HEALTH

初心者でも簡単な【ファスティング】やり方・効果・注意点を徹底解説!

最近よく耳にするようになった「ファスティング」。一日のうち決まった時間だけ断食をする「16時間ファスティング」のようなチャレンジしやすい方法もあり、より身近な健康法となってきています。しかし、間違ったやり方や自分に合わない方法をとってしまうと逆効果になることも!しっかりと効果を出すためには、正しい知識のもとで行うことが何よりも大切です。今回は、そのファスティングの効果ややり方について詳しく紹介します。

1.ファスティング(断食)とは

ファスティング(fasting)とは「断食」をあらわす英語で、その名のとおり食事を断つ健康法。欧米でも広く普及しており、健康や美容目的で注目されています。

食べないことで痩せる、というダイエットのイメージが強いですが、本来ファスティングを取り入れる一番の目的は「血液をキレイにする」ということ。

普段の食事では体に必要な栄養がとれる反面、体に不要なものも同時に入ってきてしまうため、その処理のために肝臓や腎臓は毎日フル回転し、血液の浄化能力も落ちてしまいます。例えば、体にとって欠かせない栄養の一つであるタンパク質には、体の中で分解される際にアンモニアがつくられるという特徴が。アンモニアは体にとって毒となるため、その処理のために肝臓や腎臓が働くのですが、肝臓・腎臓は血液をつくるために必要なものを蓄積したり、ろ過したりするうえでも重要な臓器。毎日食べている物の処理に追われていると、少しずつ体に溜まりこんでしまった老廃物を処理して血液をキレイに保つところまで手が回らなくなってしまいます。

そこで、体に負担をかけているものを含んだ食事の供給をストップすることで内臓を休ませ、溜まり込んでいた老廃物や毒素を排出することにエネルギーを使って体の大掃除をするのが「ファスティング」なのです。

ファスティングの専門家。ナチュラルラボ株式会社代表取締役。「断食メガネ」の愛称で知られ、ファスティング指導実績は数々の有名人やアスリートを含む13,288人以上。関連書籍も多数。ファスティングに関するWebサイトも運営。→「ファスティングナビ」

2.ファスティングで得られる効果

ファスティングの大きな目的は「血液をキレイにする」ことですが、体全体をめぐる血液が浄化されると腸内環境が整い、免疫力の向上や肌トラブルの改善など美容の面でもたくさんのうれしい効果が。
ここでは、美容に関わる主な効果を5つ紹介します。

【ファスティングの効果①】ダイエット効果|体重を落としてリバウンドしにくい体づくり!

ファスティング中はカロリー摂取が制限されるため、体に溜まっている脂肪を分解してエネルギーに変換。これによって脂肪が燃焼し、体重の減少につながります。
また、数日間断食することで腸内環境が整うほか、食生活の見直しにもなります。自然と体がジャンクフードを必要としなくなり、リバウンドもしにくいのがファスティングによるダイエット効果の特長です。

【ファスティングの効果②】冷え・むくみ改善|血液・リンパがめぐってスッキリ!

女性に多い手足の冷えは、血行不良が原因で起こります。
ファスティングによってキレイになった血液は、末端まで効率よく巡って冷えを解消。また、リンパの流れもよくなり老廃物を排出するため、むくみの解消にもつながります。

【ファスティングの効果③】免疫力アップ|腸内環境を整えて健康に!

ファスティングを行うと、体に溜まっていた老廃物や毒素が排出され、腸内環境が整います。
腸はただ単に食べ物を消化・吸収するだけでなく、実は免疫細胞の約70%が集まっている臓器だと言われます。そのため、腸内環境を整えることは免疫力アップにも直結。健康維持もしやすくなります。

【ファスティングの効果④】肌荒れ改善|腸スッキリで肌までキレイに!

体の隅々まで血が巡って腸内環境が整うと、その効果は肌にも現れます。ファスティングを行うとオートファジー(細胞の大掃除)が活性化し、これによって新陳代謝・ターンオーバーも整い、美肌につながります。

【ファスティングの効果⑤】アンチエイジング|細胞の老化もくい止める!

ファスティングを行うと、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが増加。このセロトニンは、夜になるとメラトニンというホルモンに変わります。
メラトニンは睡眠を促すホルモンであることが知られていますが、実は抗酸化・アンチエイジングにも効果的。ぐっすり眠れて若々しくいられるのはうれしいですね。

3.基本的なやり方やスケジュールは?噂の「16時間ファスティング」も!

