけれど、ぽつぽつ目立っていたり、ファッションもどこか惜しいところがある。そんな人のほうが周囲に安らぎを与えると思います。
仕事ができて美人でそつがない人は実業界にたくさんいらっしゃると思うんです。家庭を持つことがすべてではないけれど、大切な家族がいる中で仕事をしていくことは幸せなこと。だから私は本当に恵まれていると思います。
200年生きた人はいないけど、90歳まで現役で、ミニスカートとハイヒールを履いて営業の最前線に立っていられれば、人生合格かな(笑)。

元谷さんの美の秘密③

講演会のスピーチになくてはならない森下仁丹の「鼻・のど甜茶飴」。洋服の色に合わせてディオールの口紅の色を変えるられるよう、赤・ピンク・オレンジを常備。

元谷さんの美の秘密④

五島列島の珊瑚、南アフリカの石など、夫と旅をするたびに持ち帰ってくる石や全国のお守りは私の元気の秘訣。精神的に安らぐもののほうが、美肌に近づけると思っています。

元谷さんが40代に伝えたいこと

仕事を楽しみ、遊びのようにエンジョイしてほしい。そうすれば、その遊びが仕事にヒントとチャンスを与えてくれるのです。

●Profile
福井県福井市生まれ。福井県立藤島高校卒業後、福井信用金庫に入庫。22歳で結婚し、翌’71年、夫の元谷外志雄氏が興した信金開発株式会社取締役に就任。’94年アパホテル株式会社取締役社長に就任し、全国規模のホテルチェーンへと成長させる。’06年早稲田大学大学院公共経営研究科修士号を取得。’11年同博士課程を修了。現在、アパホテル株式会社取締役社長をはじめ、アパグループ11社の取締役、東京国際大学特任教授、日韓文化協会顧問を務める。

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2021年『美ST』5月号掲載
撮影/須藤敬一 ヘア・メーク/遠藤康弘 取材/安田真里 編集/和田紀子

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アパホテル社長・元谷芙美子さん「90歳まで現役でミニスカートとハイヒールを履いて最前線に立っていたい」<後編>

2024年5月号

2024年3月15日発売

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