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元宝塚トップスター、モナコとの2拠点生活を初めて語る「最初は壁だらけでした」

レトロ&クラシックをテーマに華やかなオーラでファンを魅了し続けた元月組トップスター・龍 真咲さん。現在はモナコに住み、だからこそ今はもちろん未来の地球を考えて自ら行動する、まっすぐな思いをお持ちです。

次の世代にバトンを渡すために、できることを優先したい

コート¥151,800、ドレス¥97,900、ソックス¥25,300、ミュール¥115,500、イヤーカフ(2つセットで)¥82,500(すべてヌメロ ヴェントゥーノ/イザ)

《Profile》
大阪府出身。愛称まさお。小学生の時、母と天海祐希さんの『風と共に去りぬ』を見て、宝塚音楽学校受験を決意。2001年87期生として入団。月組に配属され、2012年に16年ぶりの月組生え抜きトップスターに就任。華やかな個性で宝塚100周年という節目を盛り上げ、2016年『NOBUNAGA/Forever LOVE!!』で退団。舞台やラジオなどで活躍し、結婚後はモナコと日本の二拠点生活も話題に。

──SDGsに貢献する「HAPPY EARTHアンバサダー」に就任され、サステナブルなライフスタイルが注目されていますね

1年の半分を過ごしているヨーロッパでは、地球と共に生きるという考え方が進んでいて、コスメも食べ物も、体だけでなく環境にもよいものを選ぶのが基本。そういった海外の情報を日本にも伝えたいと思い、昨年、オンラインサロンを始めました。

──どういった活動をされているのですか?

私にもできるSDGs活動について発信したり、昨年は食を通して地産地消の大切さを学ぶためにシャインマスカットの木を育て、サロンメンバーのみなさんと“青空のもとプロジェクト”第一弾を開催しました。

──楽しそう!すべてご自身で企画されたんですか?

はい、農園を探すところからバスの手配まですべて。ゼロからどこまで自分でできるか試してみたいところもありました。宝塚時代に培われたものの欠片が残っているな、とも感じますね。

──宝塚時代のどういう経験が?

宝塚ではやはり誰もがスターなんです。そして究極の理想像を追求していくところ。新人公演(※入団7年目までのタカラジェンヌだけで本公演を演じる)で懸命に上級生に近づこうとしてもその人にはなれるわけじゃない。結局自分らしさを追求しないといけないと気付いたんです。「One step at a time」、つまり、一歩ずつ前に進むことで着実に形になっていった経験があるので、それを別の形で表現できたら、という思いがあります。

──結婚されてモナコで生活を始められた時は驚きました

退団公演の『NOBUNAGA』のラストで「さあ参ろうか」と言って「大海の彼方」という曲を歌うシーンがありましたが、あれは実は私が海外に行きたいという願いをご存じだった演出家の先生が思いを込めてくださったんです。宝塚を卒業した3年後、念願のヨーロッパに旅行した時に知り合ったのが、今の夫です。

──では昔からの願いがかなったということだったんですね

言霊というか、願いを口にするのは大事だなと思いますね。とはいえ最初は言葉をはじめ、もう壁だらけの生活。一人で時間を持て余してしまうことも多かった。でも勇気をもってわからないことはわからない、と伝えると力を貸してくれる人がいて。今は怖がらず、どんどん動いています。

──また龍さんの歌声を聴きたいというファンも多いと思います

舞台に立ちたいという思いはあります。ライブハウスやバーなど息遣いを感じられるような空間で歌ってみたい。プライベートとのバランスを取りつつ、再び舞台でも表現してみたいです。

──最後に、龍さんにとって美しく生きるとは?

トップが退団する時に「バトンを渡す」と言いますが、次世代のために少しでも住みやすい環境を残したい。そのためにも常にホスピタリティとプライオリティを考えて、ひとつひとつに丁寧に向き合っていく。そういう姿勢が美しさにつながる気がしています。

〝龍真咲農園〟でお米作りに挑戦

龍さんのサステナブルな行動力はあっぱれ。昨年は田んぼのオーナーになり、田植えから稲刈りまで無農薬での本格的な米作りに携わり、11月には初の新米をオンラインサロンのメンバーに配りました。「どろんこになりながら虫と遭遇したり、と大変でしたが、食べ物の大切さを知る特別な体験になりました」

龍 真咲さんからのメッセージ

「男役・龍真咲に徹していたので、退団してすぐは、自分が何色が好きでどんな食べ物が好きなのかもわからなかった。今、本当の自分がやりたいことを追求できるのは幸せです」

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2023年『美ST』3月号掲載
撮影/向山裕信(Vale.)〈人物〉 ヘア・メーク/森岡真紀 スタイリスト/間山雄紀(M0) 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子

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