ファスティングと一言に言っても、一切の食事をとらず水などの水分補給のみとするやり方や、断食中でも必要な栄養は欠かさないよう酵素ドリンクを摂りながら行うものなど、いくつかの方法があります。
また、期間も1日のうちの数時間というものから、数日間かけて行う本格的なものまでさまざま。それぞれのやり方の特徴をおさえておきましょう。

▶ファスティングの種類とやり方

ファスティングのやり方には、主に「完全絶食ファスティング」、「ジュースファスティング」、「インターミッテントファスティング」と呼ばれる3つの方法があります。

【ファスティングの種類&やり方①】完全絶食ファスティング

期間中、何も摂らないいわゆる「絶食」ですが、これは主に宗教的な儀式や修行などで行われるもの。一切の栄養素を絶ってしまうと、血糖値が下がり健康を害する恐れがあります。
この方法は、性別・年齢や体の状態を問わず、健康のために行うファスティングでは避けたほうがよいでしょう。

勘違いされる方もいらっしゃいますが、断食=完全絶食ではありません。断食中も最低限必要な栄養素は摂るように気を付けましょう。

【ファスティングの種類&やり方②】ジュースファスティング

ファスティング用の酵素ドリンクや、レモネードを飲む「マスタークレンズ」という方法などがこのジュースファスティングにあたります。良質な糖が含まれるドリンクを摂取するため、断食中も血糖値を安定させ空腹を感じにくく、メンタルの状態も良好に維持できるのがメリット。

糖が不足すると、筋肉を分解して糖を作りだす働き(糖新生)が作用してしまうため、もともと男性に比べ筋肉量が少ない女性には良質な糖を補給しながら行う、このジュースファスティングが一番おすすめの方法です。

《「良質な糖」とは?》
野菜やフルーツ、あるいは玄米やオートミールなどの全粒穀物のように、自然の素材から摂れる糖質のこと。ファスティング用につくられた酵素ドリンクなどからも手軽に接種することができます。コーラやジュースなど、甘いものならなんでも良いというわけではないので注意してくださいね。

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【ファスティングの種類&やり方③】インターミッテントファスティング

「断続的断食」と呼ばれるもので、1日の中でも食事してよい時間・しない時間を決めて行うファスティング。アメリカで生まれたやり方で、いわゆる「16時間ファスティング」などを指します。
「16時間ファスティング」は1日のうち16時間は食事を摂らないというものですが、この場合でも血糖値は常に安定させておいたほうが良いため、ジュースファスティングと同様、断食中の16時間においても良質な糖は定期的に補給しながら行うようにしてください。

▶ファスティングを行うスケジュールや期間

ファスティングは摂取するものの違いだけでなく、行う期間についてもいろいろな方法があります。

【パターン①】16時間ファスティング

なんといっても最近話題の「16時間ファスティング」は、1日のうち16時間は食事を摂らず残りの8時間のうちに3回の食事をすませるというもので、気軽にチャレンジしやすいファスティング方法です。
一見、「これならば長く続けられそう!」と感じますが、特に女性は長期間継続するのではなく、週2〜3日までにとどめることが推奨されています。なぜなら、毎日継続して基本の食事量を減らすと代謝が低下し、逆に痩せづらい体になる可能性があるからです。長期的には食事量を減らさず、いかに基礎代謝を維持するかがポイントに。

誰でもチャレンジしやすい方法ではありますが、誰でも効果が出やすいわけではないのが注意点。もともと、ある程度の食事量・運動量・代謝がある人には効果的ですが、普段はデスクワークで動くことが少ない人や元から少食の人、そして男性に比べ女性も効果が出にくい場合があります。

【パターン②】1日ファスティング

前日に準備食、当日は絶食(完全絶食ではなく、最低限必要な栄養素は摂りましょう)、翌日は回復食というスケジュールで行う1日ファスティングも、短期間で完了するため比較的取り入れやすい方法。絶食中も酵素ドリンクなどで良質な糖を補いながら行うため、強い空腹感に悩まされることもありません。また、平日は会食や仕事の付き合いなどでなかなか断食が難しい人でも、週末や連休を使ってチャレンジ可能です。

1日しっかり絶食の時間があるので「血液をキレイにする」目的に向いてはいますが、ライト版という位置付け。やはり3日以上など時間をかけて行うほうがより効果は得やすくなります。
とはいえ1日だけでも、内臓を休めて気持ちをリフレッシュするのには十分有効です。週に1日、デトックスデーを決めておくのも良いでしょう。

【パターン③】3日〜10日間のファスティング

初心者・上級者を問わず、血液をキレイにしてファスティング本来の効果を得るためには、3〜10日ほど期間をとって実施するのがおすすめ。
自分で行う場合は5日程度まで、1週間以上かけてしっかり行う場合は専門家と一緒に進めるようにしましょう。また、はじめて行う場合は日数を問わず、専門家の指導・アドバイスのもとで行うほうが安全です。

