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【不妊治療のリアル】妊活を辞める選択も…0歳児の養子を迎えた47歳「幸せです」

初産の平均年齢が30歳を超え35歳以上の出産も28.6%と20年で約3倍に。不妊の検査や治療をした、または今している夫婦は22.7%と約4.4組に1組です。保険による助成は、妻が43歳未満、つまり42歳までの“壁”も。年齢や、費用面、パートナーとの協力…読者たちが経験したことを聞きました。

不妊治療、する、した、やめる、続ける?それぞれの体験談

ケース①里親登録から3年かけ、特別養子縁組でお迎えした2歳の娘を育てています

会社員(千葉県在住 47歳・夫54歳・娘2歳)
38歳で結婚。40歳で不妊治療をスタートしました。夫に不妊の原因があるとわかり手術にもトライ。治療を進めても結果が伴わずどんどん夫が落ち込んでいくのを見ているのがとても辛かったです。年齢差を理由に家族から反対され、それを押し切って結婚した大好きな夫との間もぎくしゃくするように。

そんな時に病院でもらった養子縁組のパンフレット。調べれば調べるほど、我が家にはこれかも!と思うようになり、最初は後ろ向きだった夫を説得し説明会に参加。特別養子縁組の養親にも年齢制限があり子供との年齢差が45歳程度までを基準にしている団体・自治体が多いよう。0歳児の養子を希望した場合は厳密ではないですが45歳が境目になるようでした。42歳で妊活はやめる決断を。養子は申し込みして3~5年かかる方もいるという話を聞き、里親制度や普通養子縁組などの制度もありますが、戸籍上実の親子として記される特別養子縁組を希望し、手続きを始めました。

親身になってくれた民間の団体に登録し審査がスタート。登録が無事クリアできてもマッチングができるかどうかはご縁次第。無事に赤ちゃんを迎えることが決まったのは44歳の時です。産院退院後わが家へ。

もうすぐ3歳になりますが、普通の家族として幸せに暮らしています。もっと早く決断をしていたらきょうだいを迎え入れることもできたかもしれません。養子という選択肢も広く知られてほしいと思っています。

ケース②41歳の時に治療を始め、子宮筋腫の手術を経て44歳で成功しました

会社員(東京都在住 46歳・夫48歳・娘1歳)
36歳で結婚。不妊治療の必要性は感じていたのですが夫婦ともに転職などで落ち着かず41歳で初めて産婦人科を訪れました。そこでかなりの大きさの子宮筋腫が見つかり、まずはこちらの切除手術をすることに。貴重な半年以上の時間を費やしてしまいました。

その後の検査で夫にも治療が必要なことがわかり夫婦ともに不妊治療をスタート。不妊の理由は本当に様々で探り探りの治療でしたが、お互いに治療の予定がある日は会社帰りに夫婦で連れ立ってクリニックに通うようにして、タッグを組んで乗り切り44歳で念願のママに。同じ目標へ向かって頑張った経験で夫婦の絆が深まった気がします。妊娠中も子育て中も100点満点のパパでいてくれています。

38歳以降に第一子出産を経験した読者30名に聞きました

Q1.不妊治療しましたか?

A.はい…21人、いいえ…9人
38歳以上で初産の方は今回の調査では半数以上が何らかの不妊治療にトライをした経験が。厚労省の調査では夫婦の約4.4組に1組の割合で治療を行っているとの結果。’22年から治療が保険適用になったことでぐっとスタートのハードルが下がり、少子化解消も叫ばれ、以前よりは「周囲にオープンにできるようになった」「治療を理由に仕事を休むことを職場に伝えている」など、不妊治療への理解が進んだと感じているよう。

Q2.どのくらいの期間?

A.1年未満…4人、2~3年…14人、3~4年…9人、5年以上…3人
期間はおおむね2~5年。10年以上の人もいました。「心理的なストレスも関係あるのか、やめたら授かりました」という声も。「結婚してすぐにクリニックに通って検査をするカップルも多いよう。専門クリニックの数も増えていて治療を受けやすい環境かも」「年齢によって早く高度医療のステップに移行することを勧めたり、TRIO検査など一般の保険診療との併用が認められている先進医療を取り入れるなど、医療機関でも期間の短縮への努力を感じた」という最近の傾向も。

Q3.費用はどれくらいかかったか

A.100万未満…4人、~200万…6人、~300万…14人、~400万…4人、~500万…2人
どのくらいの期間続けたか、保険を使えたかによって大きく異なりましたが、やはりかなり高額。体外受精1回にかかる費用はクリニックにより差異はありますが約50万円、顕微鏡受精は50~70万円ほど。回数や年齢制限があるものの高額療養費制度の対象になることもあり、保険が使えるようになったのはかなり費用面では有効のよう。「43歳以上への保険適用や、受けられる治療回数の増加措置を待ちたい」という声もありました。

【不妊科医が解説】今はさまざまな治療方法が。ですが一番大切なのはご夫婦の心身の健康です

’22年から人工授精などの一般不妊治療と生殖補助医療が保険適用になりました。年齢や実施回数などに制限はあります。これにより不妊治療が広く社会に知られていくと感じますし、保険診療にあたり夫婦での受診が必要な機会が増え、以前よりも男性にとっても自分事と捉えられている実感も。年齢が上がるほど不妊症の原因は複雑化する傾向にあります。卵子の減少や卵子や精子の質の低下、子宮筋腫など子宮の疾患や子宮内膜症など骨盤内炎症性疾患の罹患率が上昇することが原因です。

ですが今は経過によっては自費診療で行う治療方法や検査、保険診療と自費診療を組み合わせて行うことができる先進医療など、多くの方法があります。さらに子宮内の細菌叢が注目されており着床に影響するのではないかという考えから子宮内細菌叢検査などの先端医療の治療も注目されています。治療の必要性をしっかり判断し最適な治療が選択していけると良いですね。パートナーと気持ちを共有しながら前向きに治療を進めてほしいと思います。一番大事なのは自分らしく人生を歩めることではないでしょうか。

さまざまな患者さんを見ている病院のスタッフにも、遠慮なく気持ちを吐き出してもらうとまた良い方向に進めることもあるかと思います。授かることの先にある、子供を産み、育てていくための治療ですのでご夫婦自身の体と心の健康を最優先にすべきですね。(真壁先生)

教えていただいたのは…

⼩畑会浜⽥病院 不妊科 医師/真壁友子先生

⽇本⽣殖医学会⽣殖医療専⾨医。診察を通じ⽇々第一線で不妊治療に携わる。気持ちに寄り添い対話を大切にしながらの治療に定評。

2024年『美ST』8月号掲載
取材/佐藤理保子 写真/PIXTA グラフデザイン/スズキのデザイン 再構成/Bravoworks,Inc.

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