PEOPLE
洋服が大好きで、昨年、私服コーディネートをまとめた『カンタン服でいくわ~銀さんの春夏秋冬』を出版。自由にファッションを楽しむ姿が「カッコいい!」と共感を呼んでいる女優の銀粉蝶さん。洋服との付き合い方から年の重ね方まで、お話を伺いました。
コム デ ギャルソンで今シーズン購入した黒のブラウスを纏って微笑む女優の銀粉蝶さん。アバンギャルドで洗練されたコム デ ギャルソンの洋服が華やかな顔立ちをいっそう引き立て、まるで映画のワンシーンのよう。クールでカッコいいのに、どこか少女のような可憐さもあるのが魅力。
《Profile》
’80年代初頭に劇作家・演出家の生田萬氏と共に劇団「ブリキの自発団」を創立。舞台、ドラマ、映画など幅広く活躍。’10年に第18回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。著書『カンタン服でいくわ~銀さんの春夏秋冬~』(双葉社)が好評発売中。10月には舞台『Home,I’m Darling』(シアタークリエ他)に出演。
高校生のころに銀座の鈴屋の一角にあった「レイ カワクボ」の洋服に心を打ち抜かれました。そう、後の「コム デ ギャルソン」です。当時はミニスカート全盛期。巷に溢れている流行服とは一線を画していました。それはまさに、私が好きな『少年少女世界文学全集』の世界観。ショールカラーに半袖で、ウエストをベルトで絞ったワンピース。いわばファッションの原型みたいなデザインが新鮮で、生地も素敵でしたね。以来ずっと「コム デ ギャルソン」は気になっていますね。服は大好きですが、普段は買物はあまりしません。ごくたまにお店に行くのが楽しみです。
「コム デ ギャルソン」の服って、ユーティリティを考えて作られています。だからお手入れもしやすいの。長年着続けていると、同じアイテムでも素材やパターンが少しずつ更新されて、進化しているのがわかります。バッグなども持ち手が改善されていたりして。
そして何より、お店の方に「これとこれならどっち?」と聞くと、似合う似合わないをはっきり言ってくれるのがいい。考えてみたら、私とコム デ ギャルソンとの歴史は長いですね。40年前のコートも捨てられずにとってあります。さすがにもう着ることはないかもしれませんが、時々出して、虫干ししています。
洋服は大好きですが、オシャレしている感覚はまったくないんです。よく友達に「たくさん持っているんじゃないの?」って言われますが、私の場合、10年20年と着ているものばかり。それほど買物もしないですし。流行を追いかけるよりもラクで心地よく着られるものが一番!今の自分の身体に合うものを身につけて、その時間を楽しんでいるだけなんです。
流行は「そのときの気分」だと思うから、普通に生きていれば流行はもうそのときの身体のどこかに入っているのではないでしょうか。オシャレしよう、と決めてかかることには興味がありません。その人の「オシャレ」が素敵なのではなくて、ふと気づいたらオシャレな空気を感じさせる「その人」が素敵なんだと思います。
まず「人間」ですよね。もちろん「服」でガツンと気合が入ることはあります。それはそれでオモシロイから「服を着る」って楽しいですよね。
大抵の服は、シルクであっても自分で洗濯しています。そこで役立つのがウエキの洗濯洗剤ドライニング。ほんとによく落ちる。とはいえアイロンがけは大嫌いです。
肌のお手入れは何もしてないと言ってもいいくらいです。コンプレックスだらけだし、このインタビューのお話をいただいたときも「え、美魔女の雑誌でしょ。真逆の私でいいのかな」って思いました。
でも、ドゥ・ラ・メールのクリームだけは毎晩欠かさず使っています。肌が弱くて、数年前の舞台のお稽古時に、汗をかいて粘膜に近い瞼の皮膚が痛くなり、メークができなくなりました。本番ではメークをしなければいけないので、「ドゥ・ラ・メールはあらゆる不調に効く」と聞いたのを思い出し、百貨店の化粧品売場に相談に行きました。すると「治るような気がします」と言われて試供品をいただいたら、なんと3日で完治。すぐに買いに行って本番を乗り切って以来、ずっと使っている私の肌の救世主です。
夜はナチュラルハウスのクレンジングクリームでメークを落とすだけで洗顔はしません。顔を触ると負荷のほうが大きいので、できるだけ触らないようにしているから。洗う必要性も感じません。化粧水は無印良品の高保湿タイプのハーバル化粧水をつけてからクリームのみ。目元がシワシワになってきて、アイクリームをつけたいのだけど、何がいいのかわからないのよね。オススメがあったら教えてください(笑)。
朝は無印良品の化粧水でふき取ってから、乾燥を感じたときは、ローズ ド マラケシュのオイルとアクセーヌの乳液を混ぜて使い、最後はナチュラルハウスの日焼け止めのサンカットミルクか、Koh Gen DoのSPF25のメイクアップ カラーベースをつけています。
普段はノーメークですが、マスク生活になってから眉だけは描くようになりました。化粧しないことが習慣になっていたので、うっかりそのまま出かけてしまい、タクシーの中で慌てて描いたり、たまに電車の中でこっそりひゅひゅっと描いたりすることも(笑)。女子高生と一緒です(笑)。持ち歩くのを忘れたとき、コンビニで購入したファンケルのアイブロウペンシルがあまりに良くて、ずっと愛用しています。それまではRMKを使っていました。仕事用にも購入して2つ持っていますが、ファンケルを使っているのでなかなか減りません。
舞台のときのファンデはカバーマークかKoh Gen Do。お粉はほとんどつけません。よけいにシワシワになっちゃう気がして。乾燥肌だから、つけなくてもあまりテカりません。