いずれの場合でも、酵素ドリンクなどで良質な糖を摂りながら血糖値を安定させて行うことが大切。血糖値が安定していれば空腹を感じないため、失敗もしにくくなります。
水だけしか摂らないなど、無理な完全絶食は控えましょう。

4.どんな人におすすめ?ファスティングをするメリットとは

ファスティングは単に食事制限をして痩せるだけのものではなく、根本的に「血液をキレイにする」ことで体全体にあらゆるよい効果を得ることができます。
そのためダイエット目的のほかにも「健康でいたい」「アンチエイジングに取り組みたい」など、美容に関心の高い人に幅広くおすすめできる健康法なのです。

加えて、ファスティングのアンチエイジング効果は肌だけではなく、女性においては卵子の抗老化にも良い影響があると言われます。そのため、妊活中の人も多く取り入れているとか。

また、ファスティングには上に挙げた身体的な効果のほかに、自律神経が整いメンタル面でも安定を得られるというメリットが。体はもちろん、心もすっきりデトックスしたい人にもおすすめです。

ファスティングによるダイエット効果はこちらの記事でも実証!

5.意味ない?体に悪い?ファスティングを行う際のデメリットや注意点

体と心を整えることができるファスティングですが、正しいやり方をしなければ良い効果を得られないばかりか、反対に体調を崩すことにも繋がりかねません。

自身の体の状態にあわせて専門家に相談しながら進めるのがおすすめですが、セルフで行う場合には特に以下のポイントに注意してください。

【ファスティングの注意点①】貧血・低血糖になりやすい方は絶対にNG

貧血や低血糖を起こしやすい体質の方は、健康を害するおそれがあるためどのようなやり方であってもファスティングは控えるようにしてください。体調や体質を最優先に考えて行うことが、最も大切なポイントです。

【ファスティングの注意点②】ファスティング1週間前からカフェインを抜く

毎日コーヒーやお茶を飲む週間がある人は、ファスティングを行う1週間前からお休みを。急にカフェインを抜くと、離脱症状として頭痛などが起こることがあります。その不調がファスティング中に重なってしまわないよう、事前にカフェインは抜いておくようにしましょう。

【ファスティングの注意点③】必要な栄養は欠かさない

《特に摂っておきたい栄養素》
・鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル
・ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンAなどのビタミン類
・タンパク質
・良質な糖(玄米、雑穀米、もち麦、オートミール、キヌアなどの全粒穀物、フルーツなど)

断食期間中でも、代謝を落とさない・貧血を起こさないため、必要な栄養はきちんと摂ることが大切です。ビタミン・ミネラルや良質な糖を含んだ酵素ドリンクのほか、体に必要なミネラルが豊富な梅干しや、糖を補給できるハチミツなどもファスティング中におすすめ。積極的に食事に摂り入れて。

【ファスティングの注意点④】効果が出やすいスケジュールを組む

3〜10日間かけて行うファスティングは、短期間で何度も繰り返し行うのは避けましょう。断食によって省エネモードになった体が元に戻るのには2週間程度かかるため、しっかり回復する前にまた断食をしてしまうと、代謝を低下させてしまう可能性があります。

また、女性の場合は生理後1週間〜10日頃からスタートするのがおすすめ。それらを踏まえると、1度ファスティングしたあと再度行う場合は、期間を2カ月ほど空けるのがよいでしょう。

【ファスティングの注意点⑤】体調を優先し、無理に行わない

病気にかかっているときや、妊娠・授乳中はファスティングを行ってはいけません。ファスティング期間中に風邪などをひいてしまった場合も中断してください。また、貧血傾向にある人はすぐにファスティングを開始せず、まずは貧血を改善する食生活を心がけて体調を整えた上で行うようにしましょう。

ファスティングのやり方に不安がある場合は自分ひとりで無理をせず、医師や専門家に相談しながら進めてくださいね。

6.ファスティングは正しいやり方で効果が最大化!

「血液をキレイにする」ことができるファスティング。ダイエット効果だけではなく、冷えやむくみの改善、肌荒れ改善、アンチエイジングなど、体にも心にもあらゆる良い効果をもたらしてくれます。

特に女性には酵素ドリンクなどで糖を補いながら、3日〜1週間ほどかけて行うジュースファスティングがおすすめ。手軽に始めるなら、1日ファスティングでも内臓を休めてリフレッシュすることが可能です。

体の健康だけではなくメンタルの安定にもつながるファスティングは、年齢問わずチャレンジしやすい健康法。正しいやり方を知って、効果的なファスティングにチャレンジしてみてくださいね。

写真提供/PIXTA 取材/haru 編集/永見 理
※写真はすべてイメージカットです。

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