朝ごはんはオートミールに牛乳と大好きなメープルシロップをかけたものや、材料があればミキサーで野菜ジュースを作ります。一時期ケールを入れていましたが、どこにでも売っているものじゃないので、今はブロッコリーを入れますね。
基本的に何でも食べます。ここのところ糖質ダイエットが流行っているけれど、ご飯が大好きだからできないの。一日一食は必ずご飯を食べます。若い頃は玄米も食べていましたが、私には合わないので白米で。
お料理も作ります。一昨日はきくらげと卵のトマト炒め、牛肉の薄切りと万願寺唐辛子をバターで焼いて、玉ねぎとお揚げさんのお味噌汁と糠漬けというメニューにしました。お味噌汁も毎日欠かせませんね。
20代後半に夫とゼロから劇団を立ち上げました。ものすごく大変でしたが、30代はやりたいことを全部やって、今思えば贅沢な時間を過ごしました。
30代後半に娘を出産。長期間の泊まりの仕事ができないなど、今まで通り芝居ができなくなりました。自然に子育てが最優先になっていましたね。可愛くて可愛くて、そりゃ何よりも一番になりますよ。だから私の40代は子供を育てるのに必死でした。自分のことなんて、二の次どころじゃなく、何十番目。随分友人やママ友に助けられ、それがなかったら娘は育っていなかったと思います。本当にありがたかったですね。「アレ、仕事のことを考えてる」と自覚したのは、娘が大学院を卒業したぐらいからですね。
ある日、娘がアルバイトでお金を貯めたから、バックパックを背負って、東欧に一人旅に行きたいと言うんです。「わ、心配」と思う半面、「どんどん行けー」とも思っているし、私自身ができなかったことをしようとする娘にグッときて、「いってらっしゃい」になりました。成田から出発するとき、搭乗ゲートのぎりぎりのところまで行って、別れるのが悲しいのと心配なのとで、2人で抱き合って号泣。別れられなくなりました。後ろ髪を引かれながら「じゃあね」と見送ったのですが、それがきっかけでなぜか吹っ切れて子離れできました。もちろん向こうに行っている間は、毎日連絡するように言っていたので、お風呂にもトイレにも携帯を持ち込んで手放せませんでした。2週間後に帰国したときはほっとしましたね。
その後、香港に1年間留学したときも心配でした。寂しいのは本当の愛情ではないのでは? とも思うんだけど、ばかみたいに心配で。送料が高いのに、娘が欲しがるものを送ったりしてね。
今思うと夢のようですね。子育て楽しかったなあ。今は「ふん」なんて言われてケンカもしますけど、涙が出るくらい可愛いと思ったことがいっぱいありました。今、娘は映画関連の仕事をしています。コロナ前は母娘で海外旅行に行きました。娘といるのは楽しいし、今も可愛いです(笑)。私を冷静に見てもいるのでいろいろ助けられています。
丈夫でガンとしていそうですが、実は結構疲れやすいほう。更年期も大変でした。子宮内膜症に近い子宮筋腫が原因で、月経過多から貧血になりました。倒れるのが一番辛くて、電車に乗っているときも症状が襲ってくると次の駅で降り、道行く人に家族を呼んでもらったこともありました。母方の祖母も貧血がひどかったのですが、私も同じ。レバーやほうれん草を一生懸命食べて、必死でした。50代は体調が変わるとき。すごく不安でしたが、明けない夜はない。
振り返ると辛いことはいっぱいあったけれど、そういうときこそ、「働かなきゃ」と思っていました。働いて集中することで辛さを忘れられるし、仕事に個人的な事情は関係ないから、気持ちを切り替えられます。過酷だけど、私はそういう過酷さが好きです。
私という人間は仕事してなんぼ、なんだと思います。若いときはあまりにも芝居が大変で、いい加減やめたいと、しょっちゅう思っていたけれど、今はできる限り続けたいし、やらせてもらえるだけでありがたいと思います。私を使おうと思ってもらえるようにしておかなければいけないでしょ?そのための特別な方法なんてひとつもない。ただ今このときに集中してベストを尽くすだけです。与えられた環境の中で、何百%のことをやるしかない。それでも至らないわけだから、なりふりかまわず必死です。全然カッコよくなんてない。ハハハ。
趣味が多くて、映画や読書にも救われました。大変な舞台中はハードな内容の本はメンタル的にきついから、さらっと読める本を用意したりして。最近読んで面白かったのはルシア・ベルリンの短編集『掃除婦のための手引き書』と能楽師・安田登さんの『日本人の身体』。サッカー観戦も大好き。観るほどに面白さがわかってきました。
年をとることは、衰えていくことも込み。シワシワでも、そのシワが美しいと思える年のとり方ができたらいいですね。若い人に衰えていく様を見せるのも人としての役目だと思うのよ。年齢を重ねることの魅力が伝わる女優でいたいですね。肌がピーンとしているよりも、人間としてカッコよくありたい。これってすごく難しい。カッコいいでしょって言わんばかりのカッコよさはすでにカッコよくない。そう見えた時点でアウトですから。だから人生あまり何も気にしないほうがいい。考えすぎず、生きていきたいな。
気に病むことって、大抵は「人にどう思われているか」ですよね。単純に「そう見えたのか」と受け止めればいいだけの話だから、悩むのは無駄。こんなふうにしか自分はできないんだな、テヘヘ、とあまり考えすぎないことが一番です。でもね、私もなかなかそうはできないんですよ(笑)。
2021年『美ST』11月号掲載
撮影/須藤敬一 ヘア・メーク/長谷川弘美(ESPER) 取材・文/安田真里 編集/和田紀子